はじまりの夢62 | 遊人 World

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この世界の物語はフィクション!! 気分で? 音楽・魚・植物等
(トラブル防止の為、二次使用禁止)

「ごしゅじんさまー いりぐちがー」

 

出入口が開かないと、訓練に向かう予定だった たまごが言った。

 

「またまたー 訓練に行きたくないから開かないふりしてー」

 

「訓練には行きたくないけど・・・そんな嘘はつかないよー」

 

「つまみ食いの時は、嘘をつくのに?」

 

「あれは、べつ」

 

朝、お手洗いに行く時は開いたので嘘だと思うのは当然だった。それとなく、つまみ食いの時は嘘をつきます宣言したので デコピンを3発贈呈(ぞうてい)しておいた。

 

「ご主人様、本当に開きませんよ?」

 

あまいが言ったので、もしかしたらと思い梯子(はしご)に登って入口上部の確認窓から外を見ると拠点が雪に半分以上埋まっていた。

 

「たまご・あまい、登ってきて外を見てみろ」

 

「えーーーーーー」「綺麗ですね」

 

外を見た たまごは驚き、あまいは幻想的な景色に酔っていた。

 

景色に酔ってばかりはいられない。なぜなら、食料は沢山あるし水は魔法によって出せるが・・・臭いがこもる事を恐れ、お手洗いは外にあったのだ。

 

「緊急事態です。お手洗いが雪に埋まってしまいました」

 

「あっ」「それは困りました」

 

2匹は、これでも乙女なのだ。

 

「さてと、魔法を使う お勉強をしましょうか?」

 

「めんどー」「私は、やらなくても・・・」

 

2匹は嫌そうだったが

 

「別に、俺は構わないけど・・・お前ら困るでしょ?」

 

お手洗いが埋まったままでは困る2匹は、同時に うなずいた。

 

「さて、問題です。この窓しか出られる所はありません。どうやって、お手洗いまで行くのでしょうか? ただし魔法以外の使用は禁止します」

 

「はい はーい」

 

たまごが勢い良く手をあげる。

 

「たまごさん、どうぞ」

 

「お手洗いの上まで雪の上を歩いて行って、お手洗いの周りを炎で溶かすと、いいと思いまーす」

 

自信満々に答えた たまごに、蔓で作った太い紐を装着させて実践させる。

 

「いってきまー・・・・・引き上げーてー こごえるよー」

 

たまごは・・・いってきまーすと、まともに言う暇もなく雪の中に沈んでいった。たまごを引き上げてやると

 

「さぶ さぶ」

 

たまごは囲炉裏に直行した。

 

「あまい、答えをどうぞ」

 

「出入口の前の雪を炎で溶かし 本来の出入り口から外に出て、お手洗いまで炎で雪を溶かしながら行きます」

 

「半分正解だが・・・雪を溶かした後の水で拠点が水浸しにある可能性があるよね? 炎を使ったら拠点が燃えるかもよ?」

 

「炎は私が使うので大丈夫だけど・・・水かー・・・」

 

「炎で雪を溶かしても周りの雪が落ちてくるよ?」

 

「一度に全部の雪を炎で溶かせば、いいのでは?」

 

「ばっかもーん! お手洗いまで燃えるだろうが!」

 

「あっ!」

 

あまいも、まだまだである。

 

俺は出入口付近の雪を凍らせて中心だけ蒸発させた。これなら凍った雪が壁になって雪が落ちてこないし、いっきに蒸発させるので水も残さない。小難しい言い方をすると・・・壁になる部分の雪の熱量を下げて、中心の雪を熱で溶かすのではなく、中心の雪自体の熱量を上げて一度に蒸発させると言う事だな。魔力量の問題はあるが想像するだけで出来る魔法は便利であった。

 

「だから、振動させて? 熱量を上げる事が想像できないんだけど?」

 

あまいが言った。朝、顔を洗う時に2匹は冷たい水で洗っていたが、俺だけ温かい水で顔を洗っている事が、ばれた時に少し説明してやったのだが科学や物理を知らない あまいには理解できなかった。

 

この後、たまごと あまいは水を温める為に炎を水に入れたが、水が蒸発してしまったのは言うまでもない。

 

 

つづく