ラスベガスのMGMグランドガーデンで行われたUFC98。
メインイベントのUFCライトヘビー級王者決定戦が行われ、リョート選手が悲願の王者奪還を果たしました。

とにかくリョート選手の巧さと強さが目立った試合でした。一瞬の隙を見つけて畳み掛けるのを得意とするエヴァンス選手ですが、リョート選手に隙はありませんでした。絶妙の距離感を保ち、半身の構えから突如繰り出される攻撃。それはまさにリョート選手の編み出した攻撃と防御が一体化した理想の型なのかも知れません。リョート選手の独特の半身の構えに対して、エヴァンス選手は非常に攻めづらそうでした。半身であるが故に相手の攻撃にさらされる面積の少ないリョート選手がうまく圧力をかけ、この試合における“距離感”を制していました。遠くにある奥足から繰り出される蹴りは、エヴァンス選手の距離感を狂わせ、その後間髪入れずに放つ左ストレートが非常に有効であったと思います。今まで、そのファイトスタイルを退屈だと批判されたり、UFCで不遇な扱いを受けた事もありましたが、己のスタンスを貫き通し無敗の王者であったエヴァンス選手をKOで下したリョート選手の強さは美しさすら漂わせていました。退屈だと言われていたそのファイトスタイルで、最近は無敗の戦績を誇っていた2人の選手からKO勝ちを収めています。



2003年に日本で総合格闘技デビューしたリョート選手。その後アメリカに渡り現在に至りますが、UFCライトヘビー級王者までの道のりは決して平坦なものでは無かったはずです。試合後のインタビューにてリョート選手が、アメリカに渡って王者になるまでの過程で覚えたであろう英語で、涙ながらに発した、「皆さん、夢があったら決してあきらめないで下さい。夢は必ず叶います。私も今やりました!」という言葉は非常に感動的且つ説得力のあるものでした。

混沌としていたUFCライトヘビー級戦線でしたが、しばらくはリョート選手の王権が続くような気がします。

リョート選手、本当におめでとうございます。


*こちらでUFC98の動画が観られます。