いよいよ大晦日、2009年最後の格闘技大会が当日に迫りました。

今年は魔裟斗選手の引退試合や、石井慧選手のデビュー戦などもある影響で、昨年と比較すると一般層の関心を集めることにも成功しているようです。

チケットの売れ行きも好調で、4000円のA席のチケットがインターネットオークションで7000円以上の価格がついている程です。チケットショップでは10000円で売られているところもあるようです。

当初は、魔裟斗選手VSサワー選手、石井選手VS吉田選手のみに焦点が当たり、格闘技ファンにとっては今ひとつ物足りない大会になってしまうのではないかという懸念がありましたが、SRC対DREAMの対抗戦の発表がその不安を打ち消しました。対抗戦が発表された際の記者会見では、対抗戦さながらの緊迫感が溢れ、青木選手のマイクが更にその雰囲気に拍車を掛けました。

魔裟斗選手VSサワー選手や、石井選手VS吉田選手も興味深いのですが、個人的に非常に楽しみにしているのがやはりSRC対DREAMの対抗戦です。団体と団体の面子を賭けた戦いという部分で既に胸が熱くなるものがありますが、中でも格闘技の原点でもある「どっちが強いのか」というテーマを純粋に追求したテーマの3試合に注目しています。

その3試合とは青木選手VS廣田選手、川尻選手VS横田選手、そして小見川選手VS高谷選手です。青木選手VS廣田選手は言わずと知れた、DREAMライト級王者と戦極ライト級王者の王者同士の戦いです。川尻選手VS横田選手はそれぞれの団体でライト級王者への挑戦権を手にしていたもの同士の戦いです。そして小見川選手VS高谷選手はそれぞれの団体のフェザー級グランプリにおいて準優勝を果たしたもの同士の戦いです。非常にシンプルで分かりやすい構図の戦いだと思います。

青木選手VS廣田選手に関しては、廣田選手にとって少し分の悪い試合となりそうです。実績という部分でもそうなのですが、青木選手は廣田選手が自身の良さを活かすのが非常に難しい相手だと思います。廣田選手は下馬評ではやや不利とされながらも、打撃、パウンドや膝蹴りのラッシュでグラップラーの北岡選手をKOして戦極の王者につきましたが、青木選手相手にそのパターンに持ち込むのは難しいと思います。まず青木選手は180cmとライト級の中では非常に背が高いので、170cm余りの廣田選手とのリーチ差があります。且つ青木選手はスタンドの攻防でのディフェンス能力が非常に優れています。なので、廣田選手がスタンドの打撃でKOを狙うのは難しいと思います。グラウンドでは圧倒的に青木選手に分があり、もちろん廣田選手も何らかの対策はしているはずですが、青木選手が油断をしない限りは廣田選手のパウンドを被弾するシーンは中々無さそうです。廣田選手は精神力も強く、最後までKO勝ちを狙う選手ですが、グラウンドでの一本、もしくは粘っても判定負けしてしまうのではないかという試合を想定します。

川尻選手VS横田選手ですが、この試合に関しては川尻選手が結構危ないのではないかと思っています。横田選手は、いやらしい、よくいうと巧い戦い方をする選手です。中々相手のペースには持ち込ませず、いつの間にか自分のペースに持ち込んでいく選手です。掴みどころは無いのですが、試合に勝つという技術においては非常に高い能力を持っている選手です。一方の川尻選手は実力・実績共に自他共に認めるものはあるのですが、決して器用なタイプのファイターではないような気がします。攻撃も打撃からタックル、押さえ込んでのパウンドと比較的シンプルなパターンです。相性でいっても横田選手は川尻選手の決して得意なタイプのファイターでは無いと思います。川尻選手にとって正念場となる一戦になりそうです。

小見川選手VS高谷選手については、当初は小見川選手有利かと思っていました。高谷選手は打撃に定評にある選手ですが、小見川選手の最近の打撃力の向上も著しいものがあります。小見川選手有利と感じたのは、打撃が双方互角だとするとグラウンドの展開で差が出るのではないかと思ったからです。高谷選手は腰が強いのですが、小見川選手にはテイクダウンを取る能力もあります。グラウンドになれば柔道出身の小見川選手との差が出るのではないかと思いました。ただし周知の通り、高谷選手は当初から64kgで試合をするつもりで仕上げてきていますが、小見川選手は直前まで65Kgのつもりで体を仕上げてきました。直前で1Kg落としている状態です。そのことがパフォーマンスにどのような影響を与えるのかがネックになると思います。

SRC対DREAMの対抗戦は、どのような結果になっても、来年以降の展開として非常に面白い方向に繋がりそうです。