「人体を構成している全細胞数が約30兆個であるのに対し、人体の常在菌の数はほぼ同程度の38兆個と言われています(従来、細菌数は人間の細胞の約10倍と言われていましたが、2016年の論文ではほぼ同等とされました)。人間とマイクロバイオータの相互関係は、健康や疾病と密接に関わっていることがわかってきて注目が集まり、2007年から日米欧、中国などの国際的なヒト・マイクロバイオーム計画が進められ、多様な解析が進んでいます。常在菌はこれまでヒトから分離すると培養が難しく研究が進みませんでしたが、DNAなど遺伝子の解析技術が進み、ヒト・マイクロバイオームの研究が飛躍的に進みました。その結果、タンパク質の遺伝情報である遺伝子は、ヒトでは約2万3千ありますが、ヒトの常在菌が持っている遺伝子は約300万~1200万もあるといわれており、ヒトの遺伝子は自らにはない細菌の遺伝子と協力しながら、栄養を分解して摂取し、肥満を防ぎ、免疫機能を獲得して、健康を維持していることが分かってきました。」
・・・ヒトの遺伝子が2万3千で細菌の遺伝子が300万以上って、にわかに理解しがたい話ですが、つまり、ヒトが細菌の機能を使って生きている、ということですね。細菌がいなければ生きられない。健康を維持できない。とすると、清潔にしようと体内の細菌をやたらと殺すと不健康になってしまう。
「もともと遺伝子は変異を起こす性質がありますが、一世代が長いヒトでは起こりづらく、短時間で増殖する細菌では環境に合わせた変異が起こりやすい上に、地球の長い歴史を生存し続け、多様な遺伝子をもってきたと考えられます。米国の医師ブレイザーは「失われてゆく、我々の内なる細菌」に、常在菌が人間の健康維持に重要であることを解説し、抗生物質や抗菌剤などの乱用がヒト・マイクロバイオームの攪乱や減少を起こし、それが現代人の不健康や疾病に繋がっていると警告しました。」
・・・抗生物質等の乱用は、耐性菌の問題もありますが、そもそも健康のために必要な菌まで殺すんですよね。 (つづく)