「グゥーーグゥー」
たまごの腹の虫が泣いている。朝食を終えた俺は地下室の作業を再開しようと思ったが腹の虫に負けて見回りに行くことにした。
「たまご・あまい、見回りに行くぞ」
「グゥー」
「わかりました」
腹の虫で返事したのは当然、たまごだ。
「やる気のない人は、昼飯もぬき」
「がんばります・・・グゥー」
しまらない奴だと思いながら見回りに出た。
「おっ! たまご その草、食べてみろ おいしいぞ」
「うん、もぐもぐ・・・にがーい」
「火を通したらね」
たまごは苦い顔をしていた。そんな事をしながら歩いて行くと目的地である果物の群生地についた。
「あまい この黄色の果物 おいしいぞ」
「苦いんでしょ?」
「苦くないぞ」
「苦くないらしいよ、たまごちゃんにあげる」
「わーーい、もぐもぐ・・・すっぱーい」
たまごは泣きそうになっていた。
「たまご こっちの黄色の果実はおいしいぞ」
「もう、いらなーい」
たまごは拗ねていた。
俺がビワを一口食べて見せたら欲そうな顔をして見つめていた。
「いらないんでしょ?」
「ちょうだーい」
現金な奴だ。たまごとあまいが、おいしそうに食べている横で果物を収穫して拠点に帰ることにした。元気が出たのか、たまごとあまいは走り回っていた。
「あまり離れないようにねー」
「はーい」 「はーい」
少しずつ離れているが気にせず拠点に向かう。
「おいてかないでよ」
かなり離れたのに気付いたあまいが怒りながら追いかけてきた。少し遅れてたまごも追いかけてきた。
「ん?たまご何くわえてるの?」
「あっちの方で少し掘ったら出てきた」
泥まみれで石をくわえていた。掘るなら地下室を掘れと思いながら
「いい石なの?見せてみろ」
「ほーい」
くわえていた石を器用に俺に投げてよこした。
「山砂鉄じゃん、これどこで見つけたの?」
「おしえなーい」
たまごは先ほどの仕返しとばかりに言わないつもりのようだ。
「こっちだよ」
「あまいちゃーん」
たまごの横であまいが方角を示す。
「たまご昼飯ぬきだな」
「ごめんなさーい・・・こっちです」
たまごが示す方角に行くことにした。
つづく