花粉なヤツらが
大きな顔して街中を闊歩する季節が完全にやってきた。
ヤツらは家の中にまで侵入してきて
私のベッドをも占領して寝そべっている。
なんてヤツらだ
私はヤツらを少しの間だけ感知しなくて済む特別な薬を服用して、ヤツらを無視して過ごすことに少しばかり成功しているのだけれど
特別な薬というのは時に相応の対価を払うことになる。
私の場合は、対睡魔の防御力だ。
おかげ今日は1日中、
今は現実なのか夢なのか、はっきりしない曖昧な世界に片足突っ込むことになってしまった。
しかもこの薬は強力で、立っていてもなお世界は曖昧さが増してきて私は気が狂いそうになるし、
そのうち「ここはおかしい」と考える力も、「この片足を早くここから引き抜かなければ!」と思う気力すら、奪い去ってしまう。
なんて薬だ
しかし飲まないとヤツらがうじゃうじゃ私の周りを取り囲み私を攻撃するのをニヤニヤしながら今か今かと待ち構えているのに無防備なままこの身を捧げることになってしまう。
ヤツらに身体を差し出すか、
曖昧さに魂を投げ出すか。
人生は選択の連続だと誰かが、
言ったような言わないような。
そんな私は今夜も薬を飲むか飲まないかで
悩む。
そして、飲む。
そして、思う。
「てか早く眠気の副作用がない花粉症の薬買お。いやまじで。」
はいっ
チャンチャン。