先ほど、カナダのモントリオールで開催されたUFC113にて、リョート選手とショーグン選手がUFCライトヘビー級のタイトルを賭けて再戦しました。

前回UFC104で対戦した際にはリョート選手が3-0の判定勝ちを収めたものの、その判定が物議を醸しました。

この両者の実力差はほとんどなく、今回の再戦でもなかなか勝負はつかないのではないかと想定されていました。試合前に各方面で行われていた勝利者予想でも、どちらが勝つのかの名言を避ける人がほとんどでした。

しかし、蓋を空けてみればショーグン選手の1RTKO勝ち。ショーグン選手が新たにUFCライトヘビー級の王座に就きました。

この両者の対戦がKOで終わると予想していた人は少なかったと思います。特に総合格闘技無敗のリョート選手のKO負けを予想していた人は、ほぼいなかったのではないでしょうか。

それほど今までリョート選手の強さは安定していましたし、特にKO負けを喫するシーンを想像するのは難しいファイターでした。

よく盤石であった王者に土がつくと、“この戦い方はもう通用しない”、“もう王者に返り咲くのは難しいのでは”という声も出てきま。今回もリョート選手の後ろに下がりながらの戦法はもう駄目なのではないかという声が早くも聞かれていますが、今回は純粋にショーグン選手の対策が、リョート選手のそれを上回っていたと思います。

今までリョート選手と戦うファイターは、カウンターを警戒するあまり、リョート選手のことを深追いすることが出来ませんでした。それ故リョート選手の、相手を軸にして、後ろに下がりながら距離を取りつつ回っていくという戦法が活きていました。今までリョート選手に敗れていった選手は中々自身のペースがつかめず、徐々にリョート選手のペースに引きずり込まれていました。

今回ショーグン選手はリョート選手のカウンターを恐れずに、どんどん前に出て行きました。これは前回の試合でも功を奏した作戦だったので、今回もリョート選手のペースに持ち込まれず、ショーグン選手のペースで試合を進めることに成功しました。

また、前回の試合でショーグン選手ははローキックを主体に試合を組み立てました。リョート選手、そしてリョート選手陣営は今回もショーグン選手のローキックを警戒し、その対策をしてきていたと思います。

ところが、ショーグン選手はパンチも多く織り交ぜて攻めて来ました。この部分でショーグン選手の作戦が、リョート選手の作戦を大きくに上回った点だと思います。

さらに決定的となったのが、カウンターだと思います。カウンターといえばリョート選手の代名詞でしたが、今回はショーグン選手もカウンターを狙っていたと思います。

リョート選手は距離をつめてのボデイへの膝蹴りを得意としています。その膝蹴りに対してのカウンターをショーグン選手は試合前から狙っていたと思います。

試合の決定打となったシーンですが、まずリョート選手が膝蹴りをショーグン選手のボディに突き刺しています。その後にリョート選手はさらに左ストレートで詰めていきますが、結果ショーグン選手の右のカウンターを貰ってダウンを喫してしまいました。

結果としてリョート選手は左ストレートを放ちましたが、このときショーグン選手はリョート選手の2発目の膝蹴りが来ることを想定していたと思います。膝蹴りを想定して放ったショーグン選手の右カウンターが、左ストレートを放ってきたリョート選手のテンプルを思わぬ形で捉え、TKO勝ちに繋がったと思います。


UFCのライトヘビー級は王座が目まぐるしく入れ替わる状況が続く中で、しばらくはリョート選手の王座の時代が続くのかと思われましたが、またもや群雄割拠となったような気がします。

UFCライトヘビー級の王者となったショーグン選手がこの後、王者としてどのような戦い振りを見せていくのかは見物です。

また、今回総合格闘技の戦績に初黒星がついてしまったリョート選手ですが、復帰して更に進化した姿を見せてくれることに期待しています。