「考えるまでもなく、世界がいっぺんに消え去ることがなくても、我々個人は必ず死ぬ。」
「しかし、常時そのことを意識して生きるなんて、「葉隠武士」じゃあるまいし、普通人にはできない相談である。」
・・・葉隠武士って、「武士道とは死ぬことと見つけたり」かな?
「そして、高齢の病人にとって、精神の安定を得るべき「今までの日常(の続き)」は、自分の病気のことに他ならない。かつて私は、86歳の高齢でもなお化学療法に執着する肺癌患者Yさんのことを書いたことがある(『希望という名の絶望』)。副作用をみかねて、さすがにもうやめようと、私は彼を説得して治療を中止した。
その途端、副作用が抜けた分だけ体は楽になったはずなのに、Yさんは腑抜けのようになってしまった。ご家族によると、「他にすることもないので、とにかく病気のことばかりをずっと考えている」ということで、私は頭を抱えてしまった。Yさんにとって、副作用や病状の変化(それは本人の自覚症状に出ない、血液検査の数値や画像での病巣サイズなどが主である)に一喜一憂することこそが「生き甲斐」であったのだ。」
・・・あー、これってなんかわかりますね。「治療ロス」って感じですかね。でも、治療や病院通いが生き甲斐になってしまったら、なんのために生きてるのかわからないので、そうではない生き甲斐、やりがいを持っておく必要がありそうです。 (つづく)