現地日付の27日に行われたUFC92。日本の格闘技ファンからも注目されていた2戦はPRIDEの元王者達が衝撃的な結末を迎える結果となりました。
まずPRIDEでも2度の対戦があることから、最も日本の格闘技ファンの注目を集めていたといっても過言でもないシウバ選手VSランペイジ選手の3度目の対戦。しばらくは緊迫感のある互角の攻防が続きます。両者共に動きにキレがあり、コンディションは良さそうでした。1Rも3分半ばを過ぎたところで、両者近い距離での打ち合いとなります。ガードからうまくシウバ選手のパンチをかわしたランペイジ選手の左フックが、カウンターでシウバ選手の顎を捕らえました。ピンポイントで捕らえたのか、シウバ選手はこの一発で失神したようで大の字に倒れました。ジャクソン選手のTKO勝ちと言う結果に終わりました。ジャクソン選手が過去シウバ選手に負けた2戦では、パンチのコンビネーションに対してガードを固めたまま亀の状態になりがちでした。今回は亀の状態にならずにパンチを交わして、応戦した結果KO勝ちに繋がりました。この部分でのランペイジ選手の進化が勝敗を分けたのかもしれません。今までの両者の対戦において、過去2戦でのランペイジ選手のKO負けを喫する瞬間のシーンも衝撃的でしたが、今回のシウバ選手の倒れる姿も凄まじいものがありました。PRIDEでミルコ選手にKO負けした時や、ヘンダーソン選手にKO負けした時のシーンを彷彿とさせるような、壮絶な倒れ方でした。この両者の対戦はお互い感情的になっているのが影響してか、何度やっても激しい試合が観られる貴重なカードなのかもしれません。
注目を集めていたもう一試合、ノゲイラ選手VSミア選手。この試合も予想を覆す結果となりました。1R目からミア選手が打撃でノゲイラ選手を圧倒します。ノゲイラ選手は打撃で押される展開の中で、ミア選手にうまく足を掛けられテイクダウンを奪われたり、パンチを貰って何度も尻餅をつき、終始攻められたまま1Rが終了しました。インターバルでは既に消耗している表情を見せたノゲイラ選手とは対照的に、ミア選手は余裕の表情を見せます。2Rに入っても試合の様相は変わらず、ミア選手がパンチでノゲイラ選手を攻め続けます。2R1分を過ぎたところでミア選手の左ストレートがノゲイラ選手の顔面を捕え、ノゲイラ選手の腰が落ちます。間髪入れずにミア選手が左ストレートを放ち、再びノゲイラ選手の顔面を捕えると、ノゲイラ選手は後ろに転倒します。ノゲイラ選手が倒れ、ミア選手がパウンドの追撃にいったところでレフリーが試合を止めました。ノゲイラ選手がプロ格闘家人生初のKO負けを喫する衝撃の瞬間となりました。ノゲイラ選手は全く良いところなく敗れてしまいました。この試合のミア選手が非常に強かったというのもあると思います。ボクシングテクニックでも定評のあるノゲイラ選手を、ここまでパンチで圧倒したことには驚きました。それを差し引いても、ノゲイラ選手はこの試合で、今までのノゲイラ選手の試合からは想像できない程、あっさりと負けてしまいました。体型も以前と比較するとややシャープさに欠ける印象を受けました。大金を手にしてハングリー精神がなくなってしまったのでしょうか。何よりも執念と粘り強さが武器であった、ノゲイラ選手の今回のような敗戦シーンを観ることになるとは予想だにしませんでした。
メインイベントで行われたライトヘビー級タイトルマッチ、エヴァンス選手VSグリフィン選手は好試合となりました。リーチと上背に勝るグリフィン選手が積極的にパンチとキックでプレッシャーを掛けていきます。対するエヴァンス選手も要所要所で攻撃を返し、1R・2Rと一進一退の攻防が続きます。3R目で試合が動きました。グリフィン選手のミドルキックをキャッチしたエヴァンス選手が、そのままグリフィン選手を倒します。グラウンドに持ち込んだエヴァンス選手は、すかさずパウンドのラッシュを仕掛けます。一度はグリフィン選手も凌いで呼吸を整えたもの、次にエヴァンス選手が仕掛けたパウンドに捕まってしまい、レフリーが試合を止めました。エヴァンス選手がTKO勝ちを収め、新王者となりました。エヴァンス選手は、リデル選手戦の時もそうでしたが、“勝負の仕掛け時・試合の流れ”を読むのが非常に巧い選手なのかもしれません。今回もワンチャンスを逃さずに、グリフィン選手からTKO勝ちを収めました。エヴァンス選手は一つ引き分けを挟んで、無傷の13連勝で王者となりました。負けはしたもののグリフィン選手の、素直にエヴァンス選手を称えるシーンには非常に好感を持てました。エヴァンス選手が王者になったことで、UFCのライトヘビー級戦線は更に混沌としてきました。リョート選手、ランペイジ選手、チアゴ選手、そして復帰するショーグン選手が、どのように絡んでくるのか非常に興味深いところです。
動画は下記サイトでも観れます。
http://www.mma-core.com/
UFC92全試合の結果は下記の通り。
■UFC「UFC92 THE ULATIMATE 2008」
12月27日(土・現地時間) 米国ネバダ州・ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ
<第10試合UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
●[王者]フォレスト・グリフィン(米国)
(3R2分46秒 TKO)
○[挑戦者]ラシャド・エヴァンス(米国)
<第9試合UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
●[暫定王者]アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)
(2R1分54秒 TKO)
○[挑戦者]フランク・ミア(米国)
<第8試合ミドル級/5分3R>
○CB・ダラウェー(米国)
(1R3分1秒 TKO)
●マイク・マッセンツィオ(米国)
<第7試合ライトヘビー級/5分3R>
●ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)
(1R3分21秒 TKO)
○ランペイジ・ジャクソン(米国)
<第6試合ヘビー級/5分3R>
○チーク・カンゴ(フランス)
(1R4分37秒 TKO)
●ムスターファ・アルトゥルク(英国)
<第5試合ミドル級/5分3R>
○岡見勇信(日本)
(3R終了 判定)
●ディーン・リスター(米国)
<第4試合ヘビー級/5分3R>
○アントーニ・ハードンク(オランダ)
(2R2分9秒 TKO)
●マイク・ヴェッセル(米国)
<第3試合ライトヘビー級/5分3R>
○マット・ハミル(米国)
(2R2分19秒 TKO)
●リース・アンディ(米国)
<第2試合ウェルター級/5分3R>
●長南亮(日本)
(3R終了 判定)
○ブラッド・ブラックバーン(米国)
<第1試合ヘビー級/5分3R>
●ダン・エバンセン(米国)
(1R2分36秒 TKO)
○パット・バリー(米国)
*岡見選手は順当に判定勝ち。長南選手は残念ながら判定負けしてしまったようです。
まずPRIDEでも2度の対戦があることから、最も日本の格闘技ファンの注目を集めていたといっても過言でもないシウバ選手VSランペイジ選手の3度目の対戦。しばらくは緊迫感のある互角の攻防が続きます。両者共に動きにキレがあり、コンディションは良さそうでした。1Rも3分半ばを過ぎたところで、両者近い距離での打ち合いとなります。ガードからうまくシウバ選手のパンチをかわしたランペイジ選手の左フックが、カウンターでシウバ選手の顎を捕らえました。ピンポイントで捕らえたのか、シウバ選手はこの一発で失神したようで大の字に倒れました。ジャクソン選手のTKO勝ちと言う結果に終わりました。ジャクソン選手が過去シウバ選手に負けた2戦では、パンチのコンビネーションに対してガードを固めたまま亀の状態になりがちでした。今回は亀の状態にならずにパンチを交わして、応戦した結果KO勝ちに繋がりました。この部分でのランペイジ選手の進化が勝敗を分けたのかもしれません。今までの両者の対戦において、過去2戦でのランペイジ選手のKO負けを喫する瞬間のシーンも衝撃的でしたが、今回のシウバ選手の倒れる姿も凄まじいものがありました。PRIDEでミルコ選手にKO負けした時や、ヘンダーソン選手にKO負けした時のシーンを彷彿とさせるような、壮絶な倒れ方でした。この両者の対戦はお互い感情的になっているのが影響してか、何度やっても激しい試合が観られる貴重なカードなのかもしれません。
注目を集めていたもう一試合、ノゲイラ選手VSミア選手。この試合も予想を覆す結果となりました。1R目からミア選手が打撃でノゲイラ選手を圧倒します。ノゲイラ選手は打撃で押される展開の中で、ミア選手にうまく足を掛けられテイクダウンを奪われたり、パンチを貰って何度も尻餅をつき、終始攻められたまま1Rが終了しました。インターバルでは既に消耗している表情を見せたノゲイラ選手とは対照的に、ミア選手は余裕の表情を見せます。2Rに入っても試合の様相は変わらず、ミア選手がパンチでノゲイラ選手を攻め続けます。2R1分を過ぎたところでミア選手の左ストレートがノゲイラ選手の顔面を捕え、ノゲイラ選手の腰が落ちます。間髪入れずにミア選手が左ストレートを放ち、再びノゲイラ選手の顔面を捕えると、ノゲイラ選手は後ろに転倒します。ノゲイラ選手が倒れ、ミア選手がパウンドの追撃にいったところでレフリーが試合を止めました。ノゲイラ選手がプロ格闘家人生初のKO負けを喫する衝撃の瞬間となりました。ノゲイラ選手は全く良いところなく敗れてしまいました。この試合のミア選手が非常に強かったというのもあると思います。ボクシングテクニックでも定評のあるノゲイラ選手を、ここまでパンチで圧倒したことには驚きました。それを差し引いても、ノゲイラ選手はこの試合で、今までのノゲイラ選手の試合からは想像できない程、あっさりと負けてしまいました。体型も以前と比較するとややシャープさに欠ける印象を受けました。大金を手にしてハングリー精神がなくなってしまったのでしょうか。何よりも執念と粘り強さが武器であった、ノゲイラ選手の今回のような敗戦シーンを観ることになるとは予想だにしませんでした。
メインイベントで行われたライトヘビー級タイトルマッチ、エヴァンス選手VSグリフィン選手は好試合となりました。リーチと上背に勝るグリフィン選手が積極的にパンチとキックでプレッシャーを掛けていきます。対するエヴァンス選手も要所要所で攻撃を返し、1R・2Rと一進一退の攻防が続きます。3R目で試合が動きました。グリフィン選手のミドルキックをキャッチしたエヴァンス選手が、そのままグリフィン選手を倒します。グラウンドに持ち込んだエヴァンス選手は、すかさずパウンドのラッシュを仕掛けます。一度はグリフィン選手も凌いで呼吸を整えたもの、次にエヴァンス選手が仕掛けたパウンドに捕まってしまい、レフリーが試合を止めました。エヴァンス選手がTKO勝ちを収め、新王者となりました。エヴァンス選手は、リデル選手戦の時もそうでしたが、“勝負の仕掛け時・試合の流れ”を読むのが非常に巧い選手なのかもしれません。今回もワンチャンスを逃さずに、グリフィン選手からTKO勝ちを収めました。エヴァンス選手は一つ引き分けを挟んで、無傷の13連勝で王者となりました。負けはしたもののグリフィン選手の、素直にエヴァンス選手を称えるシーンには非常に好感を持てました。エヴァンス選手が王者になったことで、UFCのライトヘビー級戦線は更に混沌としてきました。リョート選手、ランペイジ選手、チアゴ選手、そして復帰するショーグン選手が、どのように絡んでくるのか非常に興味深いところです。
動画は下記サイトでも観れます。
http://www.mma-core.com/
UFC92全試合の結果は下記の通り。
■UFC「UFC92 THE ULATIMATE 2008」
12月27日(土・現地時間) 米国ネバダ州・ラスベガス MGMグランド・ガーデンアリーナ
<第10試合UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
●[王者]フォレスト・グリフィン(米国)
(3R2分46秒 TKO)
○[挑戦者]ラシャド・エヴァンス(米国)
<第9試合UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
●[暫定王者]アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)
(2R1分54秒 TKO)
○[挑戦者]フランク・ミア(米国)
<第8試合ミドル級/5分3R>
○CB・ダラウェー(米国)
(1R3分1秒 TKO)
●マイク・マッセンツィオ(米国)
<第7試合ライトヘビー級/5分3R>
●ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)
(1R3分21秒 TKO)
○ランペイジ・ジャクソン(米国)
<第6試合ヘビー級/5分3R>
○チーク・カンゴ(フランス)
(1R4分37秒 TKO)
●ムスターファ・アルトゥルク(英国)
<第5試合ミドル級/5分3R>
○岡見勇信(日本)
(3R終了 判定)
●ディーン・リスター(米国)
<第4試合ヘビー級/5分3R>
○アントーニ・ハードンク(オランダ)
(2R2分9秒 TKO)
●マイク・ヴェッセル(米国)
<第3試合ライトヘビー級/5分3R>
○マット・ハミル(米国)
(2R2分19秒 TKO)
●リース・アンディ(米国)
<第2試合ウェルター級/5分3R>
●長南亮(日本)
(3R終了 判定)
○ブラッド・ブラックバーン(米国)
<第1試合ヘビー級/5分3R>
●ダン・エバンセン(米国)
(1R2分36秒 TKO)
○パット・バリー(米国)
*岡見選手は順当に判定勝ち。長南選手は残念ながら判定負けしてしまったようです。