【結論】

 

確かに、月またぎの入院は最大2倍の負担増になる可能性があるが、加入している健康保険組合に付加給付の制度があれば、大した差にはならない。

 

 

 

【私のケース】

人間ドックを受けたクリニックに紹介いただいた大学病院を訪れると、

 

「入院・手術は2ヶ月先になります」

 

とあっけなく言われてしまった。

 

わたしの身体に発生したタイプのがんは、成長スピードが一年で数ミリと、確かに一刻を争うものではないようだが、宙ぶらりんの状態では落ち着いて仕事に専念できる気がしなかった。

 

ネット上でがんの名医や実績の多い病院を検索する中で、「入院待ち期間=4〜6週間」と明示・公表している大学病院を発見。早速電話で初診の予約をとりつけて、翌週に外来で受診することができた。

 

我ながら妙に積極的なこの行動、今から振り返っても、好判断だったと思う。

 

紹介状も持たずにいきなり現れたぶしつけな患者に対して、いかにも手際のよさそうな若い男性外科医は、「ちょうど先ほど、今月末の手術枠が空いたところです。2週間後の入院になるのでちょっとバタバタしますが、よかったら予約しますか」と、願ってもない話を切り出した。わたしは二つ返事で、その日のうちに入院と事前検査を予約して帰ることができた。

 

あとからわかったことだが、月末の手術や月をまたぐ入院は医療費が高額になりやすく、人気がないようだ。もしかすると、月またぎの入院を避けようと、月末日の手術をキャンセルした患者さんがいて、急に空きが出たのかもしれない。

 

一般に、健康保険の限度額認定や高額療養費の制度によって、所得に応じて設定された上限を超える医療費は最終的に負担せずに済む。これは医療保険不要論者の主張の根拠にもなっているものだ。

 

ただし、医療費は月ごとの計算になるため、月末をはさんで入院期間が2つの月にまたがると、負担額が月額上限の2倍になることがありえる。

 

わたしの場合も実際に、入院が月内に収まった場合にくらべて、7万円ほど窓口負担が増えることになった。

 

ただ、これもあとからわかったことだが、健康保険組合に付加給付の制度があったので、各月の負担が2万円を超えた場合、超過分は払い戻されることになっている。したがって、月またぎによる負担増も2万円に抑えられることになる。

 

そう考えるとやはり、キャンセル枠に飛びついて少しでも早く手術を受けられたことは、つくづく運が良かったと思う。