今日は、この会社の仕事をする前に社長から営業職を請われて紹介した男性に4月に入社してもらったことから当の私が導入研修をすることになった話です。彼は22歳で、これまで会社員としての経験はありません。それを承知で社長はOKを出していました。私はこの会社にはプロパーが少ないことを知っていて、中小企業だからこそ一から育てる人材が必要だと説得していました。


ところが、彼が入社することを知っている幹部はいませんでした。この幹部たちから「今、素人を採っている状況ではない」と責められたのは私でした。当の営業部長でさえ、今新人を教育している余裕はないという。私は彼を入社させる前に社長に再三確認していたのですが、やはりワンマン社長です。周りは困惑し、結局私が担当することになったのです。


しかし、彼はまじめな青年です。一からここで勉強し、営業マンとして独り立ちすることを決意しています。ここは彼を育て、周りに認めさせることが得策です。今日はリスト作成から始めました。そこへすかさずある幹部から、私のところに電話連絡が入りました。「一人でちまちまと紙切りやってるもたいだけど、こんなことをいつまでやらせておくのか。うちはこんない仕事に給料を払える余裕はないぞ」というものでした。


ここは我慢のしどころ。半分聞き流して、作業を続けさせました。リストはほどなく完成し、来週からの実践に向けて営業の基本的なことを講義しました。そして、訪問シーンを想定したロールプレイングを一時間ほど行いました。最初は全く話しにならなかった彼の挨拶も、見る見るうちに良くなり、彼も多少ながら自信を持ってくれるようになりました。明日からが楽しみです。


さて、膿んでいる会社に総じて見られるように、この会社も目下自分のことより他人のあら捜しに熱心です。忙しくはあるものの目的がしっかりしていないので疲労感だけが溜まります。しかしながら、まだ光明はあります。責任ある仕事したいという気持ち、お客様を大切にする心があります。


昨日までこの会社の問題の核は財務にあると書きました。しかし、実はもう一つ根本の売上が予算に追いついていないことがわかりました。9日目にしてこんな基本的な情報が今日分かったのです。私自身の目も節穴でした。インタビューばかりに気をとられ、現実の数字を見ていませんでした。売上が追いついていないのですから、資金繰りが厳しくなるのは当たり前ですね。明日から気を引き締めて取り組みたいと思います。