人と人との関係性が流動的になるにつれ、「ヒトの見積もり」も表層的になりました。
血縁であるとか、地縁は希薄になりました。(辛うじて残っているのが社縁、でしょうか。)
人間の感情的紐帯のきっかけが、見た目に依存するようになったゆえんです。
さて、その見た目を向上するためにはスリムな体型が重要となります。でもそれはなぜ?という美的根拠を問われると答えに詰まります。
オシャレな服を着れるからでしょうか。
しかし、太身の衣服でも「シャレ」は可能です。
食料の大量生産が可能となって以来、
肥満は富裕というポジティブな記号的価値を失いました。
食料が豊富にある中、食事を節制し、
運動を行い、体重計で自らを測量する。そしてその結果を自らの行動に反映させる。
スリムな身体は、そんな再帰的なあり方をまざまざと他人に指し示すのであり、一目で「まともな近代人であること」の記号となっているのかもしれません。