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家元の自分音楽史⑪【ヌードと愛情/VANILLA】
VANILLA

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※今回は恥ずかし日記じゃありません。
振り返ってみると、家元は女性ボーカリスト好きなことが分かってきた。
うすうす感じては居たんだけど。
例えば大黒摩季だったり、
HITOMIや木村由姫を聴き込んだり(時期的にはもっと後だが)
洋楽だとジャネットとか。
だからこの頃の邦楽で
男性アーティストの記憶があまりない。
この「ヌードと愛情」は、
たまたま聴いていたAMラジオの電波に乗って届いたものが
僕の琴線に引っかかった。
ちょっとハスキーなヘタウマボイス(失礼)で
サビで「バーカ!バーカ!」と言い放つ。
その落差加減が個人的大ヒット。
VANILLAの曲には他にも
こっちの方が有名か。
カゲキだが韻の踏み方が絶妙な歌詞がたまらない。
どちらも初めてラジオで聴いたときに
「これ、公共の電波に乗せて良いの?」
とか思ったなあ。
でも考えてみれば
「ピエールとカトリーヌ」
「ヘーコキましたね」
なども余裕でオンエアされていたのだから、
単に僕の耐性が低かっただけなのだろう。
そういえば、このころはネット環境なんて無かった。
テレビ見て、ラジオ聴いて一日が終わった。
なんの不自由も感じていなかった。
家元の自分音楽史・番外編【We Are The World/USA for Africa】
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子供の頃から好きだった
ずっとあなたが好きだった。
Byebye,Michael
家元の自分音楽史⑩【愛がたりないぜ/光吉猛修】
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久しぶりの更新はこちら。
そういえば、ヲタ的な曲を紹介していなかったので。
僕はどちらかというと、ゲーム寄りのヲタだった。
小さい頃からゲームセンターに足を運び、
主にナムコのゲームを遊びまくっていた。
ゲームセンターの主流が対戦格闘ゲーム(スト2など)になったとき、
流れに乗れなかった僕は、
しばらくゲームセンターから、足が遠のいていた。
だって 波 動 拳 が 出 せ な い んだよ!
技表だとレバー+ボタンって書いてあるじゃん。
それの意味が分かんなくてさ!
グルって回した後でボタン押すの?
ボタン押すのと同時にレバー回すの?
で、ガチャプレイしてると昇龍拳が暴発したりする。
仕方ないので連打系のお手軽キャラの、春麗とか本田に手を出すんだけど
待ちガイルとか対空昇龍に完膚無きまでに玉砕。
僕には格ゲーは無理なんだ…。
1994年末。
新宿コマ劇場の前にある、大きなゲーセンにふらりと立ち寄ったとき。
黒山の人だかりがある一角に目を引かれた。
「なんだ、格ゲーか」
苦手なジャンルのゲームだ…
そうスルーしようとして、
視界の隅に映ったゲーム映像に目を奪われた。
リアルな3Dの、美麗な人間モデルがくねくねと動き、
対戦を繰り広げている。
2Dとは比較にならないダイナミックな画面遷移に、僕は釘付けとなった。
これはやってみたい。
200円のプレイ料金は高いと思ったが、躊躇せず投入。
結果は瞬殺だったが、
自分のレバーさばきでリニアに動く、3Dモデルの存在は
僕を魅了するに十分だった。
僕は、バーチャファイター2にはまった。
* * * *
その日から、僕の生活は激変した。
仕事帰りにはゲームセンターへ直行し、閉店までひたすらプレイ。
休日には早朝から繁華街へ。
レバーを握らない日は無かった。
使用キャラはサラ・ブライアント。
コマンド体系が連打系なので、ガチャプレイでもなんとかなりそうだったのと、
強力な技が比較的簡単に出せるのが良かった。
2D格闘と違い、プレイヤーの技能レベルが比較的横一線だったこともあって
対戦でも結構な戦績を残すことが出来た。
勝てることが楽しくて、コインを投入し続けた。
聖地とよばれた「ゲームSPOT21」にも行った。
「鉄人」に憧れ、戦いを挑み、何度も跳ね返され。
ようやく一矢報いたときの達成感。
だけど、
そんな日々も唐突に終わりが訪れる。
いや、分かっていたんだ。
こんなことが、続くわけがないって。
給料の大半をバーチャに突っ込み、
生活費を削ってまでゲームに明け暮れた僕は、
目減りした預金残高を突きつけられ、
現実に引き戻された。
このままじゃ、生きていけない・・・。
僕は危険を感じ、足を洗うことにした。
思えば、愛は十分だった。
ただ。
金が足りなかった。
家元の自分音楽史⑨【淋しい熱帯魚/Wink】
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弾けてしまったとはいえ、バブル経済の残滓はまだ残っていた94年。
秋の気配漂うころ、僕は友人とともに、富士スピードウェイへ向かっていた。
当時勤めていた会社は、イメージアップの一環として
「企業メセナ」に注力していた。要するに文化・芸術活動へのタニマチみたいなものだ。
その一環として、某有名アーティストのプライベートレーシングチームの、
メインスポンサーとして、資金援助を行っていたのだが。
そのチームが、何と全日本GT選手権で、総合優勝しそうな情勢。
そこで「ぜひ応援を!」と、
パドックパス付きの観戦券が、僕のところに回ってきた。
それも2枚も!
当時F1を始めとするモータースポーツ全般に興味を持っていた僕が、
その誘いに乗らないはずがない。
さらに、特別なサプライズがあった。
当日、極秘ゲストとして、
人気デュエットの「Wink」の相田翔子さんが、パドックに遊びに来るというのだ。
それまでも、仕事が出版編集関連だったこともあり、
芸能人と打ち合わせをしたり、インタビューをしたことはあった。
でも、それは個人的願望とは別の話であり、
「○○さんに逢いたいから、企画をする」ことが出来るほど、出世もしていなかった僕にとって、
現役アイドルの傍に行けるなんてことは、夢の様な話だった。
****
当日。
早朝5時に車で出発。友人を拾って富士スピードウェイへ。
サーキットに到着したのは10時くらいだったか。
ぐるぐると駐車場を回って、誘導されたのは、
入場ゲートから一番遠いと思われる、砂利の駐車場。
それでもまあ、停めることが出来るだけ良かった。
何せ、優勝が決まるかも知れない、シーズンの終盤戦なのだ。
そりゃあ、混雑もするというもの。
車を停めた僕は、後部座席の荷物を引っ張り出す。
とりあえずチケットと、パドックパスを用意しなければ。
ない。
・・・ない!?
入場チケットは、確かに2枚あるのに、
パドックパスだけが、見あたらない。
あれほど確認して、バッグの中に仕舞ったはずなのに。
バッグの中身を全部ぶちまけ、
車の中をそこらじゅう探しても、
ついにパドックパスを見つけることは出来なかった。
僕は半泣きだった。どうしよう、どうしよう。
「まあ、観戦できるだけいーじゃん」
友人の言葉の優しさが胸を打った。
既にサーキットでは、別のカテゴリーのレースが始まっていた。
サイレンサーをつけない、生のエキゾーストノートは、
聞きしに勝るど迫力。
猛然とストレートを突っ走るマシンから一瞬遅れて、
とんでもない音圧で、爆音が襲ってくる。
下のカテゴリーでこれなら、
もっと上の、例えばF1ならどんなことになるんだろう。
ホームストレート上の観客席に腰掛けて、レースを眺めていると、
我々のチームのピットが見えた。
慌ただしく動くメカニック達の向こう、よく見ると、
日差しを避けるように、日陰に小柄な女性の姿が見えた。
「あれ、相田翔子じゃない?」
「うお!マジ!本当に来てたんだ!」
僕はピットに居る、会社の上司目がけて、
大声で叫んだ。
「○○さ――――ん!応援しに来ました―――――――!」
それに気づいてくれれば、パドックパスが無くても、
関係者として中に入れてるんじゃないか。
そんな一縷の思い。
「携帯で連絡取ればいいのに」
と思ったあなた。
当時はそんなものは無かったのだ。
僕の声の限りを費やした絶叫。
しかしそれは、
サーキットを駆け抜ける爆音に、
あっさりと掻き消されてしまう。
そのうち、相田翔子と思われる人影は、
ピットの奥へと姿を消し、
僕は叫ぶのをやめた。
****
目当てのレースは小雨の中で行われ、
僕らの応援していたチームは惜しくも2位。
年間総合優勝は持ち越しとなった。
色々な意味で失意を味わった僕は、
重い足取りで、サーキットを後にした。
もちろん、
家に帰って玄関を開けたところに、
パドックパスが落ちていたのは言うまでもない。
見つけたとき、しばらく崩れ落ちたまま、その場を動けなかった。
家元の自分音楽史⑧【THIS IS THE JOY/B.C.G】
Youtube - B・C・G - This Is The Joy
* * * *
忘れられた頃にひっそりと更新。
やがて時は流れ、僕も社会人の一員に。
当時はバブル経済の絶頂期。
特別なスキルも学歴も無いのに、
なんとなく面接を受けた某大手出版社に採用されてしまった。
どう考えても売り手市場です。本当にありがとうございました。
春。
新入社員達を歓迎する社内イベントが行われた。
場所は晴海見本市会場。
そう、かつてコミケが行われた、あの会場だ。
この会社、四半期ごとに「ミーティング」と称した
社員集会・兼パーティを開催するのが恒例。
そして、ステージゲストには毎回、一流芸能人が招聘されたのだった。
「今年の歓迎ミーティングも、凄い芸能人が来るらしいぜ」
「何でも、TMネットワークの小室哲哉がプロデュースしたグループらしいよ」
「なんだ、小室本人が来る訳じゃないのか…。でも凄そうだな」
同期の間では、その話題で持ちきりだった。
イベントを企画している、総務部に同期が居たので、
どんなグループなのか探りを入れてみた。
「何でも、これから積極的に売り出すらしくて、俺もよく知らないんだ」
「ワンレン・ボディコンの女の子達がたくさん居るらしい」
嫌な予感がした。
ドレスコードの厳しい高級ディスコの時代は、
トゥーリアの可動シャンデリア落下事故とともに幕を下ろし、
MZA有明やジュリアナ東京といった、ウォーターフロントディスコに
ダンスシーンは移行しつつあった。
そして、お立ち台には連日のように、
ワンレン・ボディコンの女性達がひしめきあい、
狂乱の宴が繰り広げられていたのだ。
僕はそれには冷ややかだった。
ディスコの主役が、踊りの上手い奴から、お立ち台の女性へとシフトしてしまったからだ。
折角ダンスを磨いてきたのに、そりゃ無いよ。
そんな僕の気持ちはともかく。
流行をいち早く取り入れる辺りは、さすが小室哲哉。
と、無理矢理良い方に考えてみた。
当日。
人手の足りない総務部の応援で、僕もイベントの設営を手伝うことになった。
新入社員歓迎ミーティングなのに。僕は椅子に座る側なのに。
椅子を並べたり、バミテープを貼ったりしていると、
仮設された楽屋に、ぞろぞろと女性達が入っていくのが見えた。
総勢10名以上は居ただろうか。全員ピンヒール、ヒョウ柄。
色々な意味で圧巻だった。
あれが噂の小室プロデュースグループか!
(当時はユニットという呼称はなかった)
間近で芸能人を見る経験は中々無かったので、
それだけで大興奮。
やがて設営準備から解放され、僕は会場の外へ。
どんな衣装で登場するか気になったが、追い出されては仕方がない。
* * * *
ミーティング開始。
新入社員数百人が一同に会する中、
まずは事業部長から、激励の訓辞。
粛々と進行するプログラムは退屈だったが、
この後は、お楽しみが待っているじゃないか。
我慢我慢。
そして。
いよいよ彼女たちの出番がやってきた!
壇上にずらりと並ぶ、ワンレン・ボディコンの美女たち。
みんなボンテージかつ、ギリギリのミニ。
若い血が滾る新入社員達は、早くも熱狂の渦。
リーダーっぽい娘が曲紹介。
さあ、どんな曲なのか?
「デビュー曲です、盛り上がって下さいね!”THIS IS THE JOY”」
(TOPの動画参照)
まんまお立ち台ギャルが、激しく踊りまくるその姿に、
最初こそ「おお!」と思ったものの、
歌が始まったとたん壮絶にずっこけた。
お世辞にも上手いとは言えない。
こんなんデビューして良いのか。
大丈夫か小室哲哉。
彼女たちは持ち歌を2曲、カバー1曲を披露。
会場の空気は、残酷なまでに冷ややかだった。
素人感丸出しのパフォーマンスを見せつけられ、
「一発屋」というフレーズが頭を駆け巡る。
「やっちゃったな」
総務の連中が、頭を抱えている姿が見えた。
* * * *
後の話。
「なあ、何であの娘たちを呼んだんだ?」
「ぶっちゃけた話、ギャラが安かったからだって」
「一流芸能人は?だって去年は○○が来たって」
「予算が削られてさ」
「来年はもう呼べないかもな、芸能人」
時に1993年。
バブル経済の終焉が迫っていた。


