「たっだいまー」
たまごと あまいが帰ってきた。
「遠い場所じゃなかった?」
「とーかったけど、途中で おべんと忘れたのに気がついて帰ってきた」
たまごが言った。
「途中で帰ってきたの?」
「荷物を取って全速力で帰ってきたわよ」
あまいが死んだ魚のような眼をし、息を切らしながら言った。
「おひるーーーー」
「はい はい」
いつの間にか昼になっていたので昼飯を作って食べた。
「いってきまーす」「いってきます」
元気な たまごは、あまいを引っ張って遊びに行った。炬燵(こたつ)は無いが、そろそろ あまいは丸くなる時期なんだが。
「元気な2匹ですねー あっ こっち見ないでね!」
花ちゃんは荷物の中に着替えがあったので早速、着ていた。
「今更、見られたって減るもんじゃねーだろ? 見ないけどさー」
「減るよー 見慣れるって言葉あるでしょ? 女の価値が減るんだぞー」
なるほど、納得した。
「荷物の確認しなよ」
軽装に着替えた花ちゃんが荷物を確認している間に携帯できる食料を見繕(みつくろ)う事にした。なぜなら、植物を探しに来て迷っていたのだから発見して いないだろうし帰るのにも食料は必要である。一人で探させるわけにもいかないしね。
食料を、いつでも持ち出せるように準備して地下室から上がってくると荷物の確認が終わった花ちゃんが座っていた。
「荷物の方はどう?」
「食糧以外、ありました。一部、動物に荒らされてる物がありますが」
食料は・・・・・・まさかね。
「では、本題に入ろうか? 荷物も戻ってきたし、とめても植物を探しに行くんでしょ? それとも一旦帰りますか? 2・3日は休養を勧(すす)めるけどね」
「それもあるけど、まずは・・・これを受け取ってね」
六法全書並みに分厚い本1冊・少し厚めの本2冊・金貨10枚に銀貨・銅貨数枚を袋から取り出して渡された。
「これは? それより、その袋なに?」
20㎝位の大きさの袋に、こんなに入る訳がない。
「袋? あー これ? 魔法の袋だよ。本と通貨は助けてくれたお礼ね」
質によるが家1軒分、入る魔法の袋もあるらしい。
「お礼なんて裸見たしチャラでしょ? 別にいらないよ」
「がははははー 私の裸にそこまでの価値は無いよ。スケベな事を、したわけじゃないからね。お金は持ってても損はないし3冊の本は役に立つと思うよ。スケベな本じゃないけどね。がはは」
これは、口移しの件は黙っておいた方がいいな。
「神秘級の薬を大量に使ってくれたんでしょ? 本来なら白金1枚位のお礼がしたい所だけど、どうせ受け取らないでしょ? ほんとに、スケベな事してないんでしょ? 私の裸を見た分を引いても、これくらいは受け取ってもらわないと・・・」
スケベな事をしていないよねと確認したいのだろうか? 言葉の端々(はしばし)に出てくる。 意外と純粋な女性みたいだ。
ますます、口移しの件は黙っておいた方がいいな。
「まず、この分厚い本は解析の魔法書です。通常の解析の本は、こんなに分厚くは無いけど知識編も付いているので金貨10枚以上する私の愛読書なんだぞー 通常の本は金貨1枚位かな、それぞれに特化した魔法書は高いんだよね。興味あるよね?」
「これを読めば解析の魔法が使えるの?」
「使えるか使えないかは本人の能力次第だね。解析は魔法の一種だけど魔法と言うより・・・まっ読んだらわかるよ」
「次の本は剣の基本(初級~中級)なんだけど危険な場所に来るから自分の身は自分で守ろうと買ったんだけど無理だったねー それと魔法の基本(初級~中級)たまたま持っていたし私は解析以外の魔法は使えないから あげるよ」
「それって・・・いらない物の押し付けでは?」
「そうとも言うけど、まっ読んでみたら?」
「それより、魔法の袋に興味があるんだけど・・・」
「これかー 予備の魔法の袋もあるんだけど、めったに手に入らない貴重な物なので譲る事は出来ないかな。今は空(から)だけど、緊急時に鉱石等を大量に運ぶ事に使っているからね」
「それなら、しょうがない便利そうな袋だけど・・・」
袋には興味があるけど商売の邪魔は出来ないよね。
つづく