「びみょーーーーー」
たまごの感想だ。
「もう少し、露出が・・・」
あまいの感想だ。
訓練前に出来上がった服を見せた時の2匹の感想である。
この2匹には感謝すると言う事が無いのだろうか・・・七分丈のズボンを履き、その上に 腰から膝の間くらいまでの長さの着物を 太めの帯皮で締める服装だ。普通の帯ではなく皮の帯にしたのは剣を差すだろうと言う思いやりだ。七分丈も動きやすいようにと・・・
たまごは黒を基本に、あまいは赤を基本に染めているが、女の子だし1色では可哀想なのでイロイロな部分を縛り模様も出してある。
たまごは汚すから黒、あまいは似合うだろうと赤にした。人の思いやりをなんだと思っているのだろうか? 育て方を間違えたのだろうか・・・
「いらないなら、裸でいれば?」
「ごめんなさーい」「言い過ぎました」
2匹は暗い顔をしている。
「ほんとうはー」
たまごが言った。
「せーの、ありがとう」
2匹は笑顔で声を合わせて言った。
「おまえらーーーって、泣くかボケー」
2匹は嬉しそうに服を持って逃げて行った。
訓練場で待っていると・・・着替えた2匹がやってきたので2足歩行の戦闘訓練をする事にした。
「その前に、何か 一言ないの?」
あまいが言って、2匹で並び立った。
「ん? あー にあう にあう」
「ごしゅじんさまのばーか」「ご主人様、最低ですよ」
2匹の機嫌が物凄く悪くなった。
「うそ うそ とても、似合ってるぞ」
「それほどでもー」「当然です」
機嫌の良くなった2匹と訓練を再開する。2足歩行の戦闘訓練に慣れるまでは午前中は訓練だ。
訓練を終え昼飯を食べようとすると
「おはし・・・くださーい」
たまごが言った。
「私も欲しいです」
あまいも言った。
「おまえら箸を使えないだろ?」
いつもは食器に口を付けて食べるのに何言ってんだ?と思う俺に、2匹は無言で手を見せた。
なんと・・・2匹の手は、かなり毛深いが人間のような手になっていた。いつの間にか2匹は2足歩行する動物ではなく、獣人になっていたのだった。
「おまえら、もっと早く言えよな。明日からは打撃以外にも剣の訓練もするぞ」
「箸が使いたかったら言ったけど、失敗したね あまいちゃん」
「そうだね、たまごちゃん」
2匹・・・改め、二人は言わなければ、よかったと言う顔をしていた。
「はい、お箸。これからは動物としてでは無く、人として扱うからな。あと黙ってた罰として、昼から剣の訓練を二人でするように」
「あちゃー」「・・・・・」
二人は剣の訓練に行ったので俺は瞑想する事にした。
夕食を食べ終え二人が俺の所にやってきた。
「いつもの」「やさしくしてね」
「何言ってるんだ? 人として扱うと言ったろ?」
2匹は部屋着用の浴衣を脱ぎ捨てて
「ふく着てないから、今は動物だよねー あまいちゃん」
「そうだよねー たまごちゃん」
困ったやつらだと思いながら二人の毛並みを整える。毛並みを整えられた二人は寝床に行ったが、俺が寝床に入ると
「くちゃいけど、さむいので」「さぶ さぶ」
と言って、俺の寝床に入ってくる。生まれた時の恥じらいは、何処に飛んで行ったんだろうと思いながら二人と眠るのだった。
つづく