現地日時1月31日にラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナにて行われたUFC94。そこで"世紀の一戦"と称される試合が行われました。
UFCウェルター級王者ジョルジュ・サンピエール(GSP)選手 VS UFCライト級王者BJペン選手。共に両階級ではライバルとなる相手が見当たらず、絶対王者として君臨している選手達です。両者の対戦は2度目の対戦となります。UFC58にて一度対戦していて、その時はGSP選手が2-1で僅差の判定勝ちを収めています。GSP選手はポイントで勝利したものの、ダメージを与えていたのはBJペン選手の方だったとも言われた試合でした。そのような経緯もあり、BJペン選手にとってはリベンジを掛けた試合、GSP選手にとっても自らの強さを証明する試合となりました。
蓋を開けてみると、試合は一方的な展開となりました。
1Rは若干GSP選手優位で試合が進んだものの、ほぼ互角の展開でした。
しかし、2RでGSP選手がBJペン選手からテイクダウンを奪うことに成功すると、その後は一方的な試合展開となります。グラウンドで上を取ったGSP選手は、抜群のポジショニングの上手さを見せ、BJペン選手は何もさせてもらえないような状態が続き、顔面へパンチや肘を貰い続けます。
粘りを見せたBJペン選手が、ゴングに救われるようなシーンが続きます。スタンドの展開になっても、GSP選手は上下へと巧みにパンチを打ち分けペースを掴んでは、BJペン選手をテイクダウンし、上のポジションから打撃を打ち下ろし続けました。
UFC63でのマット・ヒューズ選手VSBJペン選手を彷彿させるようなシーンが何度も続き、身動きの取れない状態で頭部に打撃を貰い続けたBJペン選手は、4R終了時に試合続行不可能と見なされ、TKO負けを喫しました。
本来の階級が違うといえども、両者の間にこれほどの差が出るとは想像していませんでした。
GSP選手は総合格闘家として、完成した強さを見せつけました。ここまでバランスのとれた選手は稀だと思います。GSP選手、BJペン選手は共にトータルファイターであることから、必ずパウンド・フォー・パウンド(P4P)の話題になると名を連ねる選手です。P4P対決という視点でも、GSP選手に軍配が上がった結果となりました。
BJペン選手は、負けてしまったものの、依然ライト級においては絶対王者として君臨しています。引き続き、ライト級での今後の活躍に期待したいと思います。
セミメインでは、リョート選手VSチアゴ・シウバ選手の一戦が行われました。無敗同士の対決で、今後のUFCライトヘビー級戦線の鍵を握る一戦でした。この試合も、ほぼ一方的な展開となりました。スタンドでの攻防を支配したリョート選手が、何度もチアゴ選手からダウンを奪います。1R 終了のブザーとほぼ同時に放ったパウンドが、見事チアゴ選手の顎を捕らえました。
UFCライトヘビー級の注目の一戦はリョート選手が圧倒的な強さを見せつけ、1RKO勝ちという結果に終わりました。
この試合で目に付いたのは、リョート選手の絶妙な距離感です。以前から自身の距離感で試合をすることに定評のあったリョート選手ですが、この試合では一際その上手さが目立ちました。相手の射程圏内には決して入ることなく、相手を軸に回りながらノーモーションで放つ左ストレート、そして距離を詰めての膝が非常に有効に働き、スタンドでチアゴ選手を圧倒しました。
今まで判定勝ちが多く、その試合内容を地味と称されることも多かったリョート選手ですが、この勝利はリョート選手自身にとっても会心の勝利であったと思います。今までそのファイトスタイルからタイトル戦を敬遠されていた部分もありましたが、今回の勝利とその試合内容で、UFC側としてもタイトル戦を組まざるを得ない状況になったと思います。
現在UFCライトヘビー級王者に君臨しているラシャド・エヴァンス選手もリョート選手同様無敗の王者です。更にリョート選手と同様、相手との距離の取り方に非常に長けた選手です。相手を軸に回りながら距離を取って隙を伺うという部分では、リョート選手と被る部分があると思います。
混沌とするUFCライトヘビー級戦線ですが、リョート選手であれば、ほとんどの選手に勝てる実力は持っていると思います。ただし、相性という部分を考慮すると、現ライトヘビー級王者のラシャド・エヴァンス選手との相性が、最も悪いような気もします。
(タイトル挑戦権については、UFC96で行われるジャクソン選手VSジャーディーン選手で、ジャクソン選手が勝利した場合、ジャクソン選手に優先権があるとの話も出ています。)
もしリョート選手VSエヴァンス選手が実現すれば、個人的にも非常に興味深い一戦となります。
その他の試合結果は下記の通りです。
■UFC94『ST-PIERRE vs PENN 2』
1月31日(土・現地時間) 米国ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ
<メーンイベント UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
○[王者]ジョルジュ・サンピエール
(4R終了時TKO ※レフェリーストップ )
●[挑戦者]BJ・ペン
<セミファイナル ライトヘビー級/5分3R>
○リョート・マチダ
(1R 4分59秒 KO)
●チアゴ・シウバ
<第8試合 ライトヘビー級/5分3R>
●ステファン・ボナー
(3R判定 0-3)
○ジョン・ジョーンズ
<第7試合 ウェルター級/5分3R>
○カロ・パリシャン
(3R判定 2-1)
●キム・ドンヒョン
<第6試合 ライト級/5分3R>
●ネイト・ディアズ
(3R判定 1-2)
○クレイ・グイダ
<第5試合 ウェルター級/5分3R>
○ジョン・フィッチ
(3R判定 3-0)
●郷野聡寛
<第4試合 ライト級/5分3R>
●マニー・ガンバーリャン
(3R判定 0-3)
○チアゴ・タバレス
<第3試合 ウェルター級/5分3R>
●クリス・ウィルソン
(3R判定 0-3)
○ジョン・ハワード
<第2試合 ヘビー級/5分3R>
●クリスチャン・ウェリッシュ
(3R判定1-2)
○ジェイク・オブライエン
<第1試合 ウェルター級/5分3R>
●マット・アロヨ
(3R判定1-2)
○ダン・クレイマー
UFCウェルター級王者ジョルジュ・サンピエール(GSP)選手 VS UFCライト級王者BJペン選手。共に両階級ではライバルとなる相手が見当たらず、絶対王者として君臨している選手達です。両者の対戦は2度目の対戦となります。UFC58にて一度対戦していて、その時はGSP選手が2-1で僅差の判定勝ちを収めています。GSP選手はポイントで勝利したものの、ダメージを与えていたのはBJペン選手の方だったとも言われた試合でした。そのような経緯もあり、BJペン選手にとってはリベンジを掛けた試合、GSP選手にとっても自らの強さを証明する試合となりました。
蓋を開けてみると、試合は一方的な展開となりました。
1Rは若干GSP選手優位で試合が進んだものの、ほぼ互角の展開でした。
しかし、2RでGSP選手がBJペン選手からテイクダウンを奪うことに成功すると、その後は一方的な試合展開となります。グラウンドで上を取ったGSP選手は、抜群のポジショニングの上手さを見せ、BJペン選手は何もさせてもらえないような状態が続き、顔面へパンチや肘を貰い続けます。
粘りを見せたBJペン選手が、ゴングに救われるようなシーンが続きます。スタンドの展開になっても、GSP選手は上下へと巧みにパンチを打ち分けペースを掴んでは、BJペン選手をテイクダウンし、上のポジションから打撃を打ち下ろし続けました。
UFC63でのマット・ヒューズ選手VSBJペン選手を彷彿させるようなシーンが何度も続き、身動きの取れない状態で頭部に打撃を貰い続けたBJペン選手は、4R終了時に試合続行不可能と見なされ、TKO負けを喫しました。
本来の階級が違うといえども、両者の間にこれほどの差が出るとは想像していませんでした。
GSP選手は総合格闘家として、完成した強さを見せつけました。ここまでバランスのとれた選手は稀だと思います。GSP選手、BJペン選手は共にトータルファイターであることから、必ずパウンド・フォー・パウンド(P4P)の話題になると名を連ねる選手です。P4P対決という視点でも、GSP選手に軍配が上がった結果となりました。
BJペン選手は、負けてしまったものの、依然ライト級においては絶対王者として君臨しています。引き続き、ライト級での今後の活躍に期待したいと思います。
セミメインでは、リョート選手VSチアゴ・シウバ選手の一戦が行われました。無敗同士の対決で、今後のUFCライトヘビー級戦線の鍵を握る一戦でした。この試合も、ほぼ一方的な展開となりました。スタンドでの攻防を支配したリョート選手が、何度もチアゴ選手からダウンを奪います。1R 終了のブザーとほぼ同時に放ったパウンドが、見事チアゴ選手の顎を捕らえました。
UFCライトヘビー級の注目の一戦はリョート選手が圧倒的な強さを見せつけ、1RKO勝ちという結果に終わりました。
この試合で目に付いたのは、リョート選手の絶妙な距離感です。以前から自身の距離感で試合をすることに定評のあったリョート選手ですが、この試合では一際その上手さが目立ちました。相手の射程圏内には決して入ることなく、相手を軸に回りながらノーモーションで放つ左ストレート、そして距離を詰めての膝が非常に有効に働き、スタンドでチアゴ選手を圧倒しました。
今まで判定勝ちが多く、その試合内容を地味と称されることも多かったリョート選手ですが、この勝利はリョート選手自身にとっても会心の勝利であったと思います。今までそのファイトスタイルからタイトル戦を敬遠されていた部分もありましたが、今回の勝利とその試合内容で、UFC側としてもタイトル戦を組まざるを得ない状況になったと思います。
現在UFCライトヘビー級王者に君臨しているラシャド・エヴァンス選手もリョート選手同様無敗の王者です。更にリョート選手と同様、相手との距離の取り方に非常に長けた選手です。相手を軸に回りながら距離を取って隙を伺うという部分では、リョート選手と被る部分があると思います。
混沌とするUFCライトヘビー級戦線ですが、リョート選手であれば、ほとんどの選手に勝てる実力は持っていると思います。ただし、相性という部分を考慮すると、現ライトヘビー級王者のラシャド・エヴァンス選手との相性が、最も悪いような気もします。
(タイトル挑戦権については、UFC96で行われるジャクソン選手VSジャーディーン選手で、ジャクソン選手が勝利した場合、ジャクソン選手に優先権があるとの話も出ています。)
もしリョート選手VSエヴァンス選手が実現すれば、個人的にも非常に興味深い一戦となります。
その他の試合結果は下記の通りです。
■UFC94『ST-PIERRE vs PENN 2』
1月31日(土・現地時間) 米国ネバダ州ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ
<メーンイベント UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
○[王者]ジョルジュ・サンピエール
(4R終了時TKO ※レフェリーストップ )
●[挑戦者]BJ・ペン
<セミファイナル ライトヘビー級/5分3R>
○リョート・マチダ
(1R 4分59秒 KO)
●チアゴ・シウバ
<第8試合 ライトヘビー級/5分3R>
●ステファン・ボナー
(3R判定 0-3)
○ジョン・ジョーンズ
<第7試合 ウェルター級/5分3R>
○カロ・パリシャン
(3R判定 2-1)
●キム・ドンヒョン
<第6試合 ライト級/5分3R>
●ネイト・ディアズ
(3R判定 1-2)
○クレイ・グイダ
<第5試合 ウェルター級/5分3R>
○ジョン・フィッチ
(3R判定 3-0)
●郷野聡寛
<第4試合 ライト級/5分3R>
●マニー・ガンバーリャン
(3R判定 0-3)
○チアゴ・タバレス
<第3試合 ウェルター級/5分3R>
●クリス・ウィルソン
(3R判定 0-3)
○ジョン・ハワード
<第2試合 ヘビー級/5分3R>
●クリスチャン・ウェリッシュ
(3R判定1-2)
○ジェイク・オブライエン
<第1試合 ウェルター級/5分3R>
●マット・アロヨ
(3R判定1-2)
○ダン・クレイマー