移籍金ゼロが招くJリーグの将来 | 欧州サッカークラブとの仕事を語るブログ

移籍金ゼロが招くJリーグの将来

欧州でプレーする日本人選手がずいぶん増えましたね。


この状況は日本サッカーにとってよいのか、悪いのか
皆さんはどのように考えられますか?


僕は、日本サッカーにとってよい話だとは思うので
基本的には賛成ですが、条件付きでの賛成です。


では、具体的にどういったメリット、デメリットが
あるか見てみましょう。



欧州でプレーする選手が増えることによって、日本代表
チームレベルの向上が見込まれるのではないかと思います。


一方、有名選手の海外流出によるJリーグ人気の低下に
繋がる可能性があります。


私見ですが、Jクラブからの選手流出という側面もあり
ますが、その分、レギュラー選手が抜けた穴を他の選手
が埋めることにより、日本サッカーレベルの底上げが
はかれるのではないかと思います。


極端な例を出しますが、欧州の一部でプレーする選手が
100人に達したとします。そうするとその100人分の
枠があくわけで、J1というトップレベルでプレーできる
選手が増えるわけです。レギュラー選手の流出により、新たに
チャンスを与えられた選手は、プレーし続けることにより、
レベルアップのチャンスが増えます。


ただ、問題点は、他の選手が穴を埋めたとしても、その選手が
育つまでには、やはりクラブとしては、スター選手不在による
人気面の穴と戦力面での穴は簡単には埋められないわけで、一
時的に客数の低下と戦力の低下は否めないと思います。


では、一時的な客数の低下と戦力の低下を避けるにはどうすれ
ばよいか。


それは、外国人で、ある程度ネームバリューのある選手を獲得す
ることです。(欧州トップクラスではないが、そこそこネーム
バリューのある選手で、日本でプレーしてもいいという選手は
意外と沢山います。)


いやいや、今のJクラブの経営状況だと、そんな選手は買えない
よと言うかもしれません。


しかし、チームの看板選手が欧州に移籍する際にしっかりと移籍
金をとっていれば、そのお金を他の選手獲得にまわせるわけで、
今のようにフリートランスファーでどんどん選手が出ていく状況
はJの将来を考えても由々しき事態だと思います。


もちろん、欧州で挑戦したいという選手の気持ちは十分すぎるほ
どわかります。ただ、すでに何人もの選手が欧州でそれなりの
活躍をし、日本人選手の価値があがってきている状況では、
Jクラブは、もっともっと強気に交渉してもよいと思いますし、
今後、欧州で活躍する可能性が高い選手には、契約内容もきっちり
と吟味し、欧州に挑戦する際には、チームにお金を残してもらう
形をスキームにしていかないと、このままではJリーグの人気が
下降していくことになると思います。


欧州では、10年ほど前までは、日本人選手はあたればラッキー
というような感じで、かなりリスクのある投資という認識でした
が、現在では、化ける可能性のある超低位株だというような認識
にかわってきています。


つまり、欧州クラブにとって心理的リスクが軽減しているのです
から、多少費用が発生しても、今の欧州クラブ(スペイン、イング
ランドではまだまだ難しいですが)なら日本人選手に対してでも
お金を払うでしょう。


日本は、ブラジルなどと同様、選手を育てて売るというような
ビジネススキームを構築できるのではないかと思います。