遅くなりましたが,今年の司法試験の成績を公開したいと思います。また,出題趣旨を踏まえて,各科目どの部分が評価されたのかについて自分なりの考えを簡単にお示ししたいと思います。
■ 成績
公法系
106.27点(憲法B,行政法B)
933~992位(上位約24%)
民事系
169.73点(民法A,商法A,民訴B)
576~610位(上位約15%)
刑事系
117.64点(刑法A,刑訴A)
511~553位(上位約13%)
選択科目(倒産法)
67.88点
14~16位(上位約2%)
論文合計
461.53点
392位(上位約10%)
総合評価
930.68点
435位(上位約12%)
公法系と刑法は予想よりも評価が良かったですが,それ以外は概ね手応え通りの評価でした。
昨年よりも全科目順位ランクを上げることができた点が何よりも嬉しかったです。敗因分析と課題の克服が上手くいった証ではないでしょうか。
昨年の成績との対比をすると,以下のようになります。
憲法 F → B
行政 D → B
民法 C → A
商法 F → A
民訴 C → B
刑法 D → A
刑訴 B → A
倒産 64.43 → 67.88
■ 評価されたと考えられる部分
私の答案の概要については,過去の記事をご覧頂ければと思います。
1.公法系
憲法
適正手続については,設問1と設問2ともにかなりあっさりした論述になってしまったため,あまり点は入っていないと思います。他方,妊娠・出産の自由については,概ね点の取りどころを抑えた論述ができていたと思います。特に,設問1については,保障根拠の部分を丁寧目に書いた点,規制目的を問題文のヒントから的確に読み取れた点,設問2については,個別法の条文を使いながら自分の頭で考えたことをちゃんと伝わるように書けた点が評価されたのではないかと考えています。
行政法
設問1(1)の訴訟要件の検討のメリハリが上手くできた点(補充性を一番厚く書いた),設問2(1)の処分性の誘導を的確に読み取り答案に表現できた点が評価されたのではないかと思います。恐らく,設問1(2)は最低限の論述しかできておらず,設問2(2)は時間不足&問題文読み間違いによりほとんど点は入っていないと思います。
2.民事系
民法
全体的に出題意図に沿った論述ができていた点,設問1の占有開始時の認定を時系列に沿って細かく検討した点,設問2の信頼関係破壊の法理の当てはめで事実の摘示と評価を厚めに書いた点が評価されたのではないかと思います。設問3は,恐らく,借地借家法10条1項を摘示できれば十分で,それ以降出題意図に沿った論述ができた答案はほとんどないのではないかと思います。
商法
全体的に出題意図に沿った論述ができていた点,設問1(1)で判例と反対説を対比させながら事案に即して自身の見解を述べられた点,設問2で議決権の代理行使の論点を判例の規範を正確に示した上で事案に即して検討できた点(当てはめで書面や電磁的方法による議決権行使が認められていなかった点を指摘できたのが結構効いたと思います),同じく設問2で説明義務の根拠条文として180条4項を摘示した上で現場思考で趣旨から論述した点,設問3で株式買取請求の手続を一通り説明できた点が評価されたのではないかと思います。民事系の中では,恐らく商法が一番点数は良いと思います。
民訴
設問3以外は概ね出題趣旨に沿った論述ができていた点,設問1で代理の主要事実を示せていた点,設問2(1)で訴えの追加的変更に触れられていた点と同時履行の抗弁が権利抗弁のうち一時的抗弁である旨論述できていた点が評価されたのではないかと思います。全体的に,一般論が長くなり事案に即した検討が薄くなってしまった点,設問3で売買契約の成否と代金額で既判力が生じるか否かを分けてしまったことと,信義則等について検討できなかった点が,A評価に届かなかった要因ではないかと思います。
3.刑事系
刑法
正直,手応え的にはBかCでした。甲の罪責では,詐欺罪や背任罪について具体的にいくらの金額の範囲で犯罪が成立するのか,詐欺罪や有印私文書偽造及び同行使罪について名義人の承諾が与える影響の有無等,事案の特殊性に配慮した論述ができていた点,乙の罪責では,正当防衛の「急迫」性や「やむを得ずにした」の当てはめをかなり厚く書いた(この2つだけで約1.5頁)点,全体的に法的三段論法を徹底できていた点が評価されたのではないかと思います。甲の罪責の正当防衛の成否や不法領得の意思の有無,乙の罪責の窃盗罪の共同正犯の成否については時間不足によりまともな論述ができませんでしたが,多くの受験生も同じようにあまりよく検討できなかったのではないかと思います。
刑訴
7科目の中では一番手応えは良かったです。全体的に出題意図に沿った論述ができ,条文や制度の趣旨に遡った論述ができていた点,設問1捜査①で令状の事前呈示の要否を検討できた点,設問1全般で事実の摘示と評価を満遍なく行えた点,設問2で小問1と小問2の論理的整合性を保った論述ができていたのと,供述調書のどの部分が公判供述とどう矛盾しあるいは弾劾証拠とどう矛盾するのかを具体的に論述できていた点が評価されたのではないかと思います。
以上

