あれから、月日が経った。
高校1年になっていた。
いじめがあったので、みんなが行かないような遠い公立高校に推薦で受かって通っていた。
ある時、父親が酔って
私たち兄弟へ向けて涙ながら語った。
お前らは警察官にはなるな。
と涙を流している父親の姿は
今でも覚えている。
警察界で何か闇があるのだと、すぐに勘づいた。
それから、兄弟でそのことも触れることもなく、
兄弟みんなが警察官を目指すことは無かった。
それと同時に兄弟皆が、急に人生の計画が変わってしまった。
わたしは特に夢もなく、荒れ果てた。
一学期が終わる頃には、
単位が足りず、留年が確定する。
そして、新学期から、
通信の学校へ転校する事に。
ほとんど学校へは行かなくて良かった。
大学みたいに自分の受ける授業の時だけ、
学校へ行った。
授業と授業の間が空く時は、
近くのお店でカラオケやビリヤードで
時間を潰す日々。
女友達と夜な夜なスタービーチの掲示板を探った。
女2人です。今から会える人!
と、こういった投稿をする。
ある日、
出会ったのは歳上の男3人組だった。
当時男たちは24歳。
車で迎えに来てもらい、
ドライブをしたり、車を停めれる場所で
たむろしてしゃべるという感じだった。
その時いた1人の男と付き合う事になる。
ここではひろきと呼ぶ事にする。
男3人は幼馴染らしく、いつもみんなで車で集まっては、しゃべって夜を過ごした。
なんだか私も仲間になった気がして楽しかった。
皆が彼女を連れて集まる。
友達の彼女たちとも仲良くなった。
みんな歳上で、憧れの女性だった。
わたしもこんなファッションがしたいと。
当時は、パラパラが流行っていて、
車のウーファーから爆音で流しては外で踊った。
ひろきの車は白のオデッセイでディスプレイがいくつもついた車だった。
夜な夜なオデッセイで過ごした。
ひろきと付き合って1年が過ぎた。
私の家にも出入りしていて、
家族に紹介した唯一家族公認の彼氏となった。
ただ、夜な夜な遊ぶ娘とその彼氏を父親はあまり良く思って居なかったのは、まー想定内である。
彼の母親とも私は仲良くして貰っていた。
このままずっと一緒にいるかと思ってた。
たまに私の車で彼の家に送っていく事があった。
その日も、家の前まで送っていく。
車を止めて少し話をしていた時、
前から男が2人近寄ってきた。
窓をノックしてくる。
ひろきは窓を開けた。
ひろきさんですね。
はい。
こういうものです。
今から署まで一緒に来てもらえますか。
頭の中が真っ白になる。
え、何この状況。
何があったの!?
ひろきはすぐ戻るから待ってて。
と言い残して、私服警官と一緒に去ってしまった。
1時間経っても帰ってこない。
いつまで待てば良いのかと、そして、何があったのかと不安になりながら、仲間に連絡した。
仲間がとりあえず何か分かったら連絡するということで、私は家に帰った。
サヨナラ〜
いや言わせない
ずっとそばにいて〜
いつも君を思ってるよ〜
なぜこの着うたにしたのか、
加藤ミリヤの切ない音楽が携帯から流れる。
仲間から電話だ。
あいつ、会社の金庫からお金盗んだらしい。
そして、過去に他人のクレジットカードを利用したとかで前科があるので2年出てこれないって。
あいつのおかんから聞いた。
え、うそ。
私には会社でこういう事があったとは聞いていたけど、まさかひろき自身がやった事だったなんて。信じられなかった。
しかも過去の事も一切知らなかった。
仲間から私は警察家系だから、面会には行くなと。そして、連絡も取らず、携帯を新しく変えろと言われた。
あいつの面会は俺たちが行くから。と。
わかった。ありがとう。
そうする。
それから数日後、白い封筒が届く。
ひろきの字だった。
そこには、私に対しての謝罪と本当に愛しているから2年待っていて欲しいと。
怖かった。
もう信じる事は出来ないと思っていたし、家族にも合わせられないと思っていた。
返事もする事なく、彼を忘れようと決めた。
たまにひろきの幼馴染の仲間たちとは連絡を取るぐらいで会うことは無かった。
また女友達とスタービーチをして遊ぶようになった。