ノーベル物理学賞 益川敏英さん受賞 京都の若手研究者に希望
ノーベル物理学賞を受賞し、一躍「時の人」となった京都大学名誉教授で京都産業大学教授の益川敏英さん(68)。8日は京大を中心に、多忙な日程をこなした。受賞の喜びは本人だけでなく、京大勤務時代に所長を務めた基礎物理学研究所のメンバーや一般学生らにも広がり、改めて受賞の重みが伝わった。
この日午前、同研究所で開かれた記者会見。益川さんは「一番感激したのは南部(陽一郎)先生と一緒に受賞できたこと。南部先生には受賞してほしいと思っていた」と、前夜からの言葉を改めて繰り返した。
前夜の会見で「受賞はそれほどうれしくない」と語ったが、この日は「人間ですから、人からほめていただければうれしい」と素直な気持ちものぞかせた。
また、益川さんは「大学時代、先生が教えてくれた『高眼手低』(一歩一歩、着実にやること)を座右の銘にしている」と語り、若い世代へのメッセージとして「自分がおもしろいと思うことをやればよい。いろんなことを体験し、友人と語り合い、その中で自分がやるテーマと遭遇できると思う」。会見終了後には理学研究科の女性スタッフらから花束を受け取った。
会見に同席した塩田浩平副学長は「京大基礎物理学の流れの中で、ノーベル賞の栄誉に輝かれたことを名誉に思う。学生たちが科学者にあこがれて入学してくれることを期待しており、今回の受賞は基礎科学の研究が重要であることを示してくれた」と話した。
一方、益川さんの受賞は若手研究者らにも大きな希望を与えた。
昨年4月から基礎物理学研究所の研究員を務める伊藤悦子さん(31)は、益川さんと同じ高校の出身。高校2年のとき、益川さんが学校で講演したことをきっかけに理学部に進み、同じ素粒子の研究についた。受賞には「『やっと取った』という感じですが、うれしい。素粒子の研究は、この世の構造の基礎的なことを解明する学問。私たちのこれからの研究の励みになります」と話した。
同研究所の「素粒子論グループ」研究室のホワイトボードには「受賞おめでとうございます」の文字が書かれた。京大大学院理学研究科2回生の三角樹(たつ)弘(ひろ)さん(24)は「湯川・朝永両博士のことを言われてもあまり実感はわきませんが、益川さんは身近に感じられ、今回のことで、ノーベル賞が取れるという現実味を感じています」。
また、同研究所で素粒子物理学を学ぶ修士課程2年の酒井学さん(22)は「受賞した3人の研究成果は、素粒子物理を学ぶ私たちにとってはバイブルのようなもの。教科書には絶対に載っているし、今現在の私たちの研究のベースとなっている」と絶賛。「同じ大学で研究した人が受賞するなんてすごいこと。自分も頑張りたい」と話した。
益川さんが教授を務める京都産業大(京都市北区)では8日、職員らが学生に益川さんの受賞を知らせるビラを配布。受け取った学生らは、興味深そうに見入っていた。
同大学ではこの日朝、学校入り口のバス停の掲示板に「ノーベル物理学賞受賞」と文字が書かれた益川さんの写真入りのビラを掲示。続いて、職員が校舎に続く通路に並んで立ち、「益川先生がノーベル賞を受賞しました」と声をかけながら、登校中の学生や教授らにビラを配った。
さらに、各校舎の入り口など約15カ所にも受賞を知らせるポスターが掲示され、さっそくポスターを入れて記念撮影する学生の姿も見られるなど、学内全体が受賞の喜びに包まれた。
法学部1年の女子学生(19)は「同じ大学の先生が受賞して誇りに思う。私も卒業までに形に残る研究をしたい」。経済学部1年生の市川直裕さん(19)は「面白い先生らしいので、どんな先生か話してみたい」と話した。
出典:MSN産経ニュース