さて。。
宴会も中盤に差し掛かり
指名制カラオケタイムの始まりです
まず最初に幹事が歌う人を指名し、その後は
「歌った人が次に歌う人を指名する」というルールになっています。
さすがに指名されるだけあって、上手な人たちです。
1人め…
2人め…と進み、
田崎 「よーし、次の人指名するね
そうだなぁ…じゃあ、たくや先生っ」
たくや 「え~」
微妙に遠慮がちなたくや先生とは逆に、
私は内心楽しみでした。
なにしろ、有志で職員バンドをやっているくらいです
間違っても”下手”ということはないでしょう。
~
そして始まった歌は…
まゆら 「」
…何と言えば良いのでしょうか
「歌っている」と言うよりは「叫んでいる」と言った方が
正しいかもしれません。
一瞬、会場内は静まりましたが、
カラオケの音量が大きいのと、
みんなすでにデキあがっていて気にしていないのとで、
本人は全く気づいていません
それどころか、
指名されたときの遠慮がちな態度はどこへやら、
すっかりノリノリです
カラオケのメロディと、端々で何とか聞き取れた歌詞から察するに
一昔前の男性アイドル系の歌のようですが…
:
:
結局、最後まで何を歌っているのか分かりませんでした
たくや先生はニコニコしながらステージから戻ってきました。
どうやら、本人はご満悦のようです
私たちは苦笑するしかありませんでした
それからしばらくの間…
ときどき自分の席に戻って料理を食べつつ、席を回っていると
たくや先生が暇そうにしてるのが目に入りました。
チャーンス
まゆら 「先生は…ウーロン茶でしたよねどーぞ」
たくや 「どうも」
まゆら 「たくや先生、ギターの教室に通ってるんですって」
たくや 「え、うん」
まゆら 「私もバイオリンの教室に通ってるんですけど、
イマイチ先生と合わなくて…。
たくや先生が通ってる所って、どんな感じですか」
バイオリンの教室に通っていたのは本当です。
ある小説の影響でクラッシック音楽に興味を持ち、
「自分でも何か楽器をやってみたい」と思ったのがきっかけで。
少しは仕事にも余裕ができてきたので、
市内のヤ○ハ音楽教室に通い始めたところでした。
ところが、、
先生にあまりヤル気がないようで、おしゃべりばかりで
全くレッスンになっていなかったのです。
先生と言っても、私と同い年だったのですが…
通い始めたばかりでしたが、他の教室を探そうと思っていました。
そんな事情を説明すると…
たくや 「あ~。そういう人に当たっちゃうと迷惑だね。
僕が通ってるのはカモメ市のヤ○ハだけど、
エレキの教室の人はなかなか良いよ。
教室によって先生が違うから全部が良いとは言えないけど」
まゆら 「ですよね~」
たくや 「まゆらさん、クラッシック好きなんだ
僕も結構好きでCDもたくさん持ってるんだけど」
まゆら 「あ、そうなんですか?」
アニメ系だけかと思ってた…
まゆら 「私、ガ○ダムも好きですよ」
たくや 「マジで」
音楽の話は思ったより食い付きが悪かったので、
ちょっと強引に話題を変えてみました。
今度は成功したようです
まゆら 「って言っても初代は見てないんですけどね。
GとWとSEEDくらいしか」
(↑分からない一般の皆さま、ごめんなさい)
たくや 「え~っダメだよ、見なきゃ
俺は逆に新しいのは詳しくないなぁ。
じゃあさ、どのシリーズが一番好き?」
…このテンションの高さは一体何なんでしょうか
さっきまでとは一変、水を得た魚のようです。
まさよし 「なになに、何の話」
チッ邪魔が入った
まゆら 「ガ○ダムの話。」
まさよし 「あ~、俺はそっち系は分かんないな」
分からないなら入ってくるなぁ~
佐伯 「俺分かる~」
関 「俺も~」
……はうちの学校って、アニメヲタがこんなにいるの~?
前任校では年配の職員が多かったので
私もひた隠しにしてきましたが…
この学校ではその必要はなさそうです
結局この後…
彼らのマニアな会話には付いていけず、
私は完全に聞き役に徹することになってしまいました
私のこの控えめなアプローチの効果はあったのでしょうか??
少なくともこの時、私と彼は
音楽とアニメという2つの共通点を持ちました。
彼の中では、おそらく「事務職員の中の1人」でしかなかった私を、
「まゆら」という個人として認識するきっかけになったかもしれません。
私にとって、小さな小さな第1歩でした。
でも…
それが、この後に待っている出来事への大きな第1歩となることに
私は気づいていませんでした。
To be continue…