曲目はトロンボーン奏者のイェスパー・ソレンセンさんとの共演で、シューマンの歌曲集「詩人の恋」をなんとトロンボーンで。
抜粋で「美しい五月に」「ばらに百合に鳩に太陽」「君の瞳に見入る時」「心を潜めよう」「恨みはしない」「恋人の歌を聞くとき」の6曲を演奏しました。
二年前にもほぼ同じプログラムを弾かせていただきましたが、相変わらず、この世のトロンボーンの音とは思えない、美しい極上のモルト・ピアニッシモ、そして木管楽器のような甘くまろやかな音にうっとり。
こちらの想像を遥かに超えた弱音で入ってこられるので、私もとにかくその美音に浸ることに集中し…また、それに呼応してくださった観客の皆様も素晴らしく、会場全体でピアニッシモを作っている感覚に陥りました。
生で、しかもキタラのような恵まれたホールでこそ味わえる耳の贅沢です。
世界中のホールを知る教授陣らがこぞって弾きやすいと大絶賛する、札幌キタラの小ホール。繊細なピアニッシモも隅々まで美しく届きます。
とにかく毎年感動することなのですが、そして私が言うまでもないことなのですが、ベルリンフィル、ウィーンフィルの皆さんの音が上質なこと…
一人一人がこのレベルの音を出していることを目の当たりにすると改めて、世界最高峰のオケの凄まじさを思い知ります。
このようなことを先日パーカッションのフランツ・シンドルベックさんとお話しさせていただいていたら、
「そうだよね。今では普通になってしまったけれど入団当初は僕も、ベルリンフィルではこの質の音を求められるんだ…って圧倒されていたなぁ。」
とおっしゃっていました。
「それに、こうして個人個人と室内楽をやると再確認するよ、こいつら上手いんだ、って(笑)」とも😆
ところでこちらのシューマン、前述のように二年前にもご一緒させていただいたのですが、その際、舞台袖でまさにこれから舞台に出て行くという瞬間に、イェスパーさんに真剣な顔で
「……ごめん。やっぱり、(調性を)2度下げて吹こうと思うんだけど、大丈夫かな…?」と言われ、
私は「!?!?」となり
(元は歌曲だから歌手が移調して歌うことはあるけれど…
合わせは原調でやったのにこのタイミングで…?
ベルリンフィルの人と弾くには本番数秒前でもこういう要求をのめないといけないのね…)
などと瞬時に色々な考えが交錯し冷や汗が出てきたところでイェスパーさん、
「もちろんジョークだよ〜♪」
私「……!!」
という出来事がありました😆🤣
本番前せっかく整えた心拍を乱された恨みは忘れていません(笑)
神業の持ち主でありながら、そんな気さくでお茶目な一面も持つイェスパーさんと演奏後にパシャリ。
至福の時間をありがとうございました!!

