昨日のスプリンターズステークスで、
デビュー17年目、40回目の挑戦にして始めて、
GIを制した上村洋行 騎手、
自分と誕生日が11日違いの同い年、
これまでほとんど目立つことの無かった上村騎手だが、
ルーキー時は新人騎手賞を受賞する実力の持ち主で、
名馬への騎乗機会も多かった。

音速の名馬サイレンススズカ のデビュー戦から、
神戸新聞杯の2着まで6戦続けて騎乗、
ダートで数多くのGIを制したゴールドアリュール の、
ダート初戦となった条件戦から日本ダービー5着までの3戦、
いずれもその後は同じ関西所属の武豊 騎手へ乗り替わり、
名馬と呼ばれる軌跡を描いていった。

デビュー以降は順調に勝ち星を重ねていた上村騎手だが、
1995年から勝ち星が減っていく、
実はこの頃から、目の病気(飛蚊症)を患い始めていた、
この病気は目の前に何も無いにもかかわらず、
糸くずや黒い影などが蚊のように飛んでいるように見えて、
目を動かすたびにそれが動き回り、視界をさえぎってしまい、
一瞬の動きや判断を要する騎手にとっては、
集中を欠き、致命的なダメージとなりかねない病。

しかし上村騎手はそのまま騎乗を続けた、
当然ながら成績は落ちて、後輩の台頭もあり、
騎乗機会が減ってしまった。

2004年、ついに目の治療をするため休養に入り、
手術を受けることとなる、4度の手術を経て2005年、
復帰をすると10年ぶりに40勝以上をマーク。

復帰した直後は騎乗機会が多かったものの、
地方競馬から転進してきた騎手や外国人騎手などの存在もあり、
思うように騎乗機会を得られなくなった、
2006年は24勝のみ、フリーで活動する、
上村騎手にとっては、成績を収めなければ騎乗依頼も来ない、
今後への不安が募る中、手を差し伸べてくれたのが、
スリープレスナイト橋口弘次郎 調教師だった。

昨年2006年、デビュー前のスリープレスナイトの、
調教をつける役目を上村騎手に依頼、
2007年、デビューから4戦は安藤勝己 騎手やルメール 騎手が、
騎乗をしたが、5戦目からは上村騎手が騎乗し3連勝する、
その後、勝ちきれないレースが続き中山遠征の時に、
横山典弘 騎手と乗り替わるものの、次のレースから再び騎乗し、
3連勝、重賞も2連勝してGIスプリンターズステークスへ。

1番人気に推されたスリープレスナイト、
実はこの日、フランスで凱旋門賞 が行われるため、
武豊騎手は不在、主戦のGI馬スズカフェニックス には、
横山典弘騎手が騎乗、中山のレースと言うこともあり、
もし武豊騎手がフランスへ行っていなければ、
スリープレスナイトは横山典弘騎手が鞍上だったかもしれない・・・。

レースは完勝といえる内容で、文句なしの騎乗、
ゴール前で勝利を確信し、無骨なガッツポーズをする上村騎手、
17年間の思いがたっぷりこもった素敵なガッツポーズだった。
スリープレスナイトと上村洋行
ゴール板を過ぎた直後から涙が止まらない、
思わずゴーグルの上から涙をぬぐうしぐさをしてしまったが、
その姿が、まさに感無量を表していた。

また、この日は管理する橋口調教師の誕生日でもあり、
二人にとっては一生の思い出になったのではないだろうか。

今後スリープレスナイトは香港やドバイへの遠征プランもある、
そのときは是非、上村騎手とのコンビを見てみたい。

同期の後藤浩輝 騎手には勝ち星では倍以上の差をつけられているが、
これを機会に、一歩一歩差を縮めて行ってもらいたい、
同い年のヒーローとして、応援していきます!!