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2008年大晦日に行われた、Dynamite!!~勇気のチカラ2008~ 。試合数の多さや、総合格闘家のK-1ルールでの試合など、色々と不安視されていた側面がありました。しかし、多くの人の心配を余所に会場は盛り上がり、大会としてはまずまず成功を収めたと思います。


2008年の最後に良い試合を見せようという選手の想いからか、KO決着の試合が続出しました。


大会の前半に行われた試合では、中村大介選手VS所英男選手の試合が印象的でした。両者共に、スピード感溢れる寝技の攻防を展開し、観る者を唸らせる試合となりました。所選手は前回のDREAM6に続いて負けてしまいましたが、体格差がありながらも守りに入ることなく攻め続けた姿勢は非常に評価できると思います。一方の中村選手は非常にスキルの高い、実力のある選手だということを改めて証明しました。2009年におけるDREAMライト級勢との絡みが楽しみです。


また、K-1勢が尽くKO負けしたのが皮肉にも大会を盛り上げた要因の一つかもしれません。2008年はリーマンブラザーズの破綻や、記憶に新しいところですと小室哲哉氏の逮捕など何かとネガティブな話題が目立ちましたが、その余波が最後の最後でK-1にも回ってきてしまったようです。K-1の選手が、K-1ルールと言う自らの土俵で、DREAMという団体の総合格闘技の選手に敗北を喫してしまったのです。


まず武田選手VS川尻選手。この試合に関しては、既に戦前の予想から川尻選手を推す声も多くあがっていましたが、まさにその通りの結果となってしまいました。武田選手は今までの激戦の積み重ねによるダメージが蓄積していのか、もはや頭部への強いパンチに堪えるのは難しそうです。入場の際にも、以前と変わらず、武田選手の首がやや傾いている状態になっているのが気になりました。相性という面でも、武田選手はオーソドックスなスタイルで戦う選手なので、今回の川尻選手のように変則的な攻撃を仕掛けてくる相手は苦手にしていると思います。そういったことが重なって、武田選手はKO負けを喫してしまいました。


続いてアリスター選手VSバダ・ハリ選手。この試合の決定に関しては、アリスター選手が可哀相というのが正直な感想でした。いくらバダ・ハリ選手の前回の試合からの間隔が短いとはいえ、K-1のTOP選手であるバダ・ハリ選手が総合格闘家のアリスター選手にK-1ルールで不覚を取るようには思えませんでした。K-1 WGP 2008の決勝戦であのような醜態を曝してしまったバダ・ハリ選手を、改めてお茶の間に売り込むためにアリスター選手は利用されてしまったと、やや理不尽にすら感じていました。試合が始まった時点では、アリスター選手の1RKO負けだけは観たくないと願っていましたが、蓋を開けてみれば御存知の通り、アリスター選手がバダ・ハリ選手を圧倒し、見事1RKO勝ちを収めました。バダ・ハリ選手のコンディションが良くなかったなど、バダ・ハリ選手を擁護する声もありますが、この試合はアリスター選手の意地と気迫がもたらした勝利だと思っています。アリスター選手のパワーは物凄いものがありましたが、パンチ自体は単発であったため、技術的に突出したものはありませんでした。K-1選手と打撃の軌道が違うので、バダ・ハリ選手としてもやりづらい部分はあったのかもしれませんが、技術的な面以上に気持ちの面でアリスター選手の勢いに呑まれてしまったという印象を受けました。バダ・ハリ選手にはK-1 WGP 2008の決勝戦での反則事件から、出場停止期間といったペナルティーを持たずに、このタイミングで試合をさせることに一部批判の声が挙がっていました。しかし奇しくも今回の試合がバダ・ハリ選手のアリスター選手による制裁マッチとなてしまいました。また、バダ・ハリ選手もDREAM6のリング場で放った挑発的な発言が、2008年大晦日にこのような形で戻ってくるとは予想だにしていなかったことでしょう。


そしてムサシ選手VS武蔵選手。この試合もK-1選手である武蔵選手がK-1ルールで良いところ無く1RKO負けを喫しました。入場時から武蔵選手へのブーイングが多く発生していたことに驚きました。そういったことが影響してか、武蔵選手は自分の戦い方が出来なかったどころか、そもそもしようともしていなかったように感じました。下手にKOを狙わずに、武蔵流とよばれる戦い方を貫けばあのような結果にはならなかったと思います。1度目のダウンを奪われて以降、ムサシ選手と打ち合ってしまいました。その後、2度のダウンを奪われてのKO負けと言う結果に終わりました。ムサシ選手のパンチの伸びと回転力が予想以上に優れていたのかもしれませんが、そのようなことを考慮しても武蔵選手は精彩を欠いていたと思います。自分が勝てる戦い方と、観客に喜ばれる戦い方のジレンマにはまってしまっているように感じます。



大会の最後を締めくくったのは桜庭選手VS田村選手。約10分間に及ぶ煽りVは観客のテンションを上げるのに十分な出来栄えでしたが、試合内容の方は残念ながらイマヒトツでした。長年に渡る因縁の対決が目の前で行われているということで、観客は黙って見守っていました。しかし、この試合が桜庭選手VS田村選手でなければ試合後にブーイングが飛び交っていてもおかしくない試合内容でした。個人的に悲しかったのは、桜庭選手の衰えを目の辺りにしたことでした。もちろん桜庭選手が既に全盛期で無い事は重々承知していましたが、あそこまで衰えていたとは思っていませんでした。近年においても何も出来ず一方的に負けてしまう試合がありましたが、相手が油の乗った強豪選手ということが原因だと思っていました。そのように自身の中で思う事で、桜庭選手の衰えから目を反らしていたのかもしれません。マヌーフ選手との試合で痛めた腕の怪我が完治していないのかもしれませんが、負けるにしても田村選手を相手にあの試合内容しか出来ないとなると、桜庭選手の体は本当にもう限界まで来ているのかもしれません。



桜庭選手VS田村選手の試合は残念な部分もありましたが、Dynamite!!~勇気のチカラ2008~は大会としては数々の好試合やアップセットもあり、予想していたよりも十分に楽しめました。独断と偏見でMVPを選出させていただくと、格闘技という競技面では青木真也選手、興行面ではアリスター選手です。青木選手VSアルバレス選手は海外の格闘技マニアも注目していた、世界のライト級でもTOP選手同士の対戦でした。アルバレス選手というライト級世界屈指の選手をグランドという自分の土俵に持ち込み、きっちりと一本を取った実力は見事です。アリスター選手は、自身にとって不利なK-1ルールという条件を呑み、そのK-1ルールという相手の土俵で、見事バダ・ハリ選手を返り討ちにしました。アリスター選手にとっては、一見噛ませ犬になってしまうというリスクもあるカードでしたが、そういったリスクを恐れずに果敢にバダ・ハリ選手を倒しにいき結果を残した姿は立派でした。今大会のみならず、2008年を通じて活躍を見せてくれた青木選手とアリスター選手には、2009年も引き続きファンを魅了する試合を見せてくれる事を期待しています。



最後になりましたが、2009年の更なる格闘技界の飛躍を期待を込めて祈っております。