今、私の机の上は大変なことになっている。



物と、物と、物たちで
文字通り、ごった返している。







というのも
ふとした思いつきで、

いや、前から頭にはあったのだけど
いつ実行するか決めてはいなくて
でも決めてはいなくともそれは今日なんじゃないかと数日前から予感はあって、

まぁつまり、
数日前からの思いつきを、今から一時間くらい前に突然決心してやることにしたわけだ。

机の上の模様替えを。







前々から机の上の整理整頓をしたかったのだけど
次やるときはほんの少しの模様替えもやりたいという思いがあったために延ばし延ばし、ここまできて、

そんで今日の、こんな遅い時間についつい始めてしまって。

案の定、机の上はごった返しているし、
ついでに私の当初の計画もごった返している。

それなりの完成予想図を頭に描いて模様替えを始めたつもりだったけど
やり始めるとあまりうまく行かず、
修正に修正を加えたせいで、どれが正解か分からなくなった上に、元の完成予想図もどんなだったか、すでに読み取れない。

そんなありがちな展開で
もうすぐ明日を迎えようとしている。















整理整頓には、物を捨てる、ということがつきものだ。

それをするに厄介なのが、思い出の品々たち。

溜まりに溜まったこの思い出の結晶を、
どこまでとっておいて、どこから捨てて良いのか、わたしにはそのタイミングがわからない。




動かなくなったお気に入りの腕時計とか、

いつか使うと思って買ったまま、結局使わずにきたメモ帳とか、

もう誰にもらったか思い出せないストラップとか、

親にねだって買ってもらったリストバンドとか、

今はもう通ってない、母校のスプリングフェスティバルで買った手作りのアクセサリーとか、

あの子とお揃いで買ったネックレスとか、

とか、とか、とか。






今は使わないのに机の中に眠っている物たちは
数にすると膨大で
成長するにつれ、物はどんどん増えていく。


全てをとっておくことは部屋の絶対量を考えると到底不可能で

その中で、今の自分なら捨てられるものを選別して捨てていく。

今捨てたとしても、
今捨てるときに少し感傷的になったとしても、

捨ててしまえば、きっと今後それを思い出すことはない。





だけど、ほんとに?

ほんとに捨てて良いのか。





確かに、普段の生活でそいつらを思い出すことはまずない。

こうやって、物を見て、初めて思い出す。

あぁ、こんなのあったな、これ好きだったな、
すっかり忘れてたな。

とっておいて、こういう機会に初めて思い出す。

それも大事なんじゃないか。













人間は忘れる生き物で
どうしたって昔の記憶はどんどんなくなっていく。

物を捨てたとしても
それはたぶん、今までの自分を捨てることにはならない。

すでに忘れてしまった数々の経験の積み重ねで
今の自分がいるのは確かなわけで。

逆に言えば、思い出さなくとも、今の自分を成り立たせてくれてるものたちだから。



だから、物と一緒に残った思い出を捨てたとしても
今後の人生になんの支障もない。
きっとわたしは明日からそれらを思い出す間もなく死んでいくんだろう。

そもそも、その物がなければ思い出せないような記憶なんだし。











でも。

やっぱり。

うーん。
どうなのかなぁ。



誰にもらったか思い出せないけど、
もらいものであることは確実で、しかもすごくお気に入りだったから壊れても絶対このストラップは捨てない!って強く思ったこととか、

親にねだったのに結局使わなかったリストバンドを見て
嬉しかった気持ちを思い出すと同時に今の自分だから分かる申し訳ない気持ちを感じてみたりとか、

錆びてしまった手作りのブレスレットを見て、
今はもうなくなってしまった母校のスプリングフェスティバルをおぼろげにでも思い出そうとしてみたりとか、


とか、とか、とか。
そういうことを。




確かになくてもいいけど、
過去の自分を思い出すきっかけではあるんだ。

日常的に振り返らずとも、
そのきっかけくらい、残しておいてもいいんじゃないか。















あんな思いと、こんな思いの間を行き来しながら、


あぁ、ついに明日が、今日に、なってしまった。









さて。
眠くなる前に、ある程度の、心の整理整頓ができれば良いのだけど。