ここで、

某ソフトハウスの営業担当者S氏の体験談をここで紹介したい。
S氏は人材(ITエンジニア)のケアについては、普段から心がけている
という。

S氏:
「弊社では5名ほどの人材を大手SIベンダー(IT業界では知名度が高い)
さんの開発プロジェクトに入れていたんですが・・・」

「しばらくして、2名ほど様子がおかしいことに気付いたんです」

「そこで上司と相談した上で、契約先であるその大手SIベンダーさんに
事情を説明して、契約期間中でしたが、終了のお願いを申し入れた
ところ・・・」

「そのSIベンダーの責任者(マネジメント)の対応はかなり厳しい
ものでしたね」

「契約期間中だからとか、プロジェクトの進捗に悪影響を与えるだとか
非常に高圧的な姿勢で、長時間に亘って説教されてしまいました」

「色々ありましたが、最終的にはその2名の中途退場をなんとか受け入れ
てもらいましたが・・・本当に大変でした」


この事例では、S氏がITエンジニアのケアを通じて、早い時点で(心の)
変調を察知し、具体的な対策を講じ、そして思い描いたであろう結果を
導いた、といえるだろう。
S氏の観察眼と勇気ある行動力には大いなる敬意を表したい。


一方で、当該SIベンダーの責任者(マネジメント)にとっては、その後の
要員の補充、人員配置の再構築など相当なご苦労があったはずだ。

また、エンジニアの(心の)ケアという新たな視点において、大きな学び
があったのではないだろうか。


一般論で恐縮だが:

通常、「健常者」とは、相手も「健常者」である、という前提や認識の
もとで言葉を交わし、関ろうとするものだ。

それは・・・当然だろう。

しかし、このブログのテーマと接点のある課題に関る場合は、状況に応じて
臨機応変に、そして前向きに対処しようとする姿勢こそが「健常者」に
求められる。


ところで、
その中途退場した2名のITエンジニアについて、その後どうなったの
だろうか・・・

営業担当者S氏曰く:

「1名は2ヵ月ほど休みを取ってもらい、今では復帰して開発現場で
頑張っていますよ」

「残念ながら、もう1名は契約社員だったこともあり、あの時に会社との
契約も終了し、その後、連絡は取れてないですね」

ああ、彼は今どうしているのか・・・


もし、様子を見ながら、契約終了あるいはプロジェクトの区切りまで
だましだまし引っ張っていたなら、問題をこじらせ、状況はさらに悪化して
いた可能性がある・・・

・・・それは世間の常識や価値観では認識しにくい領域かもしれないのだ。


さて、今回のテーマを通じて、
きっと「あなた」にも言い分があるにちがいない・・・

それは次回で・・・