「シューポー シューポー」
季節は7月になり砂鉄・炭も貯って炉やふいごも完成していた。
「これ楽しいね あまいちゃん」
「そうだねーたまごちゃん」
これから地獄が始まることを、ふいごで遊んでる2匹はしらない・・・
「じゃ、各自目の前の左右のふいごに交互に飛び乗ってね。途中でサボったら3日は飯抜きだからね」
「楽しいし、楽勝だよね あまいちゃん」
「お昼ご飯を交代で食べるのが残念だけど楽勝でしょ」
まだ、気づいてない2匹を横目に炉に炭・砂鉄を入れて火をつける。
「それでは、開始だ」
2匹は目の前にある2つのふいごに交互に飛び乗ると炉に空気が送り込まれて一気に炉の温度が上がる。
「あつーい」「なにこれ・・・」
2匹は熱さに動揺する。2匹がいる場所は日陰になる様に屋根を作っているが季節は7月・・・夏で、しかも炉の温度は数百度まで上がるのだ。
俺は温度が上がったのを確認して、どんどん砂鉄を投入していく。
「あつーい たのしくなーい」「こんなの聞いてないから」
2匹は地獄の入口に入ったことに気付いたみたいだ。
「たまごっ遅れてるぞ! 失敗したら、また砂鉄運びからだぞ」
「だってーあつーい・・・」
「ごはん3日抜きだぞ」
「がんばります」
あまいは黙々と作業をこなしている。俺は2匹に塩・果汁の入った水を補給しながら砂鉄をどんどん投入していき余裕が出来れば、どちらかと交代してふいごを踏む。
「昼だぞ、どっちか飯食ってこい」
「あまいちゃん、先にどうぞ」
「たまごちゃんの方こそ、先に・・・」
「わたしは大丈夫」
たまごがシャキーンという効果音のもと見せたのはサトウキビだった。
「どうしたのそれ・・・」
「地下室に落ちてたので・・・」
「置いてあったんじゃなく?・・・昼飯抜き決定」
「えーーーーー頑張るから、お昼だけは・・・」
「あまい昼飯食べてきな」
巻き込まれたくない あまいは素直に食べに行った。
「頑張れば、今回だけは見逃してやろう」
たまごと会話していると あまいが戻ってきた。
「じゃ、俺の番だな 2匹ともサボるなよ」
「えーーーー私じゃないの?」
「おまえシャキーンがあるだろ?」
「・・・・・」
無言のたまごを放置して あまいと交代して食事に向かう。
「ごしゅじんさまは鬼だよね」
「鬼だけど、今回は たまごちゃんが悪いよね? まぁ、たまごちゃんに間食を用意しなかったご主人様も悪いけど・・・」
「だよね だよね」
「たまごちゃん遅れてるよ 失敗すれば、また1からだよ」
「うん、1からは嫌なのでがんばる」
戻ってみると2匹はまじめにやっていたようだ。炉のノロを抜いた後、たまごと交代した。
「しゅうりょーーー」
日も落ち真っ暗になった中に声が広がる。
「おわったー」「つかれたー」
2匹は水浴びをした後、拠点に戻って食事もせずに眠ってしまった。
「間食は必要なの」「動物虐待はんたーい」
2匹の寝言を聞きながら、俺は手押しポンプで水をかける作業に戻った。水かけ作業が終わったのは深夜だった。炉を割って掃除が終わったところで朝食を作りに拠点に戻ることにした。
つづく