安倍自民党総裁が今回の選挙演説で、物価上昇率2%のインフレ目標設定などで「必ず円安・株高に持っていく」と述べたことで、株式市場、外為市場が反応し、昨日、日銀との間でこの物価目標への協調と政策協定(アコード)を結ぶことが報じられただけで、日経平均は1万円台を回復する勢い。
昨年、民主党政府と日銀は年9月15日、8月4日、10月31日と、3回の「円売り」単独介入を行い、その規模はそれぞれ約2兆1200億円、4兆6000億円、8兆円超で、総額15兆円でした。しかしながらその効果は虚しいものに終わってしまいましたね。
この介入を含め単独介入に効果がない背景には、ヘッジファンドを代表とするリスクマネーの存在があると指摘するのは、ロスチャイルドやソロス・ファンドなどの日本人唯一の投資アドバイザーを務めた草野豊己さん。草野さんは次のように解説しています。
介入が実施されると、為替市場には経済の実態と乖離した「歪み」が生じる。例えば、円高に進むのが自然な時に円売り介入(ドル買い)を行なうと、それによって発生した歪みを利用して利益を得ようとするリスクマネーの資金が大量に流入し、逆の取引(円買い・ドル売り)を行なってくる。結果的に政府・中央銀行は介入の効果を打ち消されてしまうのである。
昨年の総額15兆円に及ぶ政府・日銀の実際の介入に対して、安倍総裁は円安・株高への決意と道筋を述べただけで一銭も使っていません。これはまさに「アナウンスメント効果」のなせる技ですね。市場の期待感の現われですが、もちろん実行が伴わねば、元の木阿弥ですが・・・
「アナウンスメント効果」とは本来、マスメディアによる選挙予測報道が有権者の投票行動に影響を与えることを指す用語ですが、金融用語としては、人の心理に影響を及ぼして政策効果をもたらすことを指します。
政治家とは本来、その言葉によって有権者を鼓舞し、その行動によって有権者を安寧させるミッションを持っています。この政治家の言葉が昨今力を失いつつありますが、安倍総裁はこの言葉の力を理解している数少ない政治家の一人だと思っているだけに、有言実行で邁進してほしいと期待しています。
今日は、安倍総裁にエールを贈る思いで、戦後ふがいない日本のアジア政策を目の当たりにしながら、それでも日本に期待した政治家の言葉を取り上げます。
もしも日本なかりせば
世界は全く違う様相を呈していただろう
富める北側はますます富み
貧しい南側はますます貧しくなっていたと
言ってしまっても過言ではない
マハティール (マレーシアの政治家)
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