九刃物語10 | 遊人 World

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「カラッポの思念って、鍔(つば)に宿ってるんだね」

 

たしか、刀には鍔の両側に切羽(せっぱ)と言う部品があったはずなのだが無く、元から鍔が刀の一部のようになっていた。刀の部品は知らないが、切羽が詰まると 鍔が刀から抜けないとの意味から、切羽詰るという言葉が生まれた事を知っている。

 

カラッポは、常に切羽詰ってるのか? ・・・笑える。

 

その上、鍔を刃の方から見ると 左側に松・右側に魔神らしき者の飾りが施(ほどこ)されている。どう考えても、この魔神が本体だな。

 

「よく分かったな。秘密じゃぞ」

 

柄(つか)を外すと、柄を止めてあった穴の他に九つの穴が開いていた。これが九の力を束ねる部分だな。

 

「カラッポ、一つ聞くけど 左側に松の飾りを選んだのは、お前?」

 

「いや、俺に罪を着せた女神の仕業だと思うよ」

 

「そうなんだー」

 

ここは流しておこう。カラッポが女心も わからない馬鹿という事だけは わかった。松には、不老長寿・永遠の若さ・勇敢などの意味があるのだが 慈悲や哀れみ・可哀想などの意味もある。これは女神が愛する人を嫉妬して松に変えたという話から来ている。

 

気持ちに気がついてくれないカラッポに、女神が・・・という事だな。

 

「わしの話は、もう いいじゃろ。先の話を しようではないか。あのテントの仕組みはどうなってる? 魔力回復薬は何本あるのじゃ?」

 

「一度に聞かれてもなぁ。柄を交換中だしー」

 

「お前は馬鹿か? 何度、言わせるのじゃ? 柄を握(にぎ)れば一心同体じゃと言っておろう。話さなくても意思が・・・あっ!!」

 

自分の馬鹿さに気がついたようだな。柄の交換中だ。

 

柄を交換しながら説明した。調理器具とテントは、魔力を補充する事で壊れるまで永遠に使える魔道具で、テントは2日分補充されている。魔力回復薬は、7本ある。

 

「とりあえず、魔力回復薬を飲んでテントに魔力を補充してみよう」

 

柄の交換が終わったカラッポが言った。何日間、野営が出来るかを知りたいらしい。あと、魔力の使い方の練習も兼ねているらしい。

 

魔力の使い方に興味を持った俺は、薬を飲んで魔力を補充してみた。

 

 

つづく