「ゆうにぃ、すきありーーー」
俺が剣で斬った瞬間に たまごの体が消えて、俺の背後から たまごが俺の体を大剣で斬った。
「やったね!!」
たまごが、そう言った瞬間に俺の体が消えた。
「えっ!?」
驚いた たまごは俺に剣で体を斬られた。勝負は俺の勝ちだ。
「いたた。負けちゃった・・・なんで?」
たまごは自信があったようだが、まだまだ だな。とりあえず両手にバケツを持たせ、頭の上にバケツを乗せて立たせる。
「痛くねーだろ? 最後に力を抜いたからな!!」
「だから、なんで?」
たまごは負けた理由が、わからないみたいだ。
「引き籠ってても、ちゃんと訓練していたからだよ」
たまごが先程使った技は、気を使い残像を その場に残す技で、これに魔力を足すと分身の術が使える。残像に気を残す為、そこに居るかのように見えるが 気を感じられる俺は、たまごが移動している事に気がついていたと、説明してやる。
やっくんが忍者系の春画を書くために持っていた忍術書で勉強したのだ。忍者はマロン・・・もといロマンだからな。
「でも、なぜ? どうして?」
たまごは納得 いかないようだ。
「簡単だよ。残像に気を残すまでは いいけど、たまご本人の気が消せてないからね。気を繊細に張り巡らすと わかるのだ」
「なんと !! この技で、あまいちゃんに何度か勝っていたのだけれど、なぜか最近 勝てないのは、そう言う事だったのか・・・」
なるほど、俺には有効だと思ったのね。
「たまご、分身の術までは使えるように なったのか?」
「そ、そこまでは・・・」
分身の術は繊細な魔力操作が必要だから、たまごには無理か。
「たまごの ご褒美は、なしで!!」
たまごは落ち込んでいるようだ。
「仕方ねぇなー 教えてやるよ。頭の上にバケツを乗せて座禅を組み心をカラッポにするんだよ。気を消せたら ご褒美をあげるよ」
「ほんとに? 頑張るぞ!!」
たまごさん・・・元気が出たけど、たぶん気を消すのは簡単な事じゃないと思うけどな。俺も甘々だな。
あまいとの勝負は昼からなので、お互いに向かいあって座禅を組み、相手の気を探りながら自分の気を消す訓練をする事にした。
「冷たっ!!」
頭の上に乗せたバケツの水を、たまごが浴びたようだ。スースーと寝息が聞こえてたから、そうなるよね。
「困った奴だなー まぁ、ご褒美は なしだけど昼だし食事にするか?」
「さすが、ゆうにぃ。おっひるー おっひるー」
そこが子供だと いうのに・・・たまごと昼飯を食べる事にした。
つづく