本日行われたStrikeforce“Miami”。

注目のメインイベント、ニック・ディアス選手VSマリウス・ザロムスキー選手はディアス選手が強さを見せつけザロムスキー選手からKO勝ちを収めました。

序盤から両者ともに積極的に打ち合う激しい試合でしたが、蓋を空けてみれば、“自分の戦い”を出来ていたのはディアス選手でした。やはりリーチ差が致命的であったのか、一見打ち合っているように見えましたが、ザロムスキー選手のパンチはほとんどディアス選手の顔面を捉えていませんでした。逆にディアス選手のパンチは的確にザロムスキー選手の顔面を捉え、確実にダメージを蓄積していました。あの距離で打ち合いに挑んだのはザロムスキー選手の気持ちの強さの表れかもしれませんが、一番打ち合ってはいけない場所で打撃戦に挑んでしまいました。あの距離はディアス選手がロングレンジのパンチを放つとザロムスキー選手の顔に届き、ザロムスキー選手のパンチはディアス選手に届かない距離でした。ザロムスキー選手とディアス選手のボクシングテクニックの差もありましたが、ディアス選手にとって理想的な距離で試合を進めてしまったところに最大の敗因があると思います。もちろんその距離感での試合運びが出来たディアス選手の巧さもあったのですが、打ち合うのであればもう一歩踏み込んで接近戦に持ち込むなど、ザロムスキー選手には距離感のメリハリが必要だったと思います。10cm以上もあるリーチ差と、ディアス選手のボクシングテクニックを考慮すると、ザロムスキー選手の試合運びはあまりにもリスクが大きすぎたのかも知れません。

ザロムスキー選手も一度は近い距離での打ち合いに持ち込み、ディアス選手からダウンを奪ったシーンがありましたし、何度ディアス選手のパンチを受けても心の折れないハートの強さを見せたので、今後の更なる飛躍を期待したいです。一方のディアス選手も金網にザロムスキー選手を押し込んだ際に、執拗に膝蹴りでザロムスキー選手の右足を攻め続け、ザロムスキー選手の右足を止めようとするなど、パンチのスキル以外にも盤石な試合運びを見せました。ザロムスキー選手の代名詞ともなった左ハイキックを一度も放たせなかったところも、ディアス選手の巧さがあったのかもしれません。

UFC以外では、このウェルター級でディアス選手を脅かす存在が見当たらなくなりました。こうなると自然とUFCウェルター級絶対王者GSP選手との対戦が観たくなります。ディアス選手はウェルター級においては、打倒GSP選手の最後の希望なのかもしれません。






メルヴィン・マヌーフ選手VSロビー・ローラー選手はマヌーフ選手が失神KO負けを喫してしまいました。序盤からマヌーフ選手がプレッシャーを掛け続け、右ローを効かすなど、マヌーフ選手で試合が進んでいるようにも見えました。しかし、1Rも3分が経過したときにマヌーフ選手が畳み掛けにいったところ、逆にローラー選手の右のフックをもらってしまいました。ローラー選手は試合を通して自分から仕掛ける素振りを見せなかったので、元々カウンター狙いの作戦だったかもしれません。ローラー選手は右ローを効かされていて、あまり試合を長引かせたくないという気持ちもあったのか、1Rで勝負を決めたいと思ったところにマヌーフ選手が飛び込んだのかもしれません。マヌーフ選手のガードががら空になったところ、ローラー選手の右フックがマヌーフ選手の顎を捉えました。そのパンチでマヌーフ選手は失神TKO負けという結果に終わってしまいました。マヌーフ選手は勝てると踏んだのか、ガードがかなり甘くなっていた印象を受けました。





ストライクフォースのマイアミ大会は、DREAM勢にとっては苦い結果となってしまいました。今回打撃でKO負けを喫したザロムスキー選手は、DREAM13で田村潔選手との対戦も噂されていましたが、DREAM13への出場は厳しいかもしれません。

*こちらでも動画が観られます。
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