不登校~母親の男関係~
生徒会も何もかもが嫌になって学校行かなかった私も,中学2年の夏休みごろには復活をしていました。
ママが職員室に呼ばれて,学年主任や校長の居る中で私との話し合いが始まる。
私はもう,先生というものを信じなければいいんだ。友人が居てくれるんだからそれだけを頼りに学校に行くのも悪くはない。自分の思うままに生活していればいい。と,思い復活を遂げました。
が,,,,,,,,,,,,,,,,,。
中学2年の冬。
二度目の不登校勃発。
ぢつはその時の不登校の理由は自分でもはっきり理解しているものだった。
母親の男関係。
それが何よりも私の心に深い傷をつけた。
それが発覚するまでは私は全く母親が男と会っているなんて想像したこともないし,思ってもみなかった。
中学2年のころは,まだ携帯なんてもてないし,みんな母親の携帯などで子供同士連絡を取っていました。
その日も,いつものように友達とメールをしていました。
受信されたメールを見直そうと思って受信フォルダを見ていた時に,あるメールの内容が飛び込んできました。
「昨日はもっとJ(母親)と一緒に居たかったよ。今度はずっと一緒に居ようね今度はどこに行こうか?」
・・・。
昨日は母親は仕事があると言って出て行ったはず,,,なのになんなのだろうかこの内容は。
なんともいえない思いでいっぱいになって私は夢中で他のメールも見ました。
知らない何人もの男のメール。その内容は全て恋愛感情むき出しのメール。
消された送信メール。母親が相手になんて送ったのかは分からない。
私のことも内容にはあった。 覚えてはいないけど私にとってなんで知らない男に私の話しなんてするのかという思いがあった。
私は泣きそうになりながら,友人にそのことを言った。
「母親が私の知らないトコで男と会ってる」
みんなは不安定になっている私の気持ちを察して次の日に遊びに誘ってくれました。
だけど,そんなことで私の気持ちが癒されるはずもなかったです。
それから学校に行かなくなった。
母親と学校なんてなんの関係もないようだったけれど,今になったら分かる。
ママにかまってほしかった。私だけを見て欲しかった。
だから迷惑をかけた。 だけどその時の私は心配する母親が憎らしかった。
≪なんで嘘ついてまで私達の知らないトコで男の人なんかに会ってるの?≫
どんどん気持ちが積もっていった。
学校に行くと言っては通学路の途中で立ち止まる。
最後のチャイムがなり終わるまで立っている。足は学校には進まず,家へと引き返す。
家にはまだ母親がいるから屋上から母親が出勤するのを見て待つ。
誰も居ない家に入り,なんともいえない寂しさが襲ってきた。
この頃から私は「嘘」というものに敏感になっていった。笑顔で嘘をつく大人。
嘘をつく人間がひどく汚いものに見えて憎いという感情がつのる。
平気で嘘をつくママが嫌い。知らないトコで男に会ってるママが嫌い。寂しい思いをさせるママが大嫌い。
学校から電話が来て私が登校していないという連絡を受けてママは帰って来た。
「なんで学校に行ってないの?」
笑顔のように見えて心は無表情なのが痛いほど分かる顔で母親は私を見ている。
「行きたくない」
それだけ言った。
「なんで?」
「・・・」
私はずっとだまったままでいた。沈黙が長い時間流れた。
「今から学校行くよ。支度しな」
そんなママの言葉に私は怒りが湧いてきた。
「行きたくないって言ってるじゃん!!!!!!!!!!!!!!!」
「…私は仕事だからもう行かなくちゃならないから行くけど,帰ってきたら話聞くから今日は休みな」
そう言ってママは仕事へと戻って行った。
夜,母親には何も言わなかった。ただ学校に行きたくないだけ,理由なんてない。
そういい続けた。その時の私はなんで学校に行きたくないかなんて分からなかったけど,ただ怒りと哀しみにまかせて,母親にその感情をぶつけていただけだった。
学校に行かなければ母親が困るのが分かっていながら何日も理由を言わずに学校に行かなくなった。
何日も何日も行くと言ってひきかえしてきたり,行きたくないとだけを言って休んだりした。
だけど,学校側もそれじゃ何も解決しないと言い出し,私を保健室登校させるように言った。
保健室の先生は厳しかったけどたまに優しかった。
私の気持ちを素直に聞いてくれ,ただ私が話すことだけをあいづちをうちながら聞いていてくれた。
毎日,母親は仕事を遅刻して私を保健室に連れてきた。帰りも,母親は早くあがって私を迎えに来た。
そんな母親に対して,私はなんの感謝の気持ちも持たなかった。
それが当たり前なんだという気持ちだけだった。
車の中でポツリとママは言った。
「あんたのために仕事を遅刻し続けて,帰りも仕事を抜け出して迎えにきたりして,そんなこと続けてたらいつかクビになっちゃうよ・・・。でもね,楓のためだから,見捨てたりはしたくないんだよ。楓が自分からちゃんと学校に行きたいって思えるまで,私も毎日がんばるからさ,楓も少しはがんばってよ」
学校に行きたくないと思う原因が自分にあるだなんて思ってもみないママは私にそういった。
反対に私はイライラした。
だったら迎えになんてくんな。迷惑なんだよクソババア。男んとこでも行けばいいじゃねぇかよ。
不登校になってから私は口数が減った。無言でいることが多くなった。
全て母親のせいにしていれば気持ちが軽くなった。
ママは,私の機嫌をとるように何回か休みをとっていろんなところへと連れて行ってくれた。
それはそれで楽しかったけど,学校の話をされるたびに口を塞いでうつむいた。
そんな時,また学校で学年主任と母親と私で話合いをする機会がもうけられた。
私は学年主任に母親のことで悩んでいるということを打ち明けたからだ。
学年主任は1年のころから私のことを気に入っていたから,母親の軽率な行動が気に入らなかったらしく,
単刀直入にママに告げた。
「楓さんが学校に来たくないと言っている原因はお母さんにあるんですよ」
無表情のまま淡々とママに話した。私はうつむきながら聞いていた。
ママは「は?」というような感じに私を見た。
「そうなの?」
私はうつむいたままだった。無言のままでいる私の代わりに学年主任が話を続ける。
「お母さんの男関係にあるんですよ」
ママを見ることはできなかった。ママがなんていうのか,気になりながらもうつむいたまま聞いていた。
「かえでがなにを勘違いしたのかは知りませんが,そういう関係のヒトは居ません。メールの内容も,ただの遊びで,ただかえでが勘違いをしちゃっただけだと思いますけど」
ママは嘘を貫いた。私はもう,何も言わずにだまされたフリをした。
家に帰った後にまたママと話をした。はぐらかし続けるママを,もう責める気持ちもなかった。
私はもう落胆していた。大人の嘘につき合わされるのは嫌だ。でも,もうめんどくさいから言い返すこともしたくはない,だから,私は無言のまま学校に行くことを承諾した。
筆箱しかはいっていない誰よりも軽いカバンを背負って毎日私は学校に行くようになった。
それからは泣くことも笑うことも,感情が抜け落ちちゃった人形のような生活でした。
その日を境に,私は中学校では一度も不登校をしなくなった。
その代わりに,ママには私の感情を面に出したり,話したりすることをしなくなった。