その日の夜の事です。

夜、目にした奥さんの姿は着て来た洋服を全て脱ぎ捨てたらしく、浴衣を着ていました。

浴衣を細い紐で止めていました。

叔母の家の周りは2~3㍍はある高い塀に囲まれていました。

縁側の側に竹で格子状に編まれた竹がありました。その穴は15㎝位でした。

その奥さんはその穴からスルッと抜け出したんです。(後に分かった事が、奥さんは竹を抜けた時、弁慶の泣き所と言われるすごく痛い所がありますよね。そこにかなりの傷がありました。
でも竹は割れてなかったんです)

高い木があって、浴衣を目に止まらぬ速さで、その上浴衣をきちんと畳んで木の枝に掛けて、塀を飛び越えて外に出て行きました。あっという間でした。

すぐさま父や、奥さんの旦那さんや叔母さん、従姉妹、私の元夫も外に出て、奥さんを捕まえに行きました(もう完全にキツネに取り付かれた姿でした)

奥さんを家に連れ戻し(暴れて連れ戻すのも大変だったようです)

お風呂に連れて行って水をザブザブ掛けていました。土間で木を燃やし煙を浴びせたり、キツネを追い出すのに必死だったようです。

暫くして部屋に上がって来た奥さんの姿は、 
全裸で腰に一本紐が残っている状態でした。

私は怖くて呆然と立ちすくんでいたら、奥さんが私に向かって両手を差し伸ばして来たんです。その目はキラっと光っていました(暗闇で見る動物の光った目のようでした)

余りに苦しかったようで、私が奥さんの妹さんに見えたようで、私に助けを求めて来たようです。
何かに操られたように私の両手が上がって行ったのです。


つづく