先週、ヘッドハンティングの仕事で宮崎市に行きました。先方との待ち合わせ時間に少し時間があったので書店に寄ってみると、目に止まったのが「接待の一流」(光文社新書)という本でした。著者はあのソムリエとして名高い田崎真也さん。奇しくも私と同年齢(学年は一つ上ですが)。先方の面談に少しでも役立てばと思い、さっそく買って拾い読みました。




「ヨーロッパの『ホスピス』は、その後『ホテル』と『ホスピタル(病院)』の起源になりますが、いずれも有償の施設です。かつての『ホスピス』のように無償ではなく、ホテルや病院が『サービス』を提供する見返りに、利用者は代金を支払うというシステムが構築されました。つまり、『もてなし』=『ホスピタリティ』は無償ですが、『サービス』は有償なのです」(はじめに)

「酔っ払って盛り上げるのが接待だと、勘違いしていませんか?」。本書の帯にそうかかれています。さすがにそのような勘違いはしている人は少ないと思いますが、「いい店を頼むよ」「この店、僕も初めてなので」「あの店にいけば安心して任せられる」「この料理でいい」「「こちらの方、ワインに詳しいので選んでもらって」などと口にした人は少なくないのでは?これこそ田崎さんにいわせれば「もてなしベタ」。




田崎真也

「ホスト側は、ゲストの大切な時間を自分が預かっていることを、忘れてはなりません。『いい時間をすごせた』とゲストに思ってもらえる努力をすべきです。そのためにゲストに対して気を配り、尽くし、思いやる。これが『接待』の最低限の心構えであり、義務です。これがあって、はじめて接待をする意味が生まれてきます」。

著者は接待における事前リサーチの重要性について五つのポイントを挙げています。予約電話の対応、玄関まわりの清潔感、店の人の対応、席の配置、料理の味、飲み物リスト、サービス、トイレの清潔さ、男女別かどうか。

公私に限らず接待する場合に「ゲストの大切な時間を預かっている」ことを認識し直す。ホストであることを自覚する。相手の好みをきちんと優先させる。「美味しかった」より「楽しかった」を目指す。相手と同じものを食べる。日ごろ漫然と「接待した」と思っていたことに見落とされた視点がいっぱいの自分を恥じる、そんな一冊でした。

さて、その日のヘッドハンティングはいい結果をもたらしてくれるのでしょうか?


接待の一流