リョート選手のMMA初黒星や、BJペン選手のライト級の試合での敗北。そして何といっても最後の皇帝ヒョードル選手の総合格闘技における事実上の初黒星。
2010年は絶対王者や無敗だった選手の敗北が目につきます。
ついにアンデウソン選手までもが。。2010年はそういう年なのかという思いが確信に変わる直前でした。
最後の最後でアンデウソン選手が魅せてくれました。ほぼ周囲が政権交代を確信していた中での、逆転一本勝ち。アンデウソン選手がミドル級の王座を防衛し、UFCでの連勝記録を12に伸ばしました。
4Rを通してポイントを取られ続け、UFC初黒星が目前に迫っていた5R 3分10秒での三角による一本勝ち。ここで一本を取って勝つところにアンデウソン選手の絶対王者としての強さが垣間見えました。
アンデウソン選手はあまりメンタルの強い選手だとは思っていませんでした。圧倒的な身体能力や、技術の高さという部分でずば抜けているので、他を寄せ付けない絶対王者のポジションにいるのかと思っていました。
今までの試合で、時折アンデウソン選手が見せる相手を挑発したり、おどけたりする仕草は、アンデウソン選手の精神力の弱さの表れにすら見えることもありました。
しかし、環境が人を作るのか、絶対王者に長らく君臨しているファイターの精神力は人並みはずれたものでした。
4Rを通じて劣勢に立たされ続け、誰もがアンデウソン選手の敗北を確信していた中で、アンデウソン選手本人だけは、自分の勝利を信じて疑っていなかったように思えました。
4Rと5Rの間のインターバルで、アンデウソン選手は観客を煽るような仕草を見せたようです。この仕草は観客を煽るためではなく、自身を奮い立たせるものだったのかもしれません。
アンデウソン選手は試合後に、脇腹を練習中に痛めて今回の試合出場を医者に止められていたことを明らかにしました。王者であっても、4Rを通じて劣勢に立たされれば、自分の中での言い訳が出来る材料があったが故に、気持ちが折れてしまってもおかしくありません。
最後の最後での、三角締めによる大逆転勝利。
自分の勝利に対する絶対的な執着心こそが、アンデウソン選手が絶対王者たる由縁なのかもしれません。
大金星目前にして敗れはしたものの、ソネン選手の健闘ぶりは見事でした。UFC史上、最もアンデウソン選手を追いつめたファイターということは紛れも無い事実だと思います。
今までUFCでピンチらしいピンチを見せなかったアンデウソン選手をここまで脅かすことが出来たのは、ソネン選手の“レスリング力”によるものだという声が多く挙がっています。
ソネン選手は全米王者に2度君臨したことがあるほどのレスリングの実力の持ち主です。
いとも簡単にアンデウソン選手をテイクダウンしてしまい、決して起き上がらせないレスリング力は超一級品でした。
このソネン選手の“レスリング力”は今回絶対王者を追いつめた一つの要因かと思いますが、ソネン選手がアンデウソン選手を追いつめたのには、もう一つ要因があると思います。
それはソネン選手がアンデウソン選手の打撃を恐れなかったことです。ソネン選手はアンデウソン選手との打撃戦を恐れずに、果敢に挑みました。それによってアンデウソン選手のリズムを崩すことに成功しましたし、タックルにも入りやすくなったと思います。
もし、アンデウソン選手の打撃を恐れて中途半端な距離感で戦っていたならば、ことごとくタックルはかわされていたと思います。
相手の得意分野で敢えて勝負すること。この駆け引きは、特にトップクラスの選手と戦う際には非常に重要になってくると思います。
相手の得意分野を警戒しすぎれば、逆にどんどんと相手のペースになってしまい、結局はその得意分野の技で敗れてしまうか、判定負けを喫してしまいます。もちろん警戒心は必要だと思いますが、相手の得意分野を警戒しつつも、敢えてその得意分野での勝負を仕掛けることで、大きな勝機が見えてくることもあります。
特に相手の得意分野が寝技ではなく打撃の場合、この駆け引きは時に非常に有効に働きます。
少し古い例で恐縮ですが、PRIDEでミルコ選手の打撃を警戒するあまり、結局その警戒心がミルコ選手をリズムに乗せてしまい、最後は打撃によってKOされてしまった選手は多かったと思います。タックルに入ろうとしても、否応無しに遠くからのタックルになってしまうため、ほぼ全て防がれてしまっていました。
逆にミルコ選手を攻略したヒョードル選手は、敢えてミルコ選手の得意分野である打撃で勝負を挑みました。この駆け引きは成功し、終始ヒョードル選手のペースで試合は進みました。
試合後にミルコ選手は「打撃でおされた。」と語っています。自身の得意分野である打撃でおされることがメンタルに与える影響は想像に難くないですし、ミルコ選手自身もあそこまでヒョードル選手が打撃戦を挑んでくるとは思っていなかったはずです。
今回ソネン選手がアンデウソン選手をほぼ攻略出来たのも、1R開始早々から打撃戦を挑み、その駆け引きに成功し、ダウンを奪ったことが大きいと思います。
このダウンによって、アンデウソン選手は自身の得意分野である打撃でも、ソネン選手の攻撃を警戒せざるを得なくなりました。それが影響し、抜群のレスリング力を持つソネン選手は、試合を通じてアンデウソン選手からテイクダウンを奪うことに、ことごとく成功しました。
ソネン選手がアンデウソン選手の打撃を警戒しすぎて、距離をとって戦っていたら、アンデウソン選手をこれほど追い込むまでには至らなかったと思います。
ソネン選手が果敢に打撃戦を挑んだことが、アンデウソン選手の攻略へと繋がったのだと思います。
この試合ではあと少しのところで惜しくも負けてしまったソネン選手でしたが、試合前のトラッシュ・トークでヒールキャラ的に大会を盛り上げ、試合終了後は素直に負けを認め相手を讃えた姿にプロのファイターとしてのプロフェッショナリズムを感じました。
2010年は絶対王者や無敗だった選手の敗北が目につきます。
ついにアンデウソン選手までもが。。2010年はそういう年なのかという思いが確信に変わる直前でした。
最後の最後でアンデウソン選手が魅せてくれました。ほぼ周囲が政権交代を確信していた中での、逆転一本勝ち。アンデウソン選手がミドル級の王座を防衛し、UFCでの連勝記録を12に伸ばしました。
4Rを通してポイントを取られ続け、UFC初黒星が目前に迫っていた5R 3分10秒での三角による一本勝ち。ここで一本を取って勝つところにアンデウソン選手の絶対王者としての強さが垣間見えました。
アンデウソン選手はあまりメンタルの強い選手だとは思っていませんでした。圧倒的な身体能力や、技術の高さという部分でずば抜けているので、他を寄せ付けない絶対王者のポジションにいるのかと思っていました。
今までの試合で、時折アンデウソン選手が見せる相手を挑発したり、おどけたりする仕草は、アンデウソン選手の精神力の弱さの表れにすら見えることもありました。
しかし、環境が人を作るのか、絶対王者に長らく君臨しているファイターの精神力は人並みはずれたものでした。
4Rを通じて劣勢に立たされ続け、誰もがアンデウソン選手の敗北を確信していた中で、アンデウソン選手本人だけは、自分の勝利を信じて疑っていなかったように思えました。
4Rと5Rの間のインターバルで、アンデウソン選手は観客を煽るような仕草を見せたようです。この仕草は観客を煽るためではなく、自身を奮い立たせるものだったのかもしれません。
アンデウソン選手は試合後に、脇腹を練習中に痛めて今回の試合出場を医者に止められていたことを明らかにしました。王者であっても、4Rを通じて劣勢に立たされれば、自分の中での言い訳が出来る材料があったが故に、気持ちが折れてしまってもおかしくありません。
最後の最後での、三角締めによる大逆転勝利。
自分の勝利に対する絶対的な執着心こそが、アンデウソン選手が絶対王者たる由縁なのかもしれません。
大金星目前にして敗れはしたものの、ソネン選手の健闘ぶりは見事でした。UFC史上、最もアンデウソン選手を追いつめたファイターということは紛れも無い事実だと思います。
今までUFCでピンチらしいピンチを見せなかったアンデウソン選手をここまで脅かすことが出来たのは、ソネン選手の“レスリング力”によるものだという声が多く挙がっています。
ソネン選手は全米王者に2度君臨したことがあるほどのレスリングの実力の持ち主です。
いとも簡単にアンデウソン選手をテイクダウンしてしまい、決して起き上がらせないレスリング力は超一級品でした。
このソネン選手の“レスリング力”は今回絶対王者を追いつめた一つの要因かと思いますが、ソネン選手がアンデウソン選手を追いつめたのには、もう一つ要因があると思います。
それはソネン選手がアンデウソン選手の打撃を恐れなかったことです。ソネン選手はアンデウソン選手との打撃戦を恐れずに、果敢に挑みました。それによってアンデウソン選手のリズムを崩すことに成功しましたし、タックルにも入りやすくなったと思います。
もし、アンデウソン選手の打撃を恐れて中途半端な距離感で戦っていたならば、ことごとくタックルはかわされていたと思います。
相手の得意分野で敢えて勝負すること。この駆け引きは、特にトップクラスの選手と戦う際には非常に重要になってくると思います。
相手の得意分野を警戒しすぎれば、逆にどんどんと相手のペースになってしまい、結局はその得意分野の技で敗れてしまうか、判定負けを喫してしまいます。もちろん警戒心は必要だと思いますが、相手の得意分野を警戒しつつも、敢えてその得意分野での勝負を仕掛けることで、大きな勝機が見えてくることもあります。
特に相手の得意分野が寝技ではなく打撃の場合、この駆け引きは時に非常に有効に働きます。
少し古い例で恐縮ですが、PRIDEでミルコ選手の打撃を警戒するあまり、結局その警戒心がミルコ選手をリズムに乗せてしまい、最後は打撃によってKOされてしまった選手は多かったと思います。タックルに入ろうとしても、否応無しに遠くからのタックルになってしまうため、ほぼ全て防がれてしまっていました。
逆にミルコ選手を攻略したヒョードル選手は、敢えてミルコ選手の得意分野である打撃で勝負を挑みました。この駆け引きは成功し、終始ヒョードル選手のペースで試合は進みました。
試合後にミルコ選手は「打撃でおされた。」と語っています。自身の得意分野である打撃でおされることがメンタルに与える影響は想像に難くないですし、ミルコ選手自身もあそこまでヒョードル選手が打撃戦を挑んでくるとは思っていなかったはずです。
今回ソネン選手がアンデウソン選手をほぼ攻略出来たのも、1R開始早々から打撃戦を挑み、その駆け引きに成功し、ダウンを奪ったことが大きいと思います。
このダウンによって、アンデウソン選手は自身の得意分野である打撃でも、ソネン選手の攻撃を警戒せざるを得なくなりました。それが影響し、抜群のレスリング力を持つソネン選手は、試合を通じてアンデウソン選手からテイクダウンを奪うことに、ことごとく成功しました。
ソネン選手がアンデウソン選手の打撃を警戒しすぎて、距離をとって戦っていたら、アンデウソン選手をこれほど追い込むまでには至らなかったと思います。
ソネン選手が果敢に打撃戦を挑んだことが、アンデウソン選手の攻略へと繋がったのだと思います。
この試合ではあと少しのところで惜しくも負けてしまったソネン選手でしたが、試合前のトラッシュ・トークでヒールキャラ的に大会を盛り上げ、試合終了後は素直に負けを認め相手を讃えた姿にプロのファイターとしてのプロフェッショナリズムを感じました。