音楽業界において熊本は福岡商圏の一つに過ぎません。熊本には1万人単位を収容する音楽専門施設はありません。よってビッグ・ネームのミュージシャン、外タレたちは九州でツアーを行う場合は、熊本をスルーして、福岡へお越し下さい、となるんですね。
現在の熊本でコンサートが開かれる主な会場の収容人数は、崇城大学市民ホール(旧熊本市民会館)で1,591名と、熊本県立劇場の1,813名。人気トップクラスのミュージシャンにとってはこの箱ではやはりキャパ不足。開催してもすぐにソールドアウトとなってしまいます。
スポーツ施設としては、市内中心地周辺に位置し、主に県の高校野球メイン会場となり、たまにプロ野球の公式戦が行われる藤崎台県営野球場が2万4千人を収容できますが、熊本城の隣接地であり住宅地でもあるため、音楽イベントが行われることは滅多にありません。
そんな中、小田和正さんが6月25日(土)、26日(日)の2DAYSでコンサートを開いてくれたのは、最大1万人規模の人数を収容するグランメッセ熊本。ただ、この会場は本来、産業展示場として設計されており、音響面では質を求めるミュージシャン側にとっては満足な会場とはいきません。
収容人数だけを考えれば、熊本県野外劇場アスペクタがあります。全長132.6m・高さ34mの巨大ステージと収容人数2万人（最大5万人）を誇る広大な南阿蘇村に立地するフィールド。しかし、なにせ熊本市内から40kmも離れていて、アクセスに難ありです。
しかし、地元で活躍するカントリー・ミュージシャンであるチャーリー永谷 さんが主催するカントリーゴールド (毎年10月第3日曜日)が毎年開かれ、今年で23回目。本場アメリカのトップ・カントリー・ミュージシャンたちが来熊することで、こちらには全国のカントリーファンが集います。
こんな音楽環境不毛地の熊本に明日、乗り込んでくれるのがMr.Children。会場は、熊本県民総合運動公園陸上競技場"KKWING"で収容人数は3万2千人。日頃は地元J2リーグのロアッソ熊本が本拠地にしている会場で、一昨年1月20日
に、サッカー日本代表
のイエメンとの公式戦（アジアカップ予選
）が初めて開催されました。
今回、ミスチル、4年ぶりの全国スタジアムツアー
ということで、広島ビッグアーチ(収容人数5万人)、横浜の日産スタジアム(同7万2千人)、豊田スタジアム(4万5千人)、大阪の長居陸上競技場(同5万人)の格上4会場の後塵を拝するような、この熊本の地を選んでくれたことに県民の１人として感謝しますよ。
ミスチルが今回、熊本を選んだ理由としては3月11日に九州新幹線が開通して九州圏内からのアクセスが良くなったことと、櫻井さんが大のサッカーファンであることだそうです。九州新幹線の開通で博多～熊本間が最速33分、熊本～鹿児島間が45分となっただけでなく、新大阪～熊本間が2時間59分となったことは、やっぱり大きな効果ですね。
地元FM局では夕方の音楽番組では、今週ミスチル特集でした。ファンの中には事前に会場に足を運び、ミスチルの機材搬送トラックや会場設営の様子を見て、既にそれだけで感動している若者も少なくないようです。
また、テレビ、ラジオでは、県警などが明日ミスチルのコンサートが行われることに対し、ミュージシャン名をあげず、「27日はKKWINGでコンサートがあるため、交通規制を行います。会場へは公共交通機関を利用し、マイカー乗り入れはしないようにお願いします」という異例のコメントを流しています。
こんな記事を書いておいて、私はミスチルのコンサートに行くわけではないのですが、ラジオでは、明日のコンサートを楽しみにしている方の中には1994年発売の5thシングル「innocent world
」からのファンでありながら、コンサートは初めてという人の熱いメッセージを伝えていました。
今年になって小田和正さんに続いて、今回のミスチル。これまで地元で決して見ることができなかったビッグ・ネームの来熊を歓迎します。ちなみに私は、熊本では1974年だったか76年、今はなき水前寺体育館でカーペンターズのコンサートを見て、涙したことを覚えています。とにかく、明日の熊本は、ミスチル一色になる一日です。
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