うちの母が料理をするところを見るのが好きだ。
うちの母は料理はそんな好きじゃないという。
そして自分の料理はそんな特別に美味しいわけではない、自分は料理が下手だ、とも。
でも、やっぱり私は母の作るご飯が好きで、いちばん美味しいなと思う。
あまり料理が好きではない母は、
いつもてきぱき、ささっと、料理をする。
「いつもテキトーなの」
というのが、彼女の口癖だ。
なんでその順番でお鍋に入れるの?
「なんとなく。いつもテキトーなの。」
調味料はそれぞれどれくらい?
「わかんない。いつもテキトーなの。」
今なんで1度火を止めたの?
「理由聞かないで。いつもテキトーなの。」
なんで芯のところまで使うの?
「だって捨てるのもったいないもん。」
あ、そこは明確なんだね。笑
「それに美味しいのよ」
わかる。芯、好き。
そんなこんなで
母はサクッと、ピャッと、ジャッと、料理をする。
本人はテキトーって言ってるけど
それは「慣れ」なんだと思う。
ずぅっと何年も、毎日ご飯を作ることで起きた「慣れ」。
なんて優しい「慣れ」なんだろう。
そんな好きではない料理を、家族のために毎日3食作るって、苦痛じゃなかったのかな。
文句言わず、いつも当たり前みたいに作ってくれるけど。
ありがたいなぁ。
母の料理は
さっぱりとして、優しい味がする。
私も母の味を会得したいけど
そのためにはまず、自分がさっぱりとした優しい人間になるところから始めなきゃいけないのかもしれない。