「藤井:さあ、続いては、人の腸の動きを参考にして、ロボットを作り宇宙を目指す科学者です。
〈独創の科学者はどんな夢を見るか?〉
ナレ:世界中の研究者が諦めたという、あるロボットがいま日本で開発されている。その開発者がこちらの方。
中村太郎:こんにちは。
ナレ:中央大学理工学部教授の中村太郎さん。いったいどんなロボットを作ったのか、特別に見せてくれることに。
中村:このロボットたちがですね、いま私が研究開発している、ぜん動運動をマネしたロボットです。
ナレ:そう、これがおそらく世界で初めて、腸のぜん動運動を再現したロボットだ。
中村:ぜん動運動というのは、縦に縮んだり管を閉じながら、それを規則的に繰り返していきながら、物を運んでいったりする機能を持っています。例えば、大腸とか食道の動きですね。
ナレ:こちらは、腸の動く様子を撮影した映像。腸そのものが、伸びたり縮んだりを繰り返すことで、食べ物を運んでいる。さらに、このロボット、ぜん動運動にしかできない、ある特別な運び方までも再現しているのだ。
中村:実はですね、運ぶだけではなくて、混ぜながら運ぶということができます。
ナレ:混ぜながら運ぶ、これこそがぜん動運動の真骨頂。これができるからこそ、食べ物が消化液などとよく混ざり、きちんと栄養を吸収することができる。そしていま、そのぜん動運動の力が、日本の宇宙ロケット開発に大きく役立とうとしているのだ。
中村:燃料の作り方をですね、ぜん動運動を使うことによって、イノベーションを起こそうと。
ナレ:これまでの燃料の作り方は、材料を大きなミキサーでかき混ぜて精製して運んでいたが、ぜん動運動ロボットを使う場合、材料を入れたら混ぜると運ぶを同時に行うことができるので、コストや手間を大きく削減できるのだ。
 現在は、2年以内の実用化を目指してさまざまな実験を重ねながら開発を進めている。
中村:人手を使わない、そして連続的に生産することができるというところで、コストが一気に下がる。さらに安全性、人手がかからないので安全性が高いというところの利点において、一気にイノベーションが起きると思っております。日々、もうワクワクしてですね、NASAとESAに対抗してやろうと思っているんですね。」

・・・混ぜながら運ぶロボット。ぜん動運動のロボットを作ろうという発想がすごいですね。

「藤井:ぜん動運動ロボットを開発されています、中央大学理工学部教授の中村太郎さんです。よろしくお願いします。
中村:よろしくお願いします。中村です。
 ~~~~~
織田:でも、なぜ腸を再現しようと思われたんですか?
中村:最初はですね、こうちょっと、ある企業がですね、ドロドロした流体を効率よく運ぶようなものを作ってくれというふうに言われたんですね。で、ずっと悩んでいたんですよ。で、悩みに悩んでいるときに、ちょうどある日、お腹が痛くなってですね、こう、座って、考えた。そしたらもう、イヤがおうにもこの大腸を感じざるをえない。
織田:これだぁ!と?
中村:そう。これだぁ!と、トイレの中で思いついたんですね。」

・・・なるほど、お腹が痛くならなかったら思いつかなかったかも。

「中村:利点としてですね、ドロドロしたハチミツみたいな高粘度流体とか、土砂とか、ポンプで運べないようなものを運べる。というのと、あとは混ぜながら運ぶことができるっていうのが、ほかのポンプにない大きな特徴で、産業界で困っているようなことを解決するかもしれない。
織田:幅広いですね。ロケットからマッサージ機まで。
藤井:金井さん、これご覧になって、腸だなって思われますか?
金井:人間の腸がやってることをやってるなぁと、いまちょっと感動して見てましたけど、これ、どんどんどんどん実用化して、もしかすると便秘とかですね、そういった腸の病気でもこういった機械が補助してくれるようなことができたらですね・・・
藤井:逆に体のほうに応用することも?
金井:そうですね。いや、将来なりますよね。ぜん動運動が機械でできるなんて、すごいなぁって。
織田:それで救われる患者さんがいっぱいいるでしょうね。おもしろいですね。これだけ進化した世の中で、やっぱり発想は人間の体の一部だったり。つくづく奇跡の生きもんだなぁっていう感じがしちゃうんですけども。これの、今後の目標っていうか、未来。宇宙へ行きたいですか?
中村:行きたいですね。」

・・・おー、逆に人間の腸に使えるかもしれないわけですね。 (つづく)

「藤井:ドラ息子の脳が、過敏性腸症候群を引き起こしているっていう可能性もあるんですか?
福土:あのぅ、過敏性腸症候群は、脳腸相関病なので、まさに今日のテーマの疾患なんですね。いろいろな心理社会的なストレスによって、脳の興奮は起こりますけれども、そうするとストレスホルモンのCRHが出て、それが腸の働きをドラマチックに変えてですね、いろんな腹痛や便形異常が起こるんですけども、これ非常に最近、ストレス社会で数が増えていまして、日本全国だと、まあ25.2%ぐらい、過敏性腸症候群と関連疾患ですけれども、全部合わせるとそのぐらいの割合で存在するということがわかりましたので、やはり脳と腸の両方の調整をうまくやっていくと。
織田:あと、金井先生にお聞きしたいんですけど、なぜ脳みそは自分勝手になってしまったんでしょう? どうしてドラ息子になってしまったんでしょう?
金井:はい。人類、ホモサピエンスが生まれてから20万年間の間で、ずーっと僕らは飢えに苦しんでいた。その中で100年くらいですかね、やっとごはんが食べられるようになって、しっかり食べられるようになったどころか、もう飽食になって簡単にたくさんの食事が摂れるようになる。そして、食事が有り余るようになって、カロリーオーバーになってる間に、脳が誤作動を起こし始めて、そういった状態になってしまったんじゃないかなぁ。」

・・・人体は飢餓に適応しているので、肥満やら糖尿病やらも飽食によって起きているんですよね。

「織田:体にいいわけではないし、刺激的だったりなんだったりで脳は喜ぶ。体によくないものに、やっぱり欲望に忠実にいってしまった。それもまた人間、っていう気もしなくはないんですけど。そのまま続けたらどんな未来の人類の形になるんでしょうか。
金井:あの、いま地球が40億年だというところで、あと地球は40億年ぐらいもつらしいんですね。で、人類がずーっと生きてって、過食になっていくと、過食で生き残れる人類が、もしかしたら淘汰されずに、過食のほうがいいっていう時代がもしかしたらもしかするとなるのかもしれませんけれども。」

・・・これから何万年も飽食を続けていけば、体がそれに適応して進化するってか。でも、すでに世界人口の増加に食糧生産が追いつかなくなるという話も出てるので、物理的に過食できない環境になるほうが近いかも。 (つづく)

「藤井:さて、映像でご紹介した總持寺の精進料理なんですが、今日は特別に作っていただきました。どうぞお召し上がりください。
織田:いただきま~す。・・・うん、あ、落ち着く。お味噌ですね。
藤井:みそ汁とごはんと、炊き合わせと・・・
織田:でも、普通においしいですね。
金井:おいしいですねぇ。なんか、ホッとする感じの、あとこれ、おそらくうま味とかそういったものがたくさん入ってるんだろうなぁ。
大原:すごくおいしいです。お出汁がしっかりきいてて、お精進だけれども、物足りなさが全然ないですし、なんか、あたしは元々こっち系の料理が好きなものなので、幸せな気持ちになりますね。ドラ息子にも食べさせてやりたいですね。
藤井:確かに、かおりがすごくいいですね。
福土:やぁ、幸せな気分ですよね。
藤井:いま幸せなのは、脳が感じてる?
福土:脳でしょうね。これから腸に流れていって、感覚が変わってくるかもしれません。腸で感じる機構が非常に大事なんですよね。うま味状態が腸の中で発現していて、その経路が迷走神経を介して、脳幹部に伝わるんですけど、そうするとあまり過食しなくても済むということがわかっているんですね。ですから、食欲が亢進しすぎて肥満になったりもしないという機構がわかっている。
大原:元々やっぱり精進料理というのはその、仏の身に仕えるために必要最小限のカロリーを摂って、俗物とかいろいろな欲とかにまみれないために食べる料理なのでね。
織田:肉、魚は欲なんだ。
大原:そうそう、欲なんですよ。ムダな殺生を自分のためにしないというね。自分の強欲を見直す、という感じですね。食を通して。うん。
織田:実は、いっとき肉を断ったんですよ。
大原:あら、ドラ息子でいらしたのに?
織田:そうなんです。数か月抜いてみたんです。全然抜いて平気だったんです。で、あるとき、ステーキを友だちの家でごちそうになったら、倒れちゃったんです。ん、ぅあーって。もう、肉食べたら、全部血がこう持ってかれるみたいな感じで。
大原:そうそう、消化にね。
織田:こんな重たいもの食べてたんだって。貧血状態みたいな。
 だけど、どうなんでしょうね、精進料理を、じゃあ食べ続けられるかっていうと、そんな単純なもんじゃなくて、それはある種、もう知ってしまってますから、喜びを。いろんな食がある。そうすると、ストレスになる。それもまたよくないわけですよね。これは、じゃあどうすりゃいいんだっていう話なんですけど。」

・・・肉食のおかげで、人類の脳が発達したという説もあったような気がしますが・・・ (つづく)

「福土:快食快便、これを行いますと、まず腸の信号が脳に伝達されるんですね。で、これが快信号になって、脳のさまざまな部分で処理される。そしてそのことによって、たいへん爽快な気分というものが生まれるというふうに考えられます。これを英語では、GUT FEELINGと呼んでいます。
ナレ:GUT FEELING。腸の喜びの声が届くことで、ドラ息子である脳のストレスが改善されるというのだ。食物繊維こそが、腸と脳の親子関係を良好に保つ道なのかもしれない。

織田:すいません、すべて悪いドラ息子です。いまのVTRのドラ息子、そのまんまを生きてます。
藤井:いまGUT FEELINGという言葉が出てきたんですけれども、GUTは腸でしょ。ガッツ、ガッツポーズなんかも関係ありますか?
福土:GUTを複数型にするとですね、これまさに根性という言葉になるんですね。で、No Gutsだと意気地なしになるし、Plenty of Gutsだと腹の座った、たくましい、ということになるわけで、やはり腸の言葉によって、われわれの感情を表現するというのは人類同じじゃないですかね。体得的に、おそらく体感していた言葉が残っているんだと思います。」

・・・“ガッツ”って、腸のことだったんですね。 (つづく)

「腸が生み出した息子とも言える脳。しかしいま、その脳は生みの親である腸を苦しめている。
 では、脳の欲望を抑えれば、腸にとっていいのだろうか。〈ダイエット〉ことはそう単純ではない。それもまた大きなストレスとなりかねない。脳がストレスを受けると、腸に信号が伝わり、腹痛や下痢を引き起こす。その状態が頻繁に起こると、近年急増している過敏性腸症候群など、深刻な腸の病を発症させるのだ。
福土:過敏性腸症候群の患者さんたちは、腹痛は感じるわけですけれども、この腹痛のシグナルは、扁桃体を強力に活性化させるということがわかってきました。この扁桃体の部分は、不安、それからうつ、それから痛みにたいへん関係する場所であるということがわかっていますので、たいへんストレスを感じやすくなる、ということが考えられます。」

・・・脳のストレスが腸の病を発症し、それがまたストレスを増やすという悪循環。

「ナレ:脳は腸にとって愛しいわが子なのに、現代では足をひっぱるドラ息子のような状態になっているのかもしれないのだ。では、腸は、ドラ息子である脳とどのように付き合っていけばいいのだろうか。
 そのヒントも、あの精進料理に隠されていた。食物繊維が豊富に含まれている精進料理を摂ると、健康な便がしっかりと排出。すっきりしたというその腸の気持ちが、逆に脳を変えるというのだ。」

・・・ほー、やっぱり和食。食物繊維。快食快便が悪循環を断つ。 (つづく)