私の同学年に、「ユキオ」と いうい男がいた。

保育園から、なにをするにも一緒だった。

いつも、彼の家に入り浸っていたのだが、休日は「ユキオ」の父が、「いつまでも家にいないで外で遊んで来い!」と怒っていた。

右手にはワンカップ大関を持っていて、顔が真っ赤だった。

実は「ユキオ」は私の親戚で、従兄弟だった。

兄が使わなくなった三輪車をけって、毎日のように通ったある日、「ユキオ」の家に行くと様子がおかしい。

居間には私のおばあちゃんがいて、赤ちゃんを洗っていた。

初めて生命の神秘に触れた。

その後、もう一人生まれて近所の友達が沢山出来た。

「ユキオ」の母は羽振りがよく、いろんな所へ行った。

でもだんだん、進学していくうちに会わなくなった。

20年くらいたって、「ユキオ」は結婚して子どもを作って熊本へ行ったと聞いた。

多分もう会えないだろう。

熊本といえば、大震災や台風などがあって大変なところだ。

でもあいつは生命力が強いから、何とかやっていくんじゃないの?

と思うのだった。