先日、ヒョードル選手がストライクフォースにて初の金網という舞台での試合に臨みました。ヒョードル選手と同期の元PRIDEファイター達が金網の中で苦杯を飲まされている中、ヒョードル選手は豪快なKO勝ちを見せてくれました。世界最強の名に相応しい、見事な勝ちっぷりでした。

特に圧巻だったのは、やはり最後のロシアンフック。相手のロジャース選手は非常にタフそうな選手でしたが、ヒョードル選手の全体重を掛けたロシアンフックをカウンターでもらうのはさすがに厳しかったようです。

この勝負の決め手となったのは、やはりヒョードル選手のスピードだと思います。ヒョードル選手自身も以前インタビューにて「私の武器の一つはスピードです。ヘビー級の選手の中では特にスピードがあると思っています。」といった発言をしていました。ヒョードル選手のスピードがあるからこそ、あの大きく振りかざすロシアンフックが活きるのだと思います。ヒョードル選手はパワーも相当なものだと思いますが、パワーだけであればヒョードル選手よりも強いヘビー級の選手はたくさんいると思います。ただ並みのヘビー級の選手が体重を掛けた大振りのパンチを打っても、モーションが大きくなるために相手にかわされてしまいますし、何よりカウンターが取られやすくなってしまいます。それ故、あまり体重を掛けた前のめりに振りかざすようなパンチは打ちにくくなります。

今回の試合でヒョードル選手は見事にカウンターでロシアンフックを打ち込み、ロジャース選手をKOしました。ヒョードル選手があのようなかたちでKOできたのも、ヒョードル選手のスピードがあってのものだと思います。スピードがなければジャブに合わせたカウンターを取るのは難しいはずです。スピードがあるからこそ、パンチに体重をかけることが出来るので、そのパワーも活きてきます。まさにスピード×パワー×ロシアンフックが見事に融合した結果のKO劇だと感じました。

スピード以外では、ヒョードル選手のメンタルがやはり恐ろしいほど強靭だと感じました。開始早々、パンチでヒョードル選手が距離を詰めたところ、ロジャース選手にジャブを合わされています。このジャブでヒョードル選手は鼻を骨折したようです。鼻は非常に痛みを感じやすい部分でもあるので、ヒョードル選手には激痛が走ったと思います。普通の選手であれば一瞬そこで何かしらの躊躇をするのですが、ヒョードル選手はジャブを貰った直後に左フックを返しています。また、ジャブでダメージを負わされるとそのジャブを警戒し、なかなか踏み込めなくなるのが普通です。しかし、ヒョードル選手はそのジャブをロジャース選手の癖として逆手に取り、そのジャブに飛び込んでのカウンターでロジャース選手を沈めました。ヒョードル選手を支えているメンタルの強さを目の当たりにした瞬間でした。