今日は、最近のレッスンで印象的だった瞬間を二つご紹介します☺️
先日、私が生徒さんの曲を弾くと、
「こういう風に弾きたい!」
と言ってくれました。
私も、同じピアノなのにどうして先生の音はこうも違うのだろうといつも不思議でした。先生のように弾きたいという気持ちを思い出させてもらえた一言💕
今はYouTubeなどでいくらでも素晴らしい演奏を聴くことができますが、ピアノの先生は生徒さんにとって一番身近な、生で聴ける「上手な人」。ちょっとしたフレーズも心を込めて弾いています。
私と全く同じように弾いて欲しい訳ではなく、私くらい本気で弾いて!!という気持ちで😆
また、別の生徒さん👧🏻
かわいい年中さんですので、テキストは頑張って進めつつも、レッスン中横道に外れることもしばしば。けれどそんな遊び弾きの時間も大切にしています。
先日も、これまでのレパートリーを次々と聴かせてくれる中で(毎週ミニコンサートを開催してくれます笑)、メリーさんの羊をCメージャーで弾き、その後得意げに黒鍵のみでF♯メージャーにも移調して弾いてくれました!
そして更には左手でCメージャー、右手でF♯メージャーを同時に弾き出し…ケタケタ笑い出す生徒さん。
二人で「気持ち悪いね〜!」と笑い合った後、私は思わず、Aちゃん、これはストラヴィンスキーも使った複調といって、この響きにはペトルーシュカ和音という名前がついているんだよ…!と一人で興奮🤣
ここでロシア人作曲家ストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」と、そこで使われる複調、ペトルーシュカ和音について簡単にご説明しますと……
パペットのペトルーシュカは、魔術師により命を吹き込まれ人間の心を持つと、恋や嫉妬、操られることへの不満…さまざまな感情を覚えます。
暗喩が随所に散りばめられた物語です!
情熱的な魂を持ちつつも、人形の中に閉じ込められたまま。そんなペトルーシュカの苦悩や悲しみ、違和感を表しているのが、♯も♭も付かないクリーンなCメージャーと♯を6つも持つF♯メージャーを同時に鳴らすことによってできるグロテスクな響き。
違う調性を同時に鳴らすことを複調(性)といい、さらに、CとF♯メージャーのように三全音離れた二つの調の長三和音を同時に鳴らして出来た和音のことをこの作品以降「ペトルーシュカ和音」と呼ぶようになりました。作品中は主人公ペトルーシュカの登場シーンで多様されています。
三全音(全音3つ分の音程)は、昔から最も不快な響きとされ、悪魔の音程とも呼ばれ、意味を込めたい所で使われてきました。
遊びの中でこの独特な響きの面白さを見つけた生徒さん、凄いね✨
難しいことを知らなくても、この響きを聴き
「なんかヘン」「なんとなく気持ち悪い」「奇妙」
と感じられたら、それで良いのです。
面白がるところから表現に繋がります。
最近はあらゆる習い事・勉学で点数の取れる即効性のあるアドバイスが求められがち。損をしないため、それもある程度は必要だとは思いますが、感性は長い時間をかけて色々な方向からの刺激を受けて育まれていくもの。
こういった遊びと発見の時間こそ大切にしたいと改めて思ったレッスン中の出来事でした😊
🪆🪆🪆
ペトルーシュカで一番知られているメロディー、「ロシアの踊り」✨
後に作曲家自身によって編曲されたピアノ独奏版ほどではないにしろ、オーケストラ版のピアノパートも難しいことで有名です💪💦
ペトルーシュカは踊り・音楽・舞台・衣装の全てが美しく、目にも耳にも刺激的な作品。特にお祭りのシーンなどはお子様でも楽しめますよ♪