「おはよっ」
たまごの元気のいい挨拶だ。
怪我をしてから数週間がたち俺の怪我は痕(あと)も残らず治り、それにつれて たまごも怪我の件を気にしなくなっていた。
「おはよー」
「おはよう、たまご あまい」
2匹と挨拶を交わして朝飯を食べた後、1時間程 基礎訓練をした。
「おべんとーちょうだーい」
たまごが言った。
季節は11月下旬だと思う。なぜなら、この世界の暦を手に入れたわけではないので俺が来た日からの逆算だからだ。
怪我をして数日たってからは1時間程の基礎訓練以外は2匹の自由行動にしている。花嫁修業をさせようと思ったが2匹は手が使えないので断念していた。
「いってきまーす」「いってきます」
もう肌寒い季節なのに2匹は元気よく飛び出して行った。油断が無ければ熊をも倒す実力があるので安心して自由にさせているのだ。俺が怪我をしてからの2匹には油断と言う文字はないけどね。
俺は趣味に没頭していた。大阪らんちゅうが恋しいが、この辺にはいないので・・・ミスズラン・マツバニンジン・キソエビネ等、希少な野草を集めたり 松・馬酔木・楓・梅等の木を集めて庭を作ったりしていた。
なぜ、遊んでいられるかというと 2匹が狩りや採集をして帰ってきてくれる為、地下室の食糧庫は満タンなのである。やると言えば、炭を作ったり たまごが割った食器を焼いたり たまごが割った鉢を焼いたり たまごが壊した遊具の修理だった。
最近一人で行動してる事が多いからか、よく考え事をしている。
夢の中にいるはずなのに・・・等、目が覚めたら たまご・あまいの2匹に会えなくなるんだなと思ったりしていた。
「うわーーー」
急に周りが眩い光に包まれ、目がくらんだ。
「前にも、こんな事があったような・・・・・・あっ」
たまごとあまいの卵を見つけた時の状況に似ていた。
また、卵の出現? 2匹がやっと自立し始めたのに勘弁してくれ・・・まさか、2匹がこのまま帰ってこないのか?等と考えていた。
つづく