今年の嬉しいニュースの一つに、赤崎、天野、中村三氏が青色LEDの発明と実用化でノーベル物理学賞を授与されたことがあります。ノーベル賞の選考委員は「青色LEDの登場は21世紀の世界を明るく照らす画期的な発明」と評しましたね。


一方、21世紀の後半に向けての日本。少子・高齢社会で人口減少の道をたどるということで、メディアでは明るくない未来像が描かれることが少なくありませんね。内閣府の調査では今から33年後の2048年に日本の人口は1億人を割るそうです。


日本は有史以来おおむね右肩上がりの人口増加にあり、昭和30年に9,000万人に達すると、同45年には1億人を突破。しかし、平成20年に12,808万人をピークに一進一退を続けた後、同23年に12800万人を割り込んで、これ以降人口減少傾向に入りました。


およそ80年間持続してきた人口1億人社会が終わります。それで、経済は縮小しつつも社会保障費が増加することに懸念が示されています。日本は高齢社会の最先進国になるわけです。それゆえ財務省は消費増税による財政の健全化に躍起になっているわけですね。


とは言え、人口では2011年の国連の統計で、日本はそれでも世界10位。先進国で見ると、世界3位のアメリカの31,000万人は別格として、ドイツ8,200万人、フランス6,800万人、イギリス6,200万人、イタリア6,060万人です。経済規模が縮小しても文化的に世界に影響を与えることは可能です。


クール・ジャパンと言われる文化面でのソフト領域とそのコンテンツ、工業製品に始まり、省エネ、農業、環境関連の技術力は世界有数ですし、昨今では日本食に大きな注目が集まっています。日本がこれまで自国のために進んできた道を、今後は世界へ普及する方向に向けることが求められています。



内閣府将来人口推移

未来予測に関しては様々な調査、分析が行われますが、人口統計ほど現実的な基礎データはありません。その意味で左の内閣府の年齢区分別将来推計人口を見ると、一億人を割る2050年まで逓減する日本人の中で60歳以上の人数は減らないのです。


2013年には25%だった高齢化率(65歳以上の人口割合)2050年には40%弱に高まります。これを活力のない不遇な社会と捉えるか、ダイバーシティ(多様性ある)な豊かな社会と捉えるか。もちろん後者となるように国づくりをしなければなりません。


社会インフラをとってみれば、これまで機動性重視だった都市づくりを、機能性にウエイトを置いたものにする。高齢者が活動しやすい環境は、幼児や障害を持った方々にも有効に作用します。核家族化で断絶間のあった若い人々は今よりも高齢者に接する機会が増えることで、人生の先輩としての様々な価値観や知恵を知ることができます。


ビジネスでは、この40%になろうとする高齢社会で、その主要層が安心と安全を貯蓄によってではなく、消費によって担保することができるスペックを有するサービスをいかに開発するかが重要なポイントになりますね。


こうした元気な高齢社会を築くことで、そのノウハウを世界に提供していく。日本を明るくする未来の処方箋は、これまでの科学、工業的な技術力、文化的側面と合わせたそのプロセスを通じて、日本という国が、世界にとって必要とされる国になるということだと思います。








2030年 超高齢未来 ―「ジェロントロジー」が、日本を世界の中心にする/東京大学高齢社会総合研究機構

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