「つんつん・つんつん」
変な効果音で目が覚めた。
たまごが口で言いながら黒い卵を指で突いているようだ。
「おはよ」
「つんつん・つんつん」
朝から無視ですか?と、思いながら様子を見てると、落ち着きがない・目が泳いでいる・顔つきが、ぎこちない・・・
「おまえ・・・まさか!!」
「つんつん・つんつん」
布団に盛大かつ大胆な世界地図の模様が出来ていた。
「おねしょしたら、ちゃんと言いなさい」
「つんつん・つんつん」
おねしょした事が恥ずかしいみたいだが、布団を持って、強引にたまごを引きずって外に出る。
「ここがトイレ、ここが、洗い場ね」
トイレの場所と使い方、洗い場の場所と使い方を説明する。
「布団の綿を取って、ここで洗って干しときなさい!」
自分で出来ることは、自分でやる癖をつける為に厳しく言ったが躾けは大切なのだ。あまやかすと、ロクな大人にならないと思いながら見ていると、器用に綿を外し陶器の桶に水を入れ4本の足で踏み始めた。そんな、たまごを放置して朝食を作ることにした。
囲炉裏で、熱した陶器に綿実油を入れ野草・干し肉を塩で炒めるだけの簡単な料理を作りながら考え事をしていた。なぜ昨日、卵から出てきたばかりなのに、言葉を理解して恥じらいを知っているんだろう?洗い物まで出来る・・・大物か!と、考えていたら料理が出来た。
背後に気配を感じたので振り返るとよだれを垂らした、たまごがそこに座っていた。まぁ、考え過ぎだったね。
「洗い物は終わったの?」
「おわったー」
「干したの?」
「ほす?」
「干さないと朝食はありません」
急いで外に出た、たまごを追いかけて干し方を教える。
「ちゃんと干さないと、ペッタンコになるぞ」
「ごはーーーん」
半分泣きながら急いで干し始めた たまごを放置して食事に向かう。
「てつだってー」
面倒くさいが手伝ってやることにした。
その後、食事を一緒に食べて俺は地下室の製作に取り掛かり、たまごは、いつも通り?スヤスヤ眠ったのだった。
つづく