太宰治の生誕百年目を迎える。太宰治が没したのは


6月13日だが、愛人、山崎富栄と玉川上水に入水して


発見されたのが昭和24年6月19日と、誕生日と同じ日で


正しくは桜桃忌もこの日を指す。


没後60年たっても周忌が行われ、本屋ではフェアが


開かれる太宰治がこれほど人気を博するのは何故だろうか。


破滅的な人生感、退廃・虚無的思想は、現在の自殺者


年間30,000人を象徴しているかのようにも思えるが、


短絡的な結びつけは控えよう。確かに青春時代に読んだ


「人間失格」や「斜陽」などは悲観的な社会を幻滅するのに


共感を呼ぶが、「お伽草紙」や「ハローグッド・バイ」などは


百八十度違ったた太宰治観を知ることとなる。


とくに、お伽草紙はユーモアと諧謔性に優れ、


人生を楽しむかのような社会の見方を教えてくれる。


また「富嶽百景」では富士山の素晴らしさ、角度を変えた見方を


教えられ繊細な心象を披露している。


確かに一人の作家を追えば、画家でも文筆家、陶芸家でも


その生活している時代によって変化を見ることができるが、


太宰治ほど劇的な人生も少ないのではないか。4人の女性と


心中を試み、破滅的な人生を歩む。死後も評価は分かれるが、


概して好意的に受け止められているのは、若くして


人生の精算をしたことによるのか、早熟すぎたのか。


疑問である。


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