「もうしません。許してください!!」
木刀で叩かれているナツが叫んだ。
「継母様、ナツは悪くありません!! 指示したのは私です。罰するなら私を罰して下さい」
私は継母様にそう言うとナツを木刀からかばった。自分が痛いのは我慢できるけど、私の所為(せい)でナツが罰を受ける事は我慢できない。フユという名の女性は私を気にせず叩き続ける。
「そんな事は、どっちだって構いません。これは躾ですよ? 私のやり方に文句をつけるのですか?」
「そうそう、お母様の言う通りですわ!!」
継母様、どっちでもって・・・ハツ姉様は黙っててよ!!
「フチ様、私は大丈夫ですので・・・」
ナツは私の体を押しのけようとするけど私は拒んだ。
「継母様、だから私が悪いので私を!!」
「駄目です!!」
「そうですよね。お母様」
これの繰り返しで、その間フユという名の女性は私を叩き続ける。
「もう、いい加減にして!! 皇子の屋敷から帰るように言ったのはハツお姉様ですし 西市の件も相手が勝手に文句を言って来ただけで、私達は何も怒られるような事はしていません!!」
わけもわからない場所に来て怖かったから我慢をしてきたけれど、我慢できずに言ってしまった。
「何を言ってるの? 私に逆らうのですか? フユ、もっと叩きなさい!!」
「そうよ。私は帰れなんて言ってないわ!! ハルもフユを手伝いなさい!!」
ハツ姉様の指示でハルという女性も私達を叩き始めた。
「ハツお姉様!! 嘘を・・・」
私が抗議しようとした瞬間、ハツ姉様とハルという女性が目配(めくば)
せをしたのが、わかった。何故わかったのかは、わからない。
ただ、目配せをしたあと・・・木刀が私の顔を叩いた。
たしかに、私の顔を木刀が直撃したはずだった・・・が!!
私はハルという名の女性の木刀を取り上げ逆に叩き飛ばした。
「フチ!! なんて事を・・・フユ、なんとかしなさい!!」
継母様の指示で フユという名の女性が私に木刀を叩きつけてきた。
今度こそ木刀が直撃かと思ったのだけれど、私は持っていた木刀で防いだのだった。・・・なぜだろう? 体が勝手に動いたのだった。
私がフユという名の女性と相対していると・・・
「タカコ、何をやっているんだい? フユも私の娘に何をしてるんだ!!」
見知らぬ男性が入ってきた。っていうか、娘!?
「あなた、フチが言う事を聞かないので躾けてただけですよ」
継母様が言った。っていうか、誰この人? お父さん!?
つづく