昨日のFM「サントリーサタデー・ウエイティング・バー AVANTI」。「プロデューサーはつらいよ」というテーマで、石原隆さん(テレビ番組制作会社)と杉尾敦弘さん(フジテレビ)が「プロデューサーの仕事」について、次のような話しをしていました。番組サイトから引用します。



石原隆

昔、あるプロデューサーに言われた。「プロデューサーの仕事は、お客さんにその映画を見る理由を作ってあげることなんだよ」と。お客さんは映画を見る前にその映画を見るかどうか決めなくてはならない。その判断の材料になるモノ(キャスティングやCMなど)を作るのがプロデューサー。


映画とは違う部分もあるけど、テレビのプロデューサーも基本的には一緒。特に連ドラ第1話の視聴率はプロデューサーに掛かっていると言われる。その後、内容によって視聴率は上下するので、最終回の視聴率はディレクターのもの。


あるドラマの企画があって、キャスティングまで決まっていたら、原理的には第1話の視聴率はその時点で決まっているはず。プロデューサーはそんな夢のない部分を請け負う事務職。ディレクターやカメラマンといった芸術家たちが作ったモノをお客さんに繋いでいる



杉尾敦弘

僕(杉尾さん)は以前、担当していた番組が放送された翌朝に会社へ電話を掛けて視聴率を聞いたら「10.○%です」と言われてガックリと肩を落とした……ところでパッと目が覚めた。そして「夢で良かった!」と思って会社に電話をしたら「9.8%です」と言われた。これがプロデューサー。


東京一の日常会話 サントリーサタデー・ウエイティング・バー AVANTI

http://www.avanti-web.com/thisweek.html


映画、テレビ、音楽などのプロデューサーは、「制作活動の予算調達や管理、スタッフ の人事などを司り、制作全体を統括する職務として、ディレクタ よりも広範囲な権限を有し、制作物の商業 的な成否について責任をもつ」(ウィキペディア)という意味で、中小企業であれば経営者にあたる役割を演じます。中には、自ら汚名を着た方々もいますが、数字に支配される厳しい世界であることに違いはないでしょう。


「コト」の立ち上げは、「モノ」を動かす動力のメカニズムに似て、動かすまでのパワーに大きなエネルギーを要し、動き出すとあとはそれをコントロールするだけのパワーにシフトダウンすることができますね。実際「コト」の立ち上げの難しさは、今現実問題として、実感しています。一方で「コト」を終わらせることも、それ以上のパワーを必要とします。車のブレーキと同じですね。飛行機でも離陸よりは着陸の方が難しいといいますものね。いずれにしても、「コト」の立ち上げとしまい方はプロデューサーの仕事の領分。杉尾さんが自らの仕事を、クリエイティヴではなく、事務職だという意味、わかります。