先日、K-1 MAXでは初となる63Kg級の大会が東京のJCBホールで開催されました。

70Kgのミドル級では魔裟斗という一般層にも訴求効果のあった選手が引退してしまったことにより、次の目玉となる階級・選手を打ち出していこうというもくろみがあったと思いますが、第一回目の大会は主催者の思惑通りには行かなかったようです。

大会全12試合中KO決着が2試合のみという結果もさながら、K-1 MAXの63Kg級には3つの懸念点があると思います。

特にそれらはK-1 MAXのミドル級が発展したことと比較すると顕著になってきます。


① 階級としての目新しさ

従来、K-1にはヘビー級というカテゴリーしかありませんでした。そのような状況下でスタートしたK-1 MAX ミドル級は観るものに斬新な印象を与えました。K-1 ヘビー級の選手達に比べれば、K-1 MAXミドル級の選手達は自分たち観る側に比較的近い背格好をしていました。試合もヘビー級にはないスピード感があり、観る側に新しいカテゴリーとしての認識を与えました。

しかし、K-1 MAX ライト級どうでしょうか?

ミドル級と比較した時の、ライト級の選手の試合時の選手の体重差は7Kg。ヘビー級とミドル級の差が約30Kg以上あるのと比較すると、ミドル級とライト級の差は極わずかなものです。

このライト級とミドル級の差というのは、コアな立ち技格闘技ファン以外には、見た目の部分でも、競技性の面でも、違いが響きにくいのではないかと思います。


② 裏目に出てしまっている選手層の厚さ

K-1 MAXのミドル級が開設された際に、K-1側には魔裟斗選手か小比類巻選手を“顔”として売り出していこうという覚悟があったと思います。K-1 MAXの初大会が決まった時点で、焦点はほぼ、魔裟斗選手VS小比類巻選手に絞り込まれていたと思います。

魔裟斗選手は小比類巻選手との直接対決に勝利し、その後、さらに自身を売り込みたい魔裟斗選手の意向と、K-1 MAXをコンテンツとして成長させていきたいTBSとK-1側の意向が一致し、魔裟斗選手ありきでK-1 MAXは発展していきました。

一方のライト級は、ミドル級と比較して日本人選手の実力者の層が遥かに厚いため、売り出していきたい選手に手を広げすぎている印象があります。

既にキックボクシングの興行に関心があるコアな格闘技ファンの人達に取っては、K-1 MAXライト級にエントリーしている選手のほとんどに馴染みがあると思いますが、一般層の人達に取ってはどの選手に注目して良いのか分からないという状況を招くと思います。

どの選手に注目すべきかを絞り込めない結果、選手個人個人への関心が希薄化してしまっているように感じます。

(今回のK-1 MAXライト級の大会は首都圏のみの深夜放送だったので、そもそも一般層をターゲットにしてなかったのかもしれませんが。。)


③ 63Kgという階級設定

K-1 MAXライト級の63Kgという階級設定が今大会を観る限りは少々裏目に出てしまっているような気がします。

山本KID選手を後々参戦させたい、もしくはDREAMのフェザー級の選手を随時参戦させていきたいなどの狙いがあるのかもしれません。

ただ、今回のK-1 MAXライト級の目玉とされていた選手達のほとんどは、普段60-61kgを主戦場としている選手達です。

63Kgという体重設定により、選手のスピードが少し消されてしまったり、他の選手にパワー負けしてしてしまう場面も多々観られました。

優勝候補筆頭に挙げられながらも、今回の一回戦で姿を消した山本真弘選手などは、その最たる例だと思います。


上記にあげた3つのうち、①と③については現状のままで進めるとしかないので、今後ネックとなってくるのは②の部分だと思います。

初年度のK-1 MAX ライト級は、そもそもスターとなるべく選手を模索することが目的なのかもしれません。ただ選手層が多すぎて、“魔裟斗VS小比類巻”のようなストーリーアングルを作ることも難しいので、ライト級の選手達はほぼ試合内容のみで一般層にアピールすることを余儀なくされます。

もちろん試合内容というのが、選手が評価される本質的な部分なのですが、K-1やTBSの後押しがつくような分かりやすい試合が求められてきます。

既に7月の大会には山本KID選手が参戦するとも噂されています。

現時点で山本KID選手以上に一般層に訴求効果のある選手はK-1 MAXライト級にはいません。7月のK-1 MAXライト級では、大会後に山本KID選手以外に、誰か話題となる選手が出てくることを期待しています。