「チェックポイント阻害剤の一つ、オプジーボは我が国でも悪性黒色腫に対してまず認可され、次いで2015年12月には肺癌のうち、80%以上を占める非小細胞肺癌についても承認された。その他の腫瘍系に対しても順次追加で適応がとれる(使用が許可される)と思われる。これは癌患者にとって朗報には違いないが、世の中のほとんどがそうであるように、良いことの裏には悪いことがある。そしてこの場合、その「悪いこと」のために、日本の医療は壊滅するのではないかと私は危惧している。どころか、日本そのものが沈没する危険もあると、本気で考えている。」

 

「何よりもまず、そのコストである。新薬が出てくると、大概は既存の薬よりも高い薬価がつく。それ自体は仕方がないと言えば仕方がない。なんたって、「新薬」は、従来の薬にはない「いいところ」があるので承認された(のだろう)からである。
 ところが最近の薬価は、桁違いのペースで上昇を続けている。2015年のアメリカ臨床腫瘍学会で、ニューヨークのレオナルド・ザルツという先生が、衝撃的な発表を行った。癌の新薬は一定のペースで認可され続けているが、月当たりの平均薬価は90年代後半が1770ドル、2000年代前半が4716ドル、後半が7000ドル、そして2010年代前半が9905ドルと上昇の一途を辿っている。ちなみに1980年代前半は430ドルだから、それに比べれば20倍以上である。
 このくらいで驚いてはいけない。キートルーダという、上記のオプジーボと同種のチェックポイント阻害剤は、非小細胞肺癌に対する用法用量だと月当たりのコスト(体重75㎏の人に対して)が実に8万3500ドル、1年だと100万ドルを超えるのである。ザルツ先生によると、チェックポイント阻害剤についている値段は、mgあたりで換算すると、同じ重さの金(ゴールド)の約4000倍だそうだ。
 後述するが、さすがに欧米でもコストのあまりの高騰は問題となり、その後キートルーダについては用量も含めて再検討が行われた。化学療法との比較検討で、上記の「年間100万ドル」の用法用量の5分の1の量(体重1㎏あたり10mgに対して2mg)でもほぼ同等の効果が得られるというデータから、アメリカでも現在の非小細胞肺癌に対する投与量はその「5分の1の量」に設定されている。日本でこの薬が承認されるのは早くて2016年末くらいだが、同じ投与量になるであろう。」

 

 

・・・キートルーダは、今現在ではすでに承認されているようですね。それはともかく、金の4000倍! ともなると、健康保険でめんどうみていたら確かに日本の医療は壊滅しますね。 (つづく)