「藤井:さあ、ここまでは腸が脳に与える影響を見てきましたが、大きく発達した脳も腸に影響を与えているんです。
織田:ま、脳は、腸のドラ息子だということなんですが、ちょっと見てみましょう。
〈脳は腸の“ドラ息子”〉
ナレ:横浜市鶴見区、禅宗の寺、總持寺。ここでは日々、二十歳前後の若い僧侶が修行に励んでいる。朝3時からの掃除やお勤め、規則正しい集団生活が続く。実はこちらのみなさん、ある大きな身体の変化を感じているという。
修行僧:花粉症だったんですけど、こちらに来てからかゆみもなく過ごしていられる・・・
修行僧:自分はアトピーを持っているのですが、上山してからはあまりかゆみとかは気にならなくなりました。
ナレ:現代病とされるアレルギー疾患などが、ここに来る前と比べると、大きく改善されたという。その秘密は1日3食の食事にあった。そう、精進料理。しっかりと出汁を取ったうま味が含まれており、適度な甘味と塩味もある。こういった食事が腸を喜ばせたからかもしれない。」
・・・へぇー、出汁のうま味で花粉症やアトピーが治るんですか。っていうより、全身の健康状態がよくなるのかもしれませんね。出汁は実は漢方薬だったりして。
「しかし、現代の私たちは、腸から生まれた脳の発達により高度な文明を築く一方で、さらなる欲望に駆り立てられている。腸が求める以上の暴飲暴食。過度なアルコール。喫煙。(織田:すいません、全部やってます)
脳が生み出す欲望のままの行動。さらに、人間社会が生み出すさまざまなストレスが重なることで、大腸がんなど腸の疾患が急増したのである。」
・・・暴飲暴食にストレスなどで腸の病気が増えたわけだ。 (つづく)和食で花粉症も治る?
「藤井:さあ、ここまでは腸が脳に与える影響を見てきましたが、大きく発達した脳も腸に影響を与えているんです。
織田:ま、脳は、腸のドラ息子だということなんですが、ちょっと見てみましょう。
〈脳は腸の“ドラ息子”〉
ナレ:横浜市鶴見区、禅宗の寺、總持寺。ここでは日々、二十歳前後の若い僧侶が修行に励んでいる。朝3時からの掃除やお勤め、規則正しい集団生活が続く。実はこちらのみなさん、ある大きな身体の変化を感じているという。
修行僧:花粉症だったんですけど、こちらに来てからかゆみもなく過ごしていられる・・・
修行僧:自分はアトピーを持っているのですが、上山してからはあまりかゆみとかは気にならなくなりました。
ナレ:現代病とされるアレルギー疾患などが、ここに来る前と比べると、大きく改善されたという。その秘密は1日3食の食事にあった。そう、精進料理。しっかりと出汁を取ったうま味が含まれており、適度な甘味と塩味もある。こういった食事が腸を喜ばせたからかもしれない。」
・・・へぇー、出汁のうま味で花粉症やアトピーが治るんですか。っていうより、全身の健康状態がよくなるのかもしれませんね。出汁は実は漢方薬だったりして。
「しかし、現代の私たちは、腸から生まれた脳の発達により高度な文明を築く一方で、さらなる欲望に駆り立てられている。腸が求める以上の暴飲暴食。過度なアルコール。喫煙。(織田:すいません、全部やってます)
脳が生み出す欲望のままの行動。さらに、人間社会が生み出すさまざまなストレスが重なることで、大腸がんなど腸の疾患が急増したのである。」
・・・暴飲暴食にストレスなどで腸の病気が増えたわけだ。 (つづく)
「〈なぜ腸は脳にひそかなメッセージを送るのか?〉
ナレ:なぜ腸は脳にひそかなメッセージを送っているのか?
金井:うま味をずーっと摂っていると、自律神経、特にこの場合でいうと迷走神経っていう、その神経から脳に常に信号を送って、あぁこれはおいしいな、っていうことを脳に刷り込ませて記憶を残させているんじゃないかなあというふうに、考えられています。
織田:もっと摂れば、ボクの体はよくなる・・・
金井:うん、もっとほしくなるっていうことですね。
織田:それはあの、今日はラーメン食べたいって思ったりとか、それも関係あるんですかね?
福土:この無意識の部分を作っている、かなり重要な信号である可能性がある。
織田:さっきも冒頭で言いましたけど、寒くなって体が求めてるとかあるじゃないですか。ちょっと胃もたれしてるかなぁとか。だから、お鍋が食べたいとか、やさしいもの食べたいって思うときあるじゃないですか。
福土:その科学的な部分ってのは、まだ研究が不十分なんですね。ですから、もっともっと研究されると思う。
織田:可能性はあるってことですかね?
金井:そうですね。ラーメン食べたいっていうのは、最初に脳ではなくて、ひょっとすると腸が司令塔になって、脳に伝えて、脳に感じさせているだけなのかもしれないですね。
織田:これを食べれば幸せになれるぞ・・・
金井:もうひとつ大事なのは腸内細菌。腸内細菌がひょっとすると、食べ物の一部をとって、好みを決めてるんじゃないかなということも、最近言われ出してきてます。ですから、ラーメンで例えると、ラーメンが好きな腸内細菌がいっぱいいる人は、ひょっとすると好みっていうのは、私たちの腸と脳ともうひとつ一緒に共生している腸内細菌で、三位一体になってこう好みって決まってくる可能性もあるんじゃないかなと。あとは、腸内細菌の気持ちがもしかしたらあるのかなぁ。
藤井:細菌に気持ち?
金井:そう。細菌のことも考えてあげないと、僕らの健康は守れないんじゃないかなぁということが、最近の腸内細菌の研究でわかってきてます。」
・・・なるほど、腸内細菌が欲しがるものを食べたくなるということもあるのか。でも、食物繊維が腸内細菌のエサになると聞いたけど、「無性に野菜が食べたい」と言う人はあまりいませんね。「焼き芋食べたい」というのはそれなのかな。
「織田:体にいいことをつかさどっているのが、腸のいわゆる考える、腸の脳、というとちょっと語弊がありますけど、人間の欲望とか知識とかでなんかをしようとするのがこっちの脳っていうイメージでいいですか?
金井:気持ちいいとか、恋をするとか、そういうことはもしかすると脳が得意なのかもしれない。
織田:夫婦は腸で決まるって言われたらどうしようかと思いましたよ。
藤井:脳と腸がつながっているみたいなことはあります? 専門用語ってあるんですか?
福土:それは、脳腸相関と言いまして、脳の興奮が自律神経やホルモンを伝わって、そして腸の働きを変化させると。そしてまた非常におもしろいことに、腸から脳の方向にいくそういう影響も非常に強くあります。腸の中の環境の変化が脳のほうに伝わって、そしてそれが脳の特定の部分を非常に刺激するために、不安感とかですね、うつの部分、そういう症状が起こるということもいまわかっています。ということで、やはりそこに非常にダイナミックな関係性がある、ということですね。
金井:例えば、パーキンソン病っていう脳の病気、有名ですけれども、ああいうものも腸で作られている物質、これ変性タンパク質で、本来ではあまり蓄積されてほしくないような変性タンパク質というのが、腸でできて脳のある場所に蓄積されてパーキンソン病が起こる、なんてことも言われているんです。
普通、脳の病気って思われがちですけれども、最初は腸に異変が起きて、脳に影響するっていう・・・
織田:そういうことが全部分かってくれば、逆に治す方法もわかってくるってことですよね。」
・・・脳腸相関があるんですね。腸を整える食事が、うつなどにもいいのかもしれませんね。 (つづく)
「織田:日本人は交渉下手っていうイメージがあるんですけど、それはもしかしたら食べ物のせいなんだろうか。
大原:かもしれないですね。
金井:日本人は、ディベートするときはちょっと弱いって、まさにうま味を非常に多く摂っていて、穏やかに。国民性だなぁっていうふうに思えてしかたないですね。
織田:他の国に比べて和食のほうがうま味が多いものを摂ってるってことですか。
大原:だと思います。やっぱり、出汁にすごく特性があると思いますし、特別、やっぱり多いんじゃないかなと思います。
織田:あと、腸の中にも舌と同じようにいろんな、味わいができるものがあると。
金井:そうですね。舌で味を感じてるっていうように、みんな感じていたのに、最近腸の細胞に味覚の受容体があるということがわかってきて、お肉にしても食べ物にしても消化されて、分子として小腸とか十二指腸とかそういうところで受容体がキャッチして、脳に伝える。
織田:ボク、感じたことない。
藤井:私もわかんない。消化のプロセスで、今日の食事はいい食事だったみたいなことを思ってるっていうことですか、腸が。
金井:そうですね。おいしいなぁって思ったのは、もしかしたら舌からの信号で頭に行ってるのかもしれない。で、さきほど攻撃性があるないっていうラットの話、ありましたけれども、そういうのはもしかすると、舌ではなく腸の受容体がうま味成分をキャッチして、攻撃性があるなしを決めているということも、最近わかってきている。
織田:要は、苦いとかそういうことの伝え方ではなくて、これはいいものを食べさせてもらった、幸せだよ、ありがとう、っていうくらいのシンプルな形になって伝わってる・・・
金井:そうかもしれませんね。
織田:全部食べ終わって、初めてちょっとこう、食べているうちにどんどんどんどん深くおいしくなっていくほうが喜べるっていのか、最後まで食べて幸せな気分になる。それも実はもしかしたら、腸に、腸までいかないかそんな短時間で。どうなんだろ、消化ってどのぐらいの時間かかってるんですか。
金井:食べてから、2時間、3時間ぐらいで小腸に到達します。
織田:そこまでかからないと、第2の舌にはたどりついてないわけですね。
大原:でもね、今の話お聞きして、京都のお料理屋さんとかが、おいしいお出汁の味っていうものを例えて言うのに、そのとき口で飲んでおいしいって思うもんを作るんじゃなくて、いっぺん寝て次の朝起きたときに、あぁ、昨日のおつゆおいしかったなて思う料理を作れ、っていうんです。
織田:(パチンと手を打つ)
藤井:それだー。
織田:すごくわかります。
大原:そういうことなんだって、いま思いました。
金井:そうかもしれないですね。
・・・あとで思い出しておいしかったな、って名人芸のようですけど、食べてから数時間後に小腸が味わって思い出すってことですか。 (つづく)
「ナレ:しかもこのうま味、舌で感じるのではなく、腸で感じることで大人になったときの性格さえ変えてしまう可能性がある、というのだ。
飛田さんは、ラットを2つのグループに分けて、脳の変化を調べる実験を行った。一方には、成長期にうま味を与え、もう一方には全く与えない。それ以外は何も変えなかった。そして、大人になったときの攻撃性を見たのである。調べたのは、見知らぬラットと一緒にしたときに、どれだけ攻撃したかという回数。
すると、うま味を摂らなかったラットは5分間に平均8回かみついたり、相手の上に馬乗りになったり、攻撃行動を繰り返した。一方、うま味を摂ったラットの攻撃は、半分以下の3回だけ。
飛田:相手にかみつくというような攻撃性が、非常に落ちているというような結果が出ましたので、相手をすばやく受け入れたというか、寛容になったというような結果が、まずひとつありました。
ナレ:うま味を摂ったほうが、攻撃性が明らかに減少。穏やかな性格になっていたのである。
これは、舌で感じるうま味?腸で感じるうま味? どちらの影響で攻撃性が低くなったのか。飛田さんが、腸と脳をつなぐ神経を切り、舌だけでうま味を感じるようにして同じ実験を行うと、うま味を摂ったにもかかわらず、ラットの攻撃回数は減らなかった。
つまり、腸がうま味を感じたときにだけ攻撃性は抑えられるのである。
飛田:発育期のときに子どもさんたちが、最適な量のうま味をとって育てれば、多少攻撃性が下がるという解釈ができると思います。昆布だしだとかかつおだしというふうなこと、言われてますので、そういう和食のものをしっかり三食食べていただくと。
ナレ:私たちが出したブリの和食。いわゆるおふくろの味を食べて気持ちが安らぐのは、腸が感じていることなのだろうか。」
・・・うま味を摂ると攻撃性が減るのか。出汁をとった和食を食べていると子育ても穏やかになるんだろうか。わけがわからない暴力事件を起こす人は、そういう食事をしないで成長したのかな。 ・・・攻撃的な大統領にも和食を勧めておけばよかったのかな。 (つづく)
「藤井:さあ、このあとも腸と脳の関係を深めてまいりますが、今日は大原さんにお願いをして、こちらを作ってきていただきましたぁ。
〈すまし汁〉
ナレ:ちょっとここでひと息。大原さんの作ったすまし汁を、織田さんに飲んでもらう。使ったのは、かつお節と昆布を水からゆっくり3時間かけて抽出した、こだわりの出汁。
大原:夜にやれば、朝にはしっかりいいお出汁が出ているんですね。
織田:昆布のかおり、すごいですね。ぶわーっと。
大原:京都の水なので、よけいやと思います。
織田:すいません、いただきます。・・・(うんうん)なんかね、ほっこりする。もうもう、こたつに入りたい。ほんとに穏やかなんです。なんででしょうね? ほんとになんか優しくなったような気分になります。
藤井:だから、そのおいしいだけじゃなくて、心も動かしたってことですよね?
織田:ちょっとおおげさ過ぎますかね。でもなんかそういう感じがします。
大原:はいはい、わかります。
藤井:さあこの、出汁のうまみが人の性格も変えてしまうかもしれません。
織田:そんな実験だったんですね、いまのは。」
・・・出汁のうまみが人格を変えるって?
「〈腸が性格を決める?〉
ナレ:大原千鶴さんの実家で、京都の山中にある老舗の料理旅館。山の幸を存分に使用した和食は、海外からも注目を浴びている。このような和食を食べて、心が和む。そんな経験ないだろうか。実はそれ、脳ではなく、腸が感じているのかもしれない。そもそも、私たちが食べておいしいと感じるのは・・・ 舌にある味覚を感じるセンサーがあるおかげである。それは味蕾と呼ばれ、さまざまな味を感じ取ると脳に信号を送る。
ところが腸にも、このような味覚のセンサーが見つかったのだ。それがあるのは、腸の絨毛。絨毛は栄養を吸収し、中を走っている毛細血管に送り込む。この絨毛を特殊なカメラで見ると、映し出された白い細胞、これこそ、腸にある味覚のセンサー。このセンサーで腸は味を感じているのだ。
脳神経と味覚の関係について研究を重ねている、名古屋市立大学教授の飛田秀樹さんによれば・・・
飛田:実は、胃とか十二指腸という上部消化管でも、化学物質として味を感じているところは、最近知られてきました。生きる上である意味必要な情報が、自然に腸で感じて、それが脳に伝わってるということだろうと思ってます。」
・・・腸が味を感じるということは、舌でおいしー!と思ったあと、腸で二度おいしいということか?
「ナレ:そもそも味覚は、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つ。そのうち酸味を除く、4つの味のセンサーが腸で見つかっているのだ。その中で飛田さんが注目しているのは、腸のうま味を感じるセンサー。うま味とは、昆布などに含まれるグルタミン酸などの出汁の味。そのグルタミン酸、腸の受容体に捉えられると、腸はいわば喜びを感じている状態になる。このしくみは生まれたときからあるのだとか。
飛田:実は、われわれが小さい頃から、生まれたときから、あのうま味の物質を飲んでいると。
ナレ:それが母乳である。うま味は母乳にとても多く含まれており、私たちが生まれて初めて腸で感じる味のひとつなのだ。なぜ母乳にうま味が含まれているのだろうか。それは、うま味がタンパク質の味であることに関係している。タンパク質とは、筋肉や骨など、体をつくるための材料となる物質。母乳に多く含まれているのは、体に必要な物質を赤ちゃんに覚えさせるという、生命の意図とも言われている。」
・・・うま味はタンパク質なんですね。 (つづく)